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経営統合を検討のエア・ドゥとソラシドを新聞はどう報じてきたか?

コロナ禍による鉄道や航空会社の大きな赤字の話題が連日報道されています。そして14日、エア・ドゥとソラシドエアが生き残りのために経営統合を検討していると新聞各紙が伝えました。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんが、毎日新聞の記事を元にこの動きを解説。さらには東京新聞が過去に掲載した「エア・ドゥ」に関する記事を検証し、航空業界の苦しい現状を伝えています。

新聞各紙が伝えたエア・ドゥとソラシドエアの統合

きょうは《毎日》から。エア・ドゥとソラシドの統合についての記事を各紙掲載しています。エア・ドゥは96年に設立され、2002年に民事再生法適用を申請後、全日空の経営支援を得て2005年に再建。ソラシドエアは1年遅れて97年に設立。2015年まではスカイネットアジア航空の名を使用していた航空会社。2001年以降、産業再生機構と全日空から支援を受け、事業を再生した経緯がある。

試しに《東京》の5年分のデータベースで「エア・ドゥ」を検索すると、13件にヒット。きょうはこれが対象です。まずは《毎日》6面記事の見出しと、【セブンNEWS】第5項目の再掲から。

エア・ドゥとソラシドエア
共同持ち株会社設立へ
来年秋にも

北海道と東京を結ぶ路線が中心のエア・ドゥと主に九州・東京間を運航するソラシドエアが、共同で持ち株会社を設立し、経営統合する検討を進めていることが判明。月内の基本合意を目指す。コロナ禍で航空各社の業績が著しく悪化する中、再編は初。

以下、記事概要の補足。両社は事実上の経営統合により、機体整備や資材調達などで協力し、効率化することが狙い。2社は事業会社として持ち株会社の傘下に入り、ブランド名はそのまま。また、両者の筆頭株主である日本政策投資銀行に対して、各々数十億円、資本増強の支援を要請する。コロナ禍の影響で、両社の20年9月中間単体決算は、エア・ドゥが67億円、ソラシドエアが54億円の、それぞれ最終損失を計上。

●uttiiの眼

両社は、規制緩和で90年代後半にスカイマークと共に設立された、いわば「第3」「第4」、あるいは「第5」の航空会社。いわゆる「LCC」(格安航空会社)とは違う位置付けだったが、利用者にとってはフルサイズのキャリアーとは違うものとして、ほぼ区別せずに利用されてきたものだろうと思う。コロナ禍で航空会社はどこも大変な状況だが、2社が業界再編の対象になるのは当然のことかもしれない。

【サーチ&リサーチ】

*5年分の記事の中では、2016年7月の記事が最初になるが、いきなり残念なニュース…。

2016年7月29日付
「設立20周年記念の特別塗装機「ベア・ドゥ北海道JET」の羽田発札幌行き第1便の運航を見送った。燃料計の値が表示されないトラブルがあり、別の機材に変更した。新たな運航予定は未定」とのニュース。

*その後、エア・ドゥとは直接無関係な空港内トラブルや緊急脱出訓練などのニュース。経営に関わりそうなのは次の記事。

2017年11月1日付
「AIRDO(エア・ドゥ)は10月31日、退職による機長不足のため、11月に札幌と羽田、仙台を結ぶ路線で計34便を欠航すると発表した。全路線の便数の約2%に当たるという」

*翌年2月にも同じ理由で26便を欠航。パイロット不足ではLCCでも欠航が相次ぐ。

2019年3月9日付
「国土交通省は8日、1月以降に発覚したパイロットの飲酒不祥事に関し、AIRDO(エア・ドゥ、札幌市)や全日空グループのエアージャパン(千葉県成田市)など計5社に対し、厳重注意の行政指導をした。このうちエア・ドゥの機長と、エアージャパンの副操縦士(当時)の2人には、航空業務停止60日の行政処分を出した」と。

2019年8月24日付
「国土交通省の有識者委員会は23日、羽田空港国内線の発着枠の一部を航空会社6社から回収し、新千歳、大阪、福岡、那覇以外の地方路線に優先して再配分するよう求める報告書案をまとめた。観光客の呼び込みや地方創生を後押しするためだ」と。「6社」とは、「日航、スカイマーク、ソラシドエア、AIRDO(エア・ドゥ)、 スターフライヤー」。

●uttiiの眼

航空会社に関する記事は、告知的なものを除けば、不具合や事故、不祥事に行政指導…といったマイナスのものが多くなるのは仕方がないのかもしれない。コロナ禍で揺さぶられている航空会社には、装置産業的な1面があるだけに、今までとは比較にならない厳しい状況に置かれている。

image by:Thiago B Trevisan / Shutterstock.com

内田誠この著者の記事一覧

ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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