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総務省が頑なに「端末割引上限2万円規制」の見直しを拒否――5G契約者数で韓国と大きな差はないと主張

総務省は頑なに端末割引2万円規制を辞める気はないようだ。

競争ルールの検証に関するWG(第22回)での報告書案において「事業法第27条の3による規制が、日本における5G端末の普及や販売において、著しい制約になっているとまでは考えられない」と改めて記載があった。

端末割引の2万円上限に関しては、第18回会合においてアップルが日本の5G契約者は3%であり、韓国は17%。5G端末を普及させるには上限2万円を撤廃すべきという意見が出された。

これに対して総務省は報告書のなかで「我が国の5G契約数は、サービス提供開始から半年後の2020年9月末時点では79万、さらに半年後の2021年3月末時点では1,419万まで増加しており、人口普及率は11.3%となっている」「5Gスマートフォンの出荷台数については、民間調査会社による調査結果によれば、サービス開始から半年間の2020年度上期では112.8万台、スマートフォンの総出荷台数に占める割合は8.4%であったが、さらにその後の半年間を加えた2020年度通期では、出荷台数1101.1万台、33.6%まで増加している」としたのだ。人口普及率に関しては11.3%で韓国と比べても遜色ないというわけだ。

ただ、契約数に関しては、例えば楽天モバイルのように料金プランが自動的にアップデートされ、どんな端末を持っていようが、強制的に5G対応の料金プランが適用されるケースもある。逆に5G対応スマホを持っていても、5G契約をしているとは限らないことも考えられる。いずれにしても、実態をどこまで反映しているかは不透明だ。

「事業法第27条の3による規制が、日本における5G端末の普及や販売において、著しい制約になっているとまでは考えれない」というが、「制約になっているか、いないか」の問題ではない。

せっかく5Gがスタートし、スマホ関連のサービスが盛り上がるタイミングなのだから、もっと5Gスマホの普及を加速すべきなのではないだろうか。

なぜ、総務省は「現状維持」で満足してしまうのか。世界に大きく取り残されている5Gに対して、巻き返しを図るべく、もっと普及させる必要があるはずだ。

日本が11%で韓国が17%ということで「日本は大きな差はない」と結論づけているようだが、早期に韓国を逆転し、世界でもトップレベルの普及を目指すべきだろう。

総務省では「5Gスマホは4万円未満のラインナップもあり、多様な価格帯から自分のニーズにあった端末を購入できる」としているが、4万円なんていわず、もっと安価に5Gスマホを売れたら日本は世界に類を見ない5G大国になれるのではないか。

2万円規制のためにNTTドコモがXperia Ace IIなんて4Gスマホを売るようでは、いつまで経っても5Gに完全シフトすることはできないはずだ。2030年を目指してBeyond5G、6Gで世界をリードしたいのならば、端末普及にも本腰を入れるべきだろう。

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image by: Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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