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追い詰められた習近平。香港・5G・台湾政策に見えた焦りと綻び

昨年の香港への「国家安全法」の導入をはじめ、他国からの非難の声や警戒を顧みず、性急に事を進めようとする傾向が見られる中国。彼らはどのような行動原理のもとに動いているのでしょうか。今回の無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』では、株式会社オンザボード代表の和田憲治さんが4つの「証拠」を挙げ、「中国は明らかに焦っている」としています。

習近平の焦りと国家安全法

和田です。

中国・習近平は明らかに焦っています。

以下に示す4つの時期が到来すれば、「栄光」はほぼ自動的に手に入るのに、あえてわざわざ火中の栗を拾うが如く事を展開しているようにしか見えません。

1.【香港】

2020年6月30日に可決され、7月1日に施行された中国の香港「国家安全法」は香港の一国二制度を崩壊させました。

29条には、外国人と共謀して中国中央政府あるいは香港当局への「憎悪」を誘発する行為は犯罪とみなされる可能性があると規定して、デモをしてもテロとして集会の制限されたり、逮捕されることすらあり得ます。

また、38条には、香港に居住していない外国人が起訴される可能性もあるということなので、中国、香港だけでなく、日本やアメリカで中国共産党批判をしてもアウトです。中国の都市をトランジットで訪れることも危険だし、エアチャイナやキャセイパシフィックなどの中国系の航空会社に乗ることももはや危険です。

「国家安全法」の表現は曖昧であるがゆえに、当局の以降次第でなんとでもなります。

英国の植民地だった香港は1997年に中国に返還され、その後、香港は中国本土からの規制を受けない、自由な高度な自治が認められていました。しかし、その期間は「50年間」と決まっていたので、本来、中国は大人しくして黙っているだけで、2047年には、誰に文句を言われることもなく安々と香港を手に入れることができたのです。香港併合を待てなかった。

2.【5G覇権】

これも、大人しくしてさえいれば、アメリカに睨まれることもなく、全世界にファーウェイ製の5Gシステムを着々と導入することが出来ていたかもしれません。警戒されつつも自由競争だからといって、激安で高性能なファーウェイ機器は受け入れられたでしょう。

3.【GDP世界一】

中国にとって良い報道としては、中国経済は拡大を続けており、近くGDPでアメリカを抜くというもの。GDPで逆転すれば軍事費も逆転できます。よって中国は覇権を握ることができます。

しかし、良くない報道もあります。それは中国の経済データは捏造だというものです。実際の感覚として、果たして、毎年7%成長をそう何年も続けられるものなのか?

そもそも中国が発表する経済データが嘘にまみれているからなのではないしょうか?今が経済成長のピークであり、自身の力、中国の力のピークであるならば、アメリカの覇権に挑戦するなら今がチャンスだと考えたのではないだろうか。

4.【台湾総統選挙】

2020年1月の台湾総統選挙は蔡英文が圧勝しました。

しかし、1年前までは対抗馬の親中派の韓国瑜に対して、絶望的に劣勢でした。ではなぜ、逆転できたのか?香港の一国二制度が崩れたからです。

2019年から香港の逃亡犯条例改正案に反対するデモが大規模化し、中国側からの鎮圧に暴力が繰り返されました。2019年10月1日の中国の建国記念日にあたる国慶節の記念式典で習近平は、「平和的統一と一国二制度の方針を堅持する」と発表しましたが、この習近平の言葉は、香港の現状を見ればまったく信用できるはずがありません。当然、そう思ったであろう、台湾国民が動いたのです。

上記をみても、わざわざ警戒されるように持っていってしまうほど、焦りがあるのか、それとも強制的にやってできる自信があるのか?

なぞですね。

和田憲治 ON THE BOARD https://twitter.com/media_otb

和田憲治

image by: Kaliva / Shutterstock.com

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【著者】 アメリカ通信 【発行周期】 週刊、不定期

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