ローソンの事例はこれまでのクロスブランドと何が違うのか?
今回のローソンの取り組みも、もちろん同じ狙いがありますが、それ以外の取り組みによる更なる狙いもあります。
ローソンのこれらのコラボ商品を購入すると、売り上げの一部などが幸楽苑に還元されます。
さらに、幸楽苑の店舗で使える割引券をレシートで発行するので、幸楽苑の実店舗への送客にもつなげられます。
コンビニ側のメリットとしても、競争が激しくなり販売が伸び悩むなか、知名度の高い外食企業と組むことで、コンビニでは「ローソンにしかない」商品を店頭に置くことができます。
これは、商品の開発力やブランド力を高めることもできる上に、顧客からすると「ローソンに行く明快な理由」になるので、いうまでもなくローソンにも大きなメリットがあります。
また、コラボ商品の単価は定番商品と比べて1~2割高めでも売れる傾向にあります。
流通ニュースによると、昨年12月にローソンが発売した東京・浅草の老舗レストラン「洋食屋ヨシカミ」のビーフシチュー弁当は、コンビニとしては高めの800円でしたが、その美味しさからSNSなどで話題になったこともあり、販売数は定番弁当の約4倍になったとのことです。
また、ローソンでは、「串カツ田中ホールディングス」や、洋食店「たいめいけん」など35社と提携を始め、2021年1月には60社と、過去最大級に増やしてお互いの集客につなげています。
昨年からのコロナの影響で飲食店も苦戦している中、売り手、商品元、買い手に便益がある「三方よし」、関連するステークホルダーのことを考えた、良質なエコシステムの好事例です。
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