「退職日」に要注意。定年以降に働いた分の年金額で得する人と損する人

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複雑な仕組みや計算方法の面倒くささから、若いうちはどうしても興味を失いがちな「年金」。しかし、歳を取るたびに「年金受給者」となる時期は近づきつつあります。例えば、年金をもらう年齢まで働く予定の人は、働いた期間分の年金はいつもらえるのかご存知でしょうか? メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』の著者で年金アドバイザーのhirokiさんは、多くの人から質問があるという定年以降に働いた分の年金額について、「退職日に気をつけて」と注意を促しています。年金で損しないために必要な「退職日」の知識とは?

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「無年金」期間中に働く人が増えている

現在は厚生年金の支給が60歳から65歳への引き上げの最中であり、そのため定年してからもしばらく年金が貰えない期間があるというのは普通になってきました。

しばらく無年金期間ができるため、年金を貰うまでは働き続けるという事ですね。

また、年金額は必ずしも十分な額ではないため、少しでも働いて年金を増やすという事も積極的になってきました。

年金を貰いながら厚生年金に加入して働くと年金が停止されたりするので、在職者による年金相談は非常に多いです。

定年以降に働いた分はいつから年金額が増える?

それと合わせて、定年以降に働いた分はいつから年金額を増やしてくれるのか?という点ですね。

これには年金額を再計算するタイミングがあって、まず退職してから1ヶ月経った日の属する月から年金額を変更します(これを退職改定という)。

例えば、1月31日に退職したら、2月28日(うるう年なら29日)が1ヶ月経った日の属する月となって、2月分から年金額を変更する。

なお、「1ヶ月」というのは30日間とか31日間後というものではなく、単純に1ヵ月経った日なら翌月というふうに考えていい。

まあ3月5日に退職したら4月5日が1ヵ月経過した日ですね。

1日違いで1ヵ月分も変わる? 「退職日」に注意すべき理由

ところで年金額に組み込む月数はちょっと退職日によって気をつけなければならない。1日違いで1ヵ月分が異なったりする。

さっきの1月31日の月末退職であれば1月までの期間を年金額に組み込んで、2月分から年金を変更する。

しかし、1月30日に退職してしまうと、前月の12月までが年金額に組み込まれる期間となる。1月30日退職者は年金額の上では1ヵ月少ない年金となる。

なぜこんな事になるかというと、退職した日の翌日は喪失日という用語がある。「喪失日の属する月の前月まで」が年金期間という事を覚えておく必要があります。

退職した日は一応まだ厚生年金に加入してる日ではあるからまだ資格はありますが、翌日になると完全に加入してる時間は無いから喪失する。

1月31日に退職は2月1日に喪失するから、1月まで年金期間になる。しかし、1月30日に退職すると31日に喪失してしまうから12月までの期間が年金期間。月末退職と、月の途中の退職では年金期間が1ヶ月違う事は気を付けておきましょう。

退職しなくても、1年に一回は年金額を変更する年齢は?

話を戻しますが、じゃあ退職しなければどこで年金額を変更するのかというと65歳到達日、その後も働き続けるなら70歳到達日に変更する。

65歳から70歳になるまでに退職するなら、退職から1ヵ月後です。

ということは…65歳以降も働き続ける場合は退職しないと、70歳まで年金が変わらないのかあ…というジレッタイものはありますよね^^;

なので令和4年4月からは65歳以上の在職者に対しては、1年に一回10月に年金額を変更する事になりました。

退職しなくても1年に一回は年金額を変更するって事ですね。

これを在職定時改定といいます。

1年に一回改定してくれるので確かに良い改正だと思いますが、良い面と損する面もあります。

それは加給年金と振替加算です。今回の改正点と気を付けるべき点を従来の形と、改正後を比べてみましょう――

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
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