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JALとANAの合併は成功間違いなし?現役CAたちの希望と本音と裏事情

新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きく揺れた航空業界。11月には韓国の航空最大手である「大韓航空」が、同国2位の「アシアナ航空」を買収することが決まりました。このまま航空需要が戻らなければ、世界中で航空業界の再編が進んでいくとみられています。そんな中、日本でも報じられ始めてきたJAL(日本航空)とANA(全日空)の合併話。大手2社の統合について現役のCAたちはどう思うのでしょうか?JALや外資系航空3社でCAを務め、通算13年のフライト歴がある高橋くるみさんが、現場で働いているCAたちの声をまとめ考察します。

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合併に対するJALとANA現役CAの思い

コロナ禍の中、「Go Toトラベル」が中休みとなり、さらに機内のお客様が減る中で頑張っている客室乗務員のみなさんですが、最近あらゆる媒体でも取り上げられている「JAL・ANA統合説」には興味津々の様子です。

「そのような計画は今のところない」という各社の報道は周知の事実で、簡単に実現するものではないと思われますが、現場でも「もしも統合したら?」という話が社員の間でささやかれています。 

航空会社の中でもその立ち位置や職種、年齢によって、統合に対する考え方は異なりますが、現場を支えるJAL・ANA現役客室乗務員の声を踏まえると、興味深い視点が浮かび上がってきます。

JAL・ANAは言わずと知れた国内2大エアラインで、それぞれの社員が自社に対する“愛社精神”を強く持っています。 

しかし、その強さは20~30代の若手客室乗務員と、それより上の世代では少し度合いが異なる印象を受けます。 

この若い世代の多くは「JAL・ANAいずれかに入社したい」という思いで就職活動を行っていた人達がほとんどで、実際に現在客室乗務員を目指す人たちの多くがこの思いを抱いて受験準備を進めています。 

どちらもファイブスターエアラインでありステイタスは十分。中身に微妙な違いはあれど待遇面も良好で、安定してお仕事できる環境が約束されています。

実際にJALからANAへ、ANAからJALへ転職したCAや、それを目指している人も少なくありません。 

機内ではすでにJALで元ANAのCAが、ANAで元JALのCAが活躍しており、何ら問題なくサービスが行われています。

「降格が起ることや、条件が悪化しなければ、正直どちらの会社の社員になっても問題ありません」 

「自社の名前がなくなってしまったら寂しいけれど、コロナ禍で会社の存続自体がどうなのかという不安もあるので、両社が合併したとしても、日本を代表する唯一のエアラインで飛ぶことにみんな意義はないはずです」 

という若手は多いですが、40~50代のベテランJAL・ANA客室乗務員は、JALとANAに異なる“特性”が存在していた時代に入社したという背景もあってか、 

「企業文化が異なるので統合することには大きな違和感がある」

「しっかりと色のついた他社の経験者を指導しきれるかは疑問」
という意見が目立ちました。

image by : shutterstock

統合してもうまくいく「エビデンス」

両社の機内でそれぞれCAの“プチ合併”がすでに実現していますが、実は随分前にこの動きは「1つのエアライン」で形となっていました。

2010年まで国際線として就航していたJAL系列のエアラインJALWAYSでは(2010年JALに吸収)、新卒入社の社員とともに、数多くの客室乗務員経験者がパートタイムとして乗務できるシステムを構築していたことをご存じの方も多いはずです。

あらゆる航空会社の経験者が乗務していたのですが、そこで大活躍していたのが元ANAの皆さんです。

当時JALWAYSで責任者として乗務していた、JALの元客室乗務員によると、

「機内の客室乗務員の8割が元ANAの人となった便もありましたが、極めて仕事ができ、ANAの経験者が一緒だと安心して任せることができた」

と語っています。

カラーが異なるとはいえ、両者ともに経験者を重んじる企業背景や、やや保守的な職場環境は非常に似ているからかもしれません。 おそらく両社が入れ替わっても同じ状況が垣間見られたはずです。

どんな背景にあってもそれなりに対応していけるスキルは、日々異なる初対面のお客様やメンバーと、業務を積み重ねてきたゆえに獲得できた、客室乗務員ならではの武器となっています。 

現在は最大のライバルだとしても必要となれば力を合わせ、世界でも類を見ない高いレベルのサービスを提供できる航空会社を作る、彼女たちはその礎となりえるはずです。 

2社それぞれの存続、統合、いずれの道となったとしても、今後の日本のイメージを生みだす重要なポジションを担っているという意識を、客室乗務員たちはこれからも持ち続けていくでしょう。

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image by : viper-zero / shutterstock

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