11~12月開戦の情報。米大統領選の混乱に乗じ台湾攻撃に出る中国

 

南シナ海・インド太平洋地域における米中間の力の均衡

二つ目のフロントは【南シナ海・インド太平洋地域における米中間の力の均衡】です。

このメルマガでも何度かお話ししているように、中国は軍事力と経済力を駆使して、南シナ海での領有権問題で圧力をかけています。西沙諸島エリアにも、南沙諸島エリアにも次々と人工島を建設し、あっという間に軍事拠点化してしまいました。ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピンという南シナ海沿岸諸国からの再三の非難と抵抗をもろともせず、突如湧いたかのように「南シナ海で自国の領海を主張する」という強硬策に出ました。反抗するベトナム艦船を衝突して沈没させ、ASEAN諸国が抵抗する海軍力を嘲笑うかのようにその力を拡大させていきます。

経済面では、一帯一路政策を通じてASEAN内に中国シンパを形成し、対中国批判を封じ込めるのみならず、コロナに乗じたマスク・医療外交を通じてフィリピンなどの対中強硬派を手なづけてきています。とはいえ、フィリピンやベトナム、インドネシアなどは見事なまでに実利主義に徹していますから、状況によってはまた対中強硬路線に回帰すると思われますが。

そのような伸び続ける中国の勢力に危機感を抱き、軍事的緊張を高め、そして貿易や支援などを通じてASEAN諸国巻き込みに躍起になっているのがトランプ大統領のアメリカです。

コロナの前では、米中海軍の艦船は、互いに状況を把握し、無駄なエスカレーションを起こさないように距離を保ちつつ平行に航行してメッセージを伝えてきましたが、コロナ禍に乗じて中国の態度が強硬化するにつれ、一触即発の状態まで緊張が高まっているとのことです。

そこに“火に油を注いでいる”のが一気に加速している日米豪印の“クアッド”による【自由で開かれたインド太平洋地域】戦略の存在です。

軍事面のみならず、経済、情報などの多分野にわたり、4か国を中心とした協力と連携を深め、半ばインド太平洋地域版のNATOの構築に向かっているとの見解もあります。そこにBrexitでEUから離れ、アジア回帰を図る英国が加わる公算ですし、また南太平洋に権益を有するフランスも興味津々であることから、南シナ海やインド洋、太平洋をまたぐ広範囲な中国封じ込めのためのアライアンスが出来てきています。

そこに、昨今、米印がニューデリーで2 plus 2を開催し、米印間で衛星情報やGPS情報といった地理空間情報を共有することに合意し、中国人民解放軍の動向や装備を監視する機能が加わったことと、アメリカからインドにドローン兵器をはじめとする最新鋭兵器の供与が行われることは、中国を非常に苛立たせる原因になっているようです。

日本もこのクアッドのコアメンバーに名を連ね、来月には合同演習にも参加することになっていることが、北京の目から見てどう見えるのか。

そしてそれがどのような影響を日中関係はもちろん、日米関係や日本とASEANとの関係に与えるのか。真剣に対応を練っておくべきでしょう。

国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ

 

print
いま読まれてます

  • 11~12月開戦の情報。米大統領選の混乱に乗じ台湾攻撃に出る中国
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け