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大型家電も“お値段以上”?ニトリに学ぶ「顧客視点」の売り伸ばし戦略

巣ごもり消費の追い風もあって業績好調のニトリが、プライベートブランドでファミリー向