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他人と比べるのも善し悪し。子供の成長を促す「比較」のしかたは?

親しい人や近くにいる人と自分をつい比較してしまうという人がいます。比較して自分と変わらないことや自分より悪い状態を確認して安心するという子は、小学校高学年頃から増えてくるのだとか。メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』著者の柳川由紀さんは、「他人との比較で安心する子」は「他人の評価を気にする子」で自己肯定感が低くなりやすく要注意と伝えます。ただし、比べること全てが悪いわけではなく、自己肯定感を高める比較の仕方も伝えています。

他人と比べるのは良くないの?

1.他人と比較すると…

他人と比較するのはやめましょう。と言われますが、なぜだと思いますか?それは他人と比較して、自分を卑下したり、相手を羨ましがったりして自分の心を消耗させてしまうことがあるからです。

例えば、職場で同僚たちの仕事の成果を自分と比較したり。ママ友同士で、子どもの発達具合や家計の懐具合を比較したり。はたまた、きょうだいそれぞれの立場を比較したり。自分が優位にいれば、安心できるから比較するのです。

なぜ安心できるのかと言うと、「社会的自己肯定感」が満たされるから。つまり、他人からの評価が良ければ基本的自己肯定感が上がるということです。

実はこれが落とし穴。「社会的自己肯定感」が高い人は「他人からの評価」という他人軸で生きていて、それによって自己肯定感が上がったり下がったりするわけですから、「いい子」であろうとしてしまう人です。小学校高学年以上に多いのですよ、実は。

こういう子供たちは要注意です。一番サポートが必要なのですが、明るく友達も多いタイプなので、必死にそう振る舞っていることに、大人たちは気づきにくいのです。これではストレスがたまり、心が疲弊するばかりです。

優位にいなかったらどうなりますか?「ああ、自分はダメだ」「自分は何もできない」などと自己否定をしてしまい、どんどん、「基本的自己肯定感」が低くなり、自信も失くしてしまうでしょう。他人軸の評価による比較はやめましょう。子供が陥っていたらやめさせましょう。

2.他人と比較してみてわかることもある

一方、他人と比較したからこそ、自分を理解できる、物事を改善できる、ということもあるのです。

例えば魅力的だな、と思った人と自分を比較して、自分に足りないものを見つけることができます。勉強ができる友だちと勉強方法を比較して、自分に足りないことを見つけることができます。

心理学用語では「モデリング」とも言います。モデルになる人物を見つけ、その人物をお手本にする、というものです。この人をモデルにしたい、と思うのは、自分にないものを持っているから、自分もこうなりたい、と思うからです。つまり、自分と比較しています。

このように相手の良い点を見つけ自分に取り込もうとするための比較は自己成長のためにとても良いことです。

3.比較の仕方で自己肯定感に大きな差を生む

前向きに比較することは、自己成長に繋がります。比較することで自分に足りないものを見つけ、それを補おうと努力することで成長します。成長し達成できた時には、成功体験が生まれます。

比較→自己理解→自己成長・達成→成功体験
このステップは、自信をつける上で欠かせないものです。自信がつけばおのずと基本的自己肯定感も高まります。

一方、評価を得るための比較は、優位に立てなければ心が疲弊しますし、優位に立てたとしても、常に優位にいなければ安心できず、評価を得ようと比較し続けます。「評価してほしい」というないものねだりです。

いつまでたっても今ここにいる自分ではなく、「評価され続ける自分」を追い求め、本来の自分を認めていないこと、自己否定していることになります。つまり「基本的自己肯定感」が低い状態なのです。比較するなら足りないものを補うための前向き比較を心がけましょう。

よく言うのは、「昨日の自分と比較して、成長を確認しましょう」です。確かに、この比較ならば自己成長を確認できます。是非、この自己比較も併せて「基本的自己肯定感をアップさせましょう」。

image by: Shutterstock.com

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家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。子どもは、親のサポートの仕方でずいぶん変わります。子どもの能力を最大限に引き出せるよう、まずは親力をアップさせましょう。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。

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