新型コロナウイルスがまたも猛威を振るい始め、緊急事態宣言の再発令もありうる状況となってきました。各種会合等ではオンラインの導入が進んでいますが、高齢者が多いマンションの理事会での活用にはまだまだ「壁」があるようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、さまざまなマンションの現状を紹介しつつ、理事会へのスムーズなオンライン導入法を考察しています。
オンライン理事会が可能な仕組が必要な訳は…
こんにちは!廣田信子です。
コロナ感染拡大が続く地域では、またリアルでの理事会が開催しにくくなっています。マンションコミュニティ研究会のアンケート調査では、コロナ禍でも
- 理事会が中止になったことがない が56.3%
- 1回中止 が18.8%
- 2~3カ月開催できなかった が21.2%
でした。コロナ禍が原因で理事会に出席できない役員がいたか…は、
- 出席できない役員はいなかった が43.2%
- 感染が心配で参加できない役員がいた が13.6%
- 会社に会合への参加が禁止されている役員がいた が4.7%
- 家族から止められている役員がいた が3.8%
でした。オンライン会議システムを活用したか…は
- 活用した が21.5%
でした。これを分析すると、「活用した」は、首都圏で圧倒的に多く、築年数が浅いほど多く、規模が大きいほど多くなっています。
オンラインを活用した経験がある管理組合では、コロナ感染拡大で、またオンライン中心の理事会にすることは難しいことではありません。が、オンラインを活用する準備ができていない、高齢化が進んだ高経年マンションでは、話し合うべき課題は多いのに、感染防止対策で、高齢の理事が集まりにくく、集まっても短時間で審議をするような状態が、まだまだ続くのではとちょっと心配です。
理事会にオライン会議システムを活用することについては、築年数が比較的浅く、現役世代の理事が多いマンションでは、抵抗がなく、むしろ歓迎する意見が多くなっています。
当面は、リアルでもオンラインでも参加できるようにし、オンライン参加ができる人が集会室に出てこないことで、集会室の密を防ぐという形で、理事会を進めることが中心になっていくと思います。
オンライン会議を経験し、オンライン参加ができるようになることで、プラスの要素も多くことに、管理組合が気づいています。現に、
- コロナ後もオンラインを利用したいという声が多い
- オンライン参加ができると理事の負担感が減る
- 出張が多い人、外部組合員が理事をできるようになる
- 理事会の日程調整がしやすくなる
等のご意見があります。それでも、オンラインに抵抗がある高齢者に理解してもらい、オンライン会議ができる状況を整えるのは難しいと考える管理組合が少なくありません。高齢者が多いことがオンライン導入へのネックになっていることは自由記載のご意見からよくわかります。具体的には…
- ITリテラシー、パソコンスキルがない人が多い
- そもそもインターネットというものを理解していない
- パソコンを持っていない人がいる
- パソコンどころかスマホも持っていない理事が少なくない
- 自宅にインターネット環境がない人が多い
- 会議室にインターネット環境がないがその整備にお金を支出することに理解を得られない
等々のご意見です。
一方、そう言ってあきらめてしまわないで、この機会を前向きにとらえるご意見もありました。
- 今は高齢者中心で物事が決められ若い人は参加しにくいので、ハイブリット開催を進め、若い人の参画のきっかけにしたい
- ITが苦手な高齢世代にITが得意な若い世代が、使い方を丁寧に教えることで、世代間の交流、理解を深めるきっかけにできる
という意見です。機器やインテ─ネット環境という課題については、Wi-Fi機能付きのタブレットを理事に貸し出すことで解決しようと考える管理組合もあります。で、別に難しいしくみを理解しなくても、1、2回クリックすることで会議に参加できるようにセットすることでスキル不足は解決できます。
まずは、正式な理事会じゃないところで、お試ししてみることで、意外に簡単で便利だということを理解していただけば、高齢者が多い高経年マンションでも、導入は可能だと思います。
リアルが一番で、別に困っていないから必要ないとうご意見もあります。それは、その通りだと思います。特に小規模なマンションでは当然だと思います。それでも…高経年マンションでは、将来の方向性を決めていくのに、時間を掛けて話し合う場がどうしても必要です。話し合いができない状態が突然やってきたり、長く続く状況は、危機管理上も好ましくありません。現に、コロナ禍で説明会や意見交換会ができずに、建替えの話が、止まってしまったマンションもあります。
少し、頭を柔らかくして、一つの選択肢としてオンライン活用というカードを持つことを検討してみませんか。若い居住者の中にも、自分たちの子供世代にも、オンライン会議を当たり前に使っている人たちは、たくさんいますから…ちょっと相談してみませんか。
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