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アイコラ写真をLINEで回し援交の噂を流す、卑劣ないじめ加害者たちの無反省

これまで数々のいじめ問題を解決してきた、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。そんな阿部さんの元には、日々さまざまな「声」が寄せられると言います。今回、阿部さんが自身のメルマガ『伝説の探偵』で紹介しているのは、とある高校で起きた「猥褻いじめ事件」で退学となった加害生徒の母親からの電話の内容。その言い分は、反省の色など微塵も感じられないあくまで自己本位のものでした。

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いじめ加害者とアンチ虫

いじめの内容・概要

女子生徒が少ない公立高校で、女子生徒に対する男子生徒からのいじめが発生した。

被害生徒の申告によれば、顔を盗撮され、裸の女性が性行為をしている写真に盗撮された顔を貼り付け合成されたアイコラ写真をLINEグループで回されたり、援助交際をしていると噂を流されたりしたとのことであった。

暴言や廊下を通れなくするような嫌がらせも多く受けるということであったので、手っ取り早く録音機を持ってもらい、その様子を録音してもらった。

被害は異常であった。

録音には男子生徒の声で笑いながら、「5,000円でやらしてくれるってホント?」など、滅茶苦茶な暴言が複数ハッキリと入っていたのだ。

当初、学校は「何をやらしてくれるのか?わからない」などと寝ぼけたことを言っていたが、しっかりと詰めていくことで本腰を入れることになったのだ。

学校の調査の中でアイコラ写真や卑猥な噂話などが明らかとなり、この加害行為の中心人物と拡散に積極的に協力した生徒は退学処分もしくは無期停学処分(事実上の退学処分)となり、その他の生徒らも保護者への事情説明の上、厳重注意となったのだ。

被害生徒については、女性教員が複数人で在学中は付き添うことになった。セクハラ相談などができる場を設けることは、交渉によって合意が得られたが、これについては時間を要するようであった。

加害者母親からの抗議

ここまでの対応を終え、今後は経過観測をしていきつつ、一定確率で起きやすい報復を如何に処理していくかを事務所で話し合っているときに、いじめSOSの電話が鳴った。

電話は非通知であったが、電話を取ると、事実上の退学処分となったアイコラ写真を作ったり、卑猥な暴言を吐き続けていた加害生徒の母親からであることがわかった。

「アイコラ写真は中心となった男子生徒から脅されて作ったものです。○○ちゃんは、そんな悪い子ではないんです」

 

─では、暴言はどうして吐いたんでしょうか?理解に苦しみますが。

 

「それも脅されたに違いありません。小さいころから私は知っているんです。そんな悪い子ではないんです」

 

─あの、そういうお話でしたら電話切っていいですか?

 

「ちょっと待ってください。あの子にだって学ぶ権利はあるんです。憲法で保障されているんですよ」

 

─高校は義務教育ではないんで保障はされてませんよ。では。

 

「あの被害の子だって、ずいぶん遊んでいたみたいじゃないですか!インスタで派手に遊んでいる写真だってあるんですよ」

 

─河原でのバーベキューのことですかね?インスタの写真とは?

 

「そうです。若い金髪の男とか、派手そうな男と仲良さそうに遊んでいる写真があるじゃないですか?」

 

─あー、あれは親戚ですね、従兄弟らと家族でバーベキューに行った時の写真です。

 

「え?」

 

─それから、処分をしたのは学校です。私に抗議しても何かが覆ることはないですし、時間の無駄ですよ。では、切りますね。

 

「うっ、訴えてやる!!」

 

(電話録音─テープ起こし、要約)

加害生徒の母親からの抗議の一部始終はこういう無為なものであった。

我が子の言い訳を真に受けて抗議をしてきたのであろうか。あまりに稚拙で時間の無駄だが、この日は、申し合わせたかのように処分生徒の母親らからの抗議の電話が鳴り止むことはなかった。

共通するのは、「被害生徒にも落ち度があったはずだ」という主張で、反省の色などまるでないものであった。後日、学校側の担当者に事態を報告して、警告としての通知書を処分生徒の保護者に対して発行することになったが、学校側にも「人権侵害だ」「加害者とはいえ未成年の学生の未来を奪う不当な処分だ」との抗議の電話や校長への面談の強要があるとのことであった。

