さて、そのような状況で問題が発生している中で、政権は「マンネリ化の打破」ということから、長期政権後の短期政権がオリジナリティのある政策を打ち出すことになります。
単純に、「路線は継承」するものの、その路線を進めた先にある何か他の新規性のある内容を行うということになります。
もちろん、この「路線継承によるオリジナリティ」が出てくれば新規性や進歩性を示すことができます。
しかし、それが「全く路線とは関係がない政策」であったり、または、その路線と似ていながらパラレルな関係であった場合などは、今まで支持していた層も離れてゆくことになります。
このように考えるとマンネリ化をしながらも、その路線をなぞるようにして「維持する」ということが重要視されることになるのですが、それがなかなかうまくゆかないということになります。
そのうえで、「官僚組織」も動かないという結果が生まれます。
なぜ官僚組織が動かなくなるのでしょうか。これは、官僚組織そのものが長期政権によって「価値観の偏重」が起きることによって、組織が硬直化します。
官僚というのは、日本の場合「事なかれ主義」「先例主義」「責任回避」の三つの内容からできているといっても過言ではありません。
もちろん、そうではない例外の人もいますが、そのような性質があると思っていた方が多い事案が少なくありません。
このなかで「先例主義」というのは、過去にとらわれているという性質を表していますし、「事なかれ主義」というのは、新しい事案に対して積極的ではないということになります。
そして「責任回避」というのは、当然「責任の転嫁」ということを意味し、それは自分より上の上司に責任を押し付けるということを意味しています。
これを逆から言えば「常に上の命令か、先例に従って動いている」ということになります。
この繰り返しがあるから、日本は何か異常事態があっても体裁を保てているという部分がありますが、一方で、このようなことから常に日本は一歩時代遅れになってしまうということになります。
そのようなところに、今まで新しいことが何年もなかったところで、急にオリジナリティあふれる仕事が来ればどうなるでしょうか?
硬直化した官僚組織では当然、そのような内容に対処できなくなってしまい、そして、そのまま固まって動かなくなってしまいます。
政治家の多くは「官僚は政治家の命令で動く」と思っているかもしれませんが、実際は、「命令がなくても先例と責任の回避によって動く」ということが実態なのです。
つまり、官僚組織は、上が変わっただけではだめで、それらの先例が作られない限り新しいことに対応することはありません。
前が短期政権であれば、組織が硬直化せず、中が混乱しているので、官僚組織も固まっていないかもしれません。
しかし、固まってしまった組織は、その内容がほぐれるまで新しいものは受け付けないのです。
つまり、路線継承といえども、新たなオリジナリティのある政策を主張した瞬間に、その内閣の言うことを聞く官僚がいないということになるのです。
まとめると次のような三段階になります。
- 長期政権によるマンネリ化
- マンネリ化の打破による路線継承と新規オリジナル政策
- 官僚組織における権力構造の固定化とオリジナル政策の乖離
菅内閣は、携帯電話の値下げや、デジタル庁創設などを言っていましたが、どうなることか。
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