中国「海警法」成立で尖閣危機。毎日以外が報じない日本の突破口

 

実を言えば、この部分にこそ日本が中国と渡り合い、その拡張主義を撥ねのけていくうえでの突破口がのぞいているのです。領海法の改正にあたり、日本も中国と同じように「管轄海域」での強制措置を可能にすると謳えば、中国の船や航空機に対して「この海域は日本の管轄海域だ」と主張できるようになり、ガチンコの勝負を避けたい中国への歯止めとなるのです。

毎日新聞以外のマスコミは、海警法成立の動きと、それが尖閣に及ぶ影響などを伝えたに過ぎません。読売新聞にしても「法執行の場として、領海、排他的経済水域(EEZ)だけでなく『管轄するその他海域』との定義も示し、『有事に際して公海上でも外国船を妨害するのではないか』(外交筋)との懸念が出ている」と、管轄海域という表現に注意を払っているとは言えない書きぶりです。これでは、日本国民に領域を守ろうという意識が育つ訳はありません。新聞各紙の奮起を期待したいと思います。

ひとつだけ毎日新聞の記事に注文をつけるなら、「中国海警局の船は機関砲を備えるなど既に重装備化が進み」というくだりです。

日本の新聞は注意を払っていないようですが、巡視船の武装を比較するなら、40ミリ、30ミリの機関砲、20ミリバルカン砲、12.7ミリガトリング砲を備えた海上保安庁のほうが圧倒的に重武装であり、尖閣周辺で行動する中国海警の船は4隻編成の場合でも武装しているのは1隻にとどまっているのです。76ミリ砲を積んだ大型巡視船も10隻で、尖閣諸島で前面に出てくることは控えています。中国のほうが重武装のはずだという思い込みは、ジャーナリズムの視線を曇らせかねないので要注意です。(小川和久)

image by:Igor Grochev / Shutterstock.com

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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