単に貸すだけじゃない。無印がキッズ用家具のサブスクを始めた狙い

 

無印良品の方も、お客様にサブスクで借りてもらう期間中に、子供用の服やベビーグッズや、自分のものもついで買いする機会も増えるので、ここでも売り伸ばしに繋がります。そして、この定額期間が終わったとしても、このサブスクサービスに対するお客様の満足度が高ければ、無印良品のファンになり、サブスク終了後も、商品を継続的に買ってもらえることにつながります。

また、サブスクを利用してくれたお客様にお子さんがいること、何歳くらいか、という顧客データを入手できます。このデータを活用し、お子さんの成長に応じたおすすめ商品の、メールやDM、クーポンなどを送ることもできます。お客様のことを知っていればいるほど、そのお客様に適した商品やサービスを提供できることになるため、単なるベビーベッドのサブスク、というだけではなく、トータルでのマーケティング戦略として、参考にできることが多い企画です。

無印良品の新しいチャレンジ

無印良品が様々な新しいチャレンジをしているのが目立ちます。横浜の高島屋港南店が昨年閉店した跡地に、今まであった無印良品の港南バーズを移転して、それまでの9倍の面積の大規模店舗をオープンしました。高島屋がなくなって困っていた、という声を聞いて、この決断をしたそうです。

まずは4月から1階で服や雑貨を売っていて、さらにそこに5月から地下では食品の販売も開始しました。ここでは、クイーンズ伊勢丹と中島水産の2社と協業して、生鮮食品も販売しています。内訳は、無印良品が約7000点、クイーンズ伊勢丹と中島水産が、それぞれ1万点以上の商品を揃えているとのことで、かなりの規模です。

ここでは、単に食材を売るということだけではなく、お菓子やコーヒー豆、とかナッツやドライフルーツ、といった50種類以上の食品を、1グラムいくらで、「計り売り」していたりするので、私もそうですが、料理をする人にとっては、珍しいものも手に入るお店で、人気も出そうです。

さらに、地下1階にはキッチンもあり料理のプロから学べたり、それをインスタで配信できるようにするそうです。こうなると、お客様は単に買い物に来るだけではなく、楽しみに来る、ということになり、店として選ばれる理由にもなりますし、店にいる時間も増えて、さらに売り伸ばせそうです。

小売業は買いに来る頻度が高いほど売り上げが上がります。生鮮食品は、色々な商品の中でも、最も買いに来る頻度が高いカテゴリーなので、これによって、1階の服と雑貨の店舗でも、ついで買いが起こる可能性がありますよね。

サブスクを開始したり、食材の店をエンタメパークのようにしたりと、無印は新しい手を打ってきますが、どれもやはりお客様の隠れたニーズをしっかりと見つけ、そこに自社のできることをあてている、という印象があります。その意味でも、このサブスクサービスや、生鮮食品の販売がこれからどう進化していくのか、とても楽しみです。

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