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【書評】「中国人と仕事をするとドタキャンに慣れる」は本当なのか

中国人と一緒に仕事をすると、日本の常識とはかけ離れた行動の数々を見て、多くの日本人は驚いてしまうようです。それは、たとえ大手企業であってもほとんど変わらないといいます。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、北京や香港への留学経験があるジャーナリストが紹介する、日本人にとって驚愕の「中国人あるある」を網羅した一冊をレビューしています。

偏屈BOOK案内:中島恵『中国人は見ている。』

中国人は見ている。

中島恵 著/日本経済新聞出版

著者は北京大学、香港中文大学に留学、新聞記者を経てフリージャーナリスト。日本人は「あ・うん」の呼吸が通じるが、中国人を含めて外国人にはわかりにくい。しかし日本人は彼らが「わからない」ことに気がつかないし、気づくきっかけも少ない。日本の常識≠中国の常識、もっといえば国や人種に関係なく、自分の考える常識は他人の常識ではないという当然に気づかされたという。

中国ではビジネス現場でもドタキャンが著しく多いようだ。会議の時間変更や急なアポも頻繁にある。社員が数万人の大手企業でありながら、社内体制はいまだに中小企業のような感覚で効率が悪く、常にバタバタしているのに唖然としたと、欧米への駐在経験もあるビジネスマンが言う。「行き当たりばったり」の動き方は、世界的に名前が知られる中国企業でもほとんど変わらないらしい。

「何でもやってみて、ダメならやめればいい」という考え方も中国流。何でもポジティブに捉え果敢に挑戦するが、準備不足で失敗することが多いようだ。アポは「会えたらラッキー」くらいに軽い気持ちで構えるしかない。中国のSNSは「既読」がつかないから、相手がメッセージを読んだ上で無視しているのか、未読なのかわからない。どうしても必要なアポだったら頻繁な連絡が必要だ。

中国人によれば、相手はその人の「真剣度」を試している面もある。だから、どうしても会いたいならその熱意をアピールしたほうがいい。中国人同士もしつこくリマインドする。遠慮していると、そんなに重要ではない用事だったのかな、と相手に思われてしまう。「郷に入れば郷に従え」中国には中国流のやり方があるということだ。日本のビジネスマンは今も翻弄されているのか。

「電話、社会主義、居酒屋」に共通する点は何か。答えは「日本漢語」であること。「和製漢語」というのは「一応」「家来」「尾籠」など、日本人の生活に密着した独特の漢語で、中国人が読んでも分からないことが多い。「新漢語」というのは「科学」「進化」「自由」「権利」「民主主義」など、近代西洋の概念や文物を翻訳する過程で日本人が考案した漢語で、中国人でも分かる。

そして「日本漢語」とは「和製漢語」と「新漢語」の総称である。それまでこうした西洋の概念を表す言葉が日本にも中国にも存在せず、明治時代に日本にやって来た清朝の留学生らから中国に逆輸出されたのだ。中国でも西洋文物の漢語訳が進められ、「telephone」を「徳律風(ダーリーフォン)」と音を当てて訳したが、日本人の考えた「電話(ディエンホウ)」に退けられた。

新漢語から始まった日本語から中国語になった言葉は、現在も増え続けている。「照片(ジャオピエン)」は「写真」という意味で今でも通じるが、日本語の「写真(シェジェン)」も中国読みで通じる。日本語の「人気」「刺身」「居酒屋」も中国語読みで通じる。最近は「違和感」「幸福感」「社畜」「干物女」などがあり、「森女」は「森ガール」の意味であるそうだ。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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