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加害者は反省しないものだと思っていい

ここまでの対応をしてしまっている加害者はまず反省しないと思っていいだろう。そもそも、自らの行為を省みる環境がないのだ。結局、誰かのせいにして他罰的に物事をみることでしか自己肯定を得ることができないパーソナリティなのだろう。

そもそも、学校は「治外法権」ではない。確かに一部、治外法権ではないかと思える事件は起きているが、彼らのやったことは犯罪行為そのものであり、学校の処分以外に被害側が処罰を求めれば、未成年と言えどそれなりの記録が残るはずだし、大人がやれば一発アウトの犯罪行為である。

そうした状態に至っていながらも、まだ自己の行為を省みたり、我が子の行為を注意できないばかりか、介入した団体である我々や処分をした学校に抗議をしてしまうのである。

救いようがないとはこのことを言うのではなかろうか。

私は加害者の父親からも電話を受けているが、このメルマガのことや2021年6月現在も「やわらかスピリッツ」で連載中となっている「いじめ探偵」について言及され、ネット上で叩いてやると脅迫を受けている。

先日、東京都江東区のお弁当屋さんで暴れた客が問題となってニュースになっていたが、それと同様に「ネットで炎上させたるから覚悟しておけ!」とインチキな関西訛りの捨てセリフを吐かれたのだ。

一定数生じるアンチと妨害者

いじめ問題に係る団体の大半は「予防対策のみ」対応の相談を受け付けないものか、「相談カウンセリング」対応のお悩み相談の傾聴対応に分けることができる。

一方、直接的な介入をする団体というのは、ごく少数であり、実働している団体は指で数えることができるほどしか存在しない。

その上で、直接対応する団体の中でも、学校や教育委員会と被害者との折衝をメインにする「中立」派と被害側を擁護する「被害者」側に立つ団体に分けることができる。

その実、私は「被害者」側に立つことばかりが目立つだろう。実際は話し合いを円滑に進める作用を役割として担うこともあるが、全ての始まりは、被害側の保護者や本人からの要請を受けて介入をしていくから、やはり、被害側の味方になる。

犯罪を挙げる刑事さんが犯罪者に恨まれるのと同様に、私も案件対応をすればするほど一定数の加害関係者から恨みを買うことになるわけだ。

また、私自身がテレビに出たり、漫画の原案をしたり、雑誌の取材に応じる機会も比較的多くあると、その都度、一定数のアンチがまとわりつくことになる。

ある番組のディレクターさんがいうには、

「今回のテーマと全く関係のない話で、ああいう奴は取り上げるな。天下の○○局が、そんなにネタに困っているのか?情けない」

という抗議を受けたと話してくれた。この出演の際のテーマについて抗議の先の人物に質問をしても、それについては全く回答しないということであったので、これはきっと、私に挙げられたことのある加害者の関係者なんだろうと思ったそうだ。

こうなると、アンチというより妨害者になろう。

ただこの程度だと問題になりづらく、名のある企業である放送局は、「貴重なご意見ありがとうございます」と答えるのだ。

妨害者はそれでいい気になるのだろうが、この言葉を翻訳すれば「おい暇人、馬鹿言っていないで、さっさと終わらせてくれよ」なのである。

ただ共通することは、彼らに反省の余地はないということだ。誰かをいじめることは、その誰かに原因があって、自分は悪くないのだという歪んだロジックから抜け出すことができないのである。

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「いじめ」は加害者の責任である

私は何度も言ってきた。大半の専門家も私と同じ主張である。

いじめは、加害者の行為選択の末に起きていることである。

「仮に」加害者から見て被害者に何か落ち度があったり、何かむかつくことがあっても、いじめをするという行為を選択したのは加害者の責任なのだ。

ABC理論で考察しても、Aという「出来事」が生じ、それによってBという「受け止め方」があり、Cという「感情」が生じる。Bの「受け止め方」は固定観念や思い込みなどが影響するから、いじめ行為の選択は、このBに問題があるケースがあると言えるだろう。

加害者の多くは、このBの部分の主張を繰り返すことが多いが、それは事実ではなく、歪んだ解釈なのである。

さらに、「キレる」ような非合理的行動は一般社会で許容される範囲ではないから、出来事となるAからいきなりCの感情に作用するというのは、稚拙で心のありようが未熟であるといえるのだ。

