来年2月に北京オリンピックの開幕を控える中国ですが、その開催資格を問われるような事案が頻出しているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、先日河南省で発生した水害を取材する外国人記者に対して、地元住民による暴力や脅迫が多発していることを伝える新聞報道を紹介。その背景には中国政府の扇動があると指摘するとともに、国内向けに外国への憎悪を煽り、対外的には恫喝外交を繰り返す中国で五輪を開催すべきなのか、との疑問を記しています。
※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年8月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
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【中国】来年の北京五輪を前に外国人記者への脅しを強める中国、沈黙する日本企業
中国河南省の豪雨で洪水が発生、死者300人を超える被害を出しています。しかし、この水害を取材する外国記者に対して、住民が暴力や殺害脅迫を行うケースが噴出しているといいます。
河南省鄭州市では、アメリカとドイツの記者が住民に取り囲まれ、カメラや服を掴まれるという事件が起こりました。また、中国の投稿サイト「微博」では、ウイグル問題などを積極的に報じているイギリスのBBCの記者の居場所を特定するよう呼びかける投稿が見られるそうです。
中国外国人記者クラブは、中国当局によるナショナリズムの扇動が海外メディアへの敵意につながっていると懸念を表明、また、米国務省のプライス報道官は、「中国の政策に批判的な報道に対し、国営メディアを通じて非難を展開し、世論の反感をあおって記者への殺害脅迫などを助長している」と批判しました(「産経新聞」2021年8月3日付)。
これに対して、中国は「一部の西側メディアの真実ではない報道が、民衆の不満と憤慨を引き起こしている」と、完全に責任は西側メディアにあると逆に批判しています。
しかし、そもそも報道の自由がなく言論統制が行われている中国ですから、西側メディアの報道を中国の人民が知ることなどできません。報じられるときは、中国政府の意向に沿って、「外国メディアの主張はデタラメ」という論調になるのは言うまでもありません。そのため、民衆の不満と憤慨が起こるとすれば、中国政府のフィルターと扇動によるもの、ということは自明のことです。
もっとも、中国は国内矛盾があるときには、つねに外敵を作り、外に憎悪を向けさせてきました。
1979年の中越戦争は、トウ小平が国内の権力闘争を勝ち抜くために行ったものです。トウ小平は軍権を握るために中越戦争を起こし、毛沢東を支持した許世友の南京軍区の軍隊と、林彪の部隊、つまりトウ小平の政敵の部隊をベトナムの最前線に殺到させて、それで敵に殺してもらい、軍権を握ったのです。
1989年の天安門事件後は、江沢民政権により反日教育が推進され、民衆の不満を日本に向けさせました。
現在、海外への憎悪を煽っているということは、それだけ中国国内の矛盾が大きくなっているということでもあります。
もっとも中国の外務省スポークスマンは、「中国は外国を侵略したことは一度もない」と述べます。徳富蘇峰は、中国の主張は真逆に捉えたほうがいい、と唱えていましたが、私もそれには賛成です。
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