私たちの生活様式のすべてを変えたと言っても過言ではない新型コロナウイルスによる感染症ですが、オフィス床需要にも大きな影響を与えているようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、東京ビジネス地区のオフィス需要動向調査の結果を紹介。並んだ数字からは、目を逸らしようがない事実が浮かび上がってきました。
都心5区のオフィス需要の冷え込み―空室率は4.33%に
こんにちは!廣田信子です。
三鬼商事が発表している1フロアー面積100坪以上のオフィス需要動向調査では、オフィス需要の落ち込みが鮮明になりました。
それによると…東京ビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の11月時点の平均空室率は4.33%、前月比で0.40ポイント上がっています(対象:既存ビル2,570棟、新規29棟)。
6月までの平均空室率は1%台。7月に2%を超えてから上昇の一途です。平均空室率が4%を超えるのは2016年6月以来です。
11月は、テレワークの拡大等による事務所集約に伴う解約の影響と、成約の動きが進まない状況が続いたことが要因と分析されています。東京ビジネス地区全体の空室面積は、この1カ月間で約3万1,000坪増加しているのです。
一方、東京ビジネス地区の11月時点の平均賃料は22,223円。前月比では4カ月連続で下げて、下げ幅は0.94%(211円)となりました。
また、オフィスビル総合研究所の潜在空室率(すでに解約の申し出がある退出前の空室面積を加える)に関するレポートによると、1フロアー面積50平米以上のビルの潜在空室率は、10か月連続で上昇。11月末時点では、5.50%になっています。潜在空室率が高いのは、港区6.53%、渋谷区6.25%となっています。
当面、空室率が下がる要因が見当たりませんが、どこまでオフィス床需要が減少するのか…今後も注目していく必要があります。
image by: Shutterstock.com