一方、そのプロセスの中で「いじめをしない」という選択肢は必ずあるのであり、自らの行為に責任が生じるのは自然の道理でもある。

後悔し改心すれば、それはいずれ糧となろうが、そういう環境がないというのは不幸の極みなのかもしれない。

但し、いじめの多くは、加害者の嫉妬が原因であったり、支配関係の人間関係を好む傾向から生じることがあるということに言及しておく。

そして、専門家の大半がその論理的で建設的な様々な研究や実態調査を経て、いじめは「加害者の一方的な責任」に帰結すると結論付けている。

世の中には未だ十分な論理的思考ができない大人がたくさんおり、その中には時流の流れなどで影響力を持ってしまう人がいる。そういう人物が、実態を知らずに「被害者原因論」を持ち出してしまうことがある。

そして、主張の正しさより誰が言うかが重要視されることが世の常であり、その影響力に流されやすかったりする人物や、私の周りに沸くアンチ虫のような属性の人間が「被害者原因論」を必死に補強したりすることで、一定の賛否両論が生じることがある。

ただ、それは炎上商法でも一抹のボヤに過ぎないのである。

現場ばかりにいる私は抜いても、世の碩学といえる立派な研究者が出した結論に時間が経つに伴い問題の考え方は帰結する。

影響力のある人物や誤った認識の教育者から「被害者原因論」を突きつけられて苦しんでいる被害者やその保護者も多くいることであろうが、いじめは加害者の責任に終始する。

「自信をもって被害者は微塵も悪くないと言おう」

そして、今悩む方や交渉前の方に1つ覚えておいてほしいことがある。

加害者の中にも反省できる環境にある者は、呼び出さなくても、話し合いを求めなくても、自ら謝りに来るものだ。

私も親の立場であるが、仮に我が子が何かをやったとなれば、時間を削ってでも謝罪に出向く。そういう親の姿は極めて大事なことなのだ。

どんなに裕福な家庭であっても、社会的なステイタスが高い職業に就く親であっても、こうした対応ができない親はその段階で親として未熟であるとしか言いようがない。

自ら積極的に謝罪ができない加害側は基本的に反省の「は」の字もないのである。

反省だけなら猿でもできるという放送コードギリギリのCMがその昔あったが、それで言えば、サル以下の環境の加害者には、容赦をすることはないし、情状酌量する必要は一切ないのだ。反省できる施設は社会の構造として用意されている。そうした施設に入ることは人権侵害にも何にも当たらないだろう。

さらに言えば、いじめ問題に詳しい精神科医さんらは、被害者にはケア、フォローが必要であるが、同時に特に常習加害者については、治療的アプローチが必要だと説く。

海外ではそうした取り組みの方がスタンダードであるという現実もある。

未来の常習犯罪者を生み出さないためにも、加害者には治療を受けさせてはどうだろうか。さらに、反省ができる家庭環境を作れない加害保護者にも、遅れながらも治療プログラムを用意するのが建設的社会の創造につながるかもしれない。

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編集後記

いじめ問題がメディアに報じられ、一部炎上が起きるほどの問題となると、必ず出てくるのが、「加害者の将来」主張です。

ネットでは特定班が動き、次々と個人情報が晒されます。もっとも、間違った情報も出るので、二次被害が発生することもあり問題視されています。

仮に間違った情報がネット民によって晒されれば、それ自体は注意すべき問題なのですが、ここにマウントして「加害者の将来がー」「加害者の人権がー」と騒ぎに便乗したりします。

私も毎回この「加害者のー」ということは質問されますが、私の答えはいつも同じです。

「加害者の前に被害者の人権を考えています」

確かに加害者が更生する道筋は作るべきだと思いますが、命を絶つほどの被害や一生苦しみ続ける被害者の人権には配慮が足りないと思いますし、社会全体として被害者を支えるインフラはまだまだ未整備の状況だと思います。

こうした道筋には、様々な意見や実態に対応していく必要があり、一足飛びに、何か簡単な裏技があるとは思えませんから険しい道であろうと思います。

これについては、NPO法人ユース・ガーディアンの他のメンバーなども迎えるか意見を予め集めて、「まぐまぐ!Live」で読者の皆様とお話しできたらと思います。

「まぐまぐ!Live」については、予定が決まり次第、『伝説の探偵』の号外を使ってお知らせするようにいたしますので、ご意見のある方や一緒に考えたいという方はぜひとも『伝説の探偵』への登録をお願いいたします。

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image by: Shutterstock.com

阿部泰尚この著者の記事一覧

社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
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