11~12月開戦の情報。米大統領選の混乱に乗じ台湾攻撃に出る中国

 

日本に突きつけられた課題

では、このような情勢に直面し、(尖閣諸島問題を身近な課題として抱える)日本としてはどのような課題が考えられるでしょうか。

日米関係の観点からは、大統領選の結果に関係なく、さらなる貢献を求められるだろうと思われます。

たとえば、エスパー国防長官が言うような【GDP2%を防衛費に】という要請にどう答えるか。ちなみに豪州は、2021年度からは今の1.7倍の規模にするそうですが、日本は、名目上は“軍隊”を保持しませんから、どのように正当化するのか、そもそも可能なのかについても、すでにしていることとは思いますが、検討し具体的な行動を考えておくべきでしょう。

そして、【もし、バイデン氏が大統領になったら…】という淡い期待は捨てることでしょう。急に外交方針、特に国家安全保障にかかわる内容について急転換は不可能だと考えられるため、パーセンテージについては交渉の余地はあっても、日本にさらなる貢献を求めてくるのは確かでしょう。

それは、対中国という観点に加え、オバマ政権時に大失態を演じた北朝鮮情勢を迅速に解決するためにも、日本のon-the-groundでの貢献と直接的な行動が必要だと考えられるからです。

日本として難しいのは、日米同盟を基盤とするという基本姿勢は変わらないでしょうが、安倍政権下で改善した日中関係に影を落とす事態は避けたいとの思惑も同居していることでしょう。

メディアを騒がせ、かつ自民党内でも賛成と反対が激しく対立する【習近平国家主席の国賓としての訪日】案件について、菅政権がまだ明確な方針を示しておらず、あくまでも【コロナなどもあり時期が適切ではない】との理由から結論先延ばしになっていることからも見えるように、中国への“配慮”が感じ取れます。

また10月に訪日したポンペオ国務長官と菅総理が会談したことを受け、11月には王毅外相とも会談する運びになっており、これは菅政権と外務省が非常にデリケートなバランスを保ちつつ、米中間でのシーソーゲームを繰り広げています。ちょっとした偶発的な出来事を引き金にしてこのバランスは容易に崩れることになるでしょうから、適度な緊張感を中国との間で保ちつつも、亀裂が決定的にならないためのハンドリングが要求される事態と言えるでしょう。

米中の対立が解消されるのは、まだまだ先のことだと予測しますが、それを受けて、日本をはじめとする周辺諸国はどのように対応すべきでしょうか。明確な方向性を定めておく必要があります。

とはいえ、もしトランプ大統領が再選されたら、まあおとぎ話みたいな話かもしれませんが、突然の電撃和解!なんてシナリオもあるかもしれません。それに淡い期待を抱いてしまうほど、今、米中対立を核とした、国際社会のブロック化と分断が進んでいるように思えて仕方ありません。

国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ

 

image by: Gil Corzo / Shutterstock.com

島田久仁彦(国際交渉人)この著者の記事一覧

世界各地の紛争地で調停官として数々の紛争を収め、いつしか「最後の調停官」と呼ばれるようになった島田久仁彦が、相手の心をつかみ、納得へと導く交渉・コミュニケーション術を伝授。今日からすぐに使える技の解説をはじめ、現在起こっている国際情勢・時事問題の”本当の話”(裏側)についても、ぎりぎりのところまで語ります。もちろん、読者の方々が抱くコミュニケーション上の悩みや問題などについてのご質問にもお答えします。

有料メルマガ好評配信中

    

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』 』

【著者】 島田久仁彦(国際交渉人) 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 金曜日(年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 11~12月開戦の情報。米大統領選の混乱に乗じ台湾攻撃に出る中国
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け