日本は大丈夫か。米住宅街にボーイング777巨大エンジン落下の衝撃

 

2つ目は、ファンブレード破損という事故の恐ろしさです。一見すると、ファンブレードというのは扇風機の羽根、あるいはプロペラ機のプロペラのように見え、それが部分的に破断したとして、せいぜい風を吸い込む力、要するエンジンの推力が低下するぐらいというイメージがあります。

ですが、実際はそうではありません。最新のジェットエンジンにおける、ファンブレードというのは、非常に重要な部品です。扇風機の羽根やプロペラ機のプロペラと違って、重たい高剛性の羽根が高速で回転しており、猛烈な量の空気を吸い込んで猛烈な速度で後方に押し出すことで推力を得るものです。その羽根が折損するというのは、空気が無抵抗で通ってしまうというよりも、巨大な回転体のバランスが崩れることを意味します。

今回の事故機がそうですが、本当に見た目は僅かなブレードの損傷によりエンジン全体のバランスが崩れてパワーを失っているにも関わらず、ずっと細かな振動を続けていたわけですが、特に折損の瞬間にかかるエンジン全体への力は相当なものになります。ですから、今回はカウルだけでなく全体的に外側のカバーが破損、脱落しています。それは燃料に引火して爆発したのではなく、折損によって回転体が巨大な振動を発生して構造破壊に至ったということです。

3つ目は、同じ777用のエンジン選択肢に入っているGEの新世代エンジンとの比較です。GEのエンジンでは、ブレード損傷が発生すると、ワザと「ヒューズ機構」を破損させて残ったブレードがファンケースと激しく接触して摩擦により回転を止め、それによって衝撃や振動を止めることで「破損をエンジン内部だけに限定する」という設計になっているそうです。今回、JL機とUA機で類似のインシデントが起こったことで、P&Wの旧世代エンジンに対しては改めて厳しい批判がされそうです。

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