中国に北京五輪開催の資格なし。外国人記者への暴行が多発している国内事情

 

現在、新型コロナの新種株が中国でも拡大しつつあります。また、他国が中国発の新型コロナに苦しむ中、経済活動をいち早く再開したことで「1人勝ち」だった中国経済も、ワクチンの世界的摂取が進んだことで、他国も経済活動を再開、これにより原材料の高騰が起こり、中国の中小企業では「作れば作るほど赤字になる」という状況に陥っているそうです。

“1人勝ち”中国経済に変調の兆し?中小企業から悲鳴のわけは

中国政府はこれまで新型コロナによる経済への影響を軽減させるために、積極的な財政出動を行い、インフラ投資を加速させてきました。これにより2021年第1四半期の経済成長率は18.3%を記録しましたが、第2四半期は7.9%と減速しています。先月には、中国政府は追加の金融緩和を行いましたが、それだけ経済の成り行きに危機感が強いということです。

加えて、新型コロナを世界にばら撒いたことや、香港から自治権を奪ったこと、さらにはウイグルでのジェノサイドで、国際社会から批判されています。

そんななか、習近平政権は、アリババやテンセントなど民間企業への支配を強め、香港ではリンゴ日報などの言論機関を潰しにかかっています。言論から経済活動まですべてを統制し、自身への批判や中国共産党の敵となりそうな勢力をどんどん潰しているのです。

当然、抵抗勢力や民衆の不満は高まっています。これを封じるために、中国政府は西側マスコミへの憎悪を掻き立て、民衆の攻撃対象となるように仕向けているわけです。これは非常に危険な状況です。

清朝の時代、排外主義の義和団が反乱を起こしましたが、西太后はこれを利用して、万国に対して宣戦布告を行いました。当時、清朝内部は守旧派と洋務派が権力闘争を行っていましたが、守旧派の西太后は義和団の排外主義に乗っかって、洋務派を退けようとしたわけです。そのため、義和団は「扶清滅洋」(清を扶けて西洋を滅ぼす)というスローガンを掲げ、外国人居留地や教会を襲いました。

これに対してイギリス、ロシア、ドイツ、フランス、アメリカ、日本、イタリア、オーストリアの8カ国連合が結ばれ、清朝と義和団に対抗、北京に入城して清朝を降伏させ、義和団を殲滅しました。この戦いは「北清事変」と呼ばれますが、日本軍の沈着冷静かつ優れた統率力が世界から称賛されました。とくに北京で籠城していた各国公館の実質的な守備司令官だった柴五郎中佐の武勇と戦術は世界から絶賛され、多くの国から勲章を授与されました。

それはともかく、現在の中国と各国の状況は、この義和団事件のときとよく似ています。西側諸国に対して挑発的な「戦狼外交」を繰り返し、外国への憎悪を煽っている一方で、西側陣営はクアッドなどの対中連合を築いているという点で、まさにそっくりな状況だといえるでしょう。

東京オリンピック・パラリンピックが終われば、次は北京冬季オリンピック・パラリンピックになります。

2008年の北京オリンピックのときにも、中国政府は外国人ジャーナリストに対して、嫌がらせや脅迫、拘束などを行い、それが大きな問題になりました。来年の北京五輪を前に、現在も同じ状況が繰り返されているわけです。2008年のときには主にチベットへの弾圧が問題視されましたが、今回はウイグルへの弾圧です。

中国:メディアへの攻撃はオリンピック開催の公約違反

中国と台湾の真実を最もよく知る黄文雄先生のメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • 中国に北京五輪開催の資格なし。外国人記者への暴行が多発している国内事情
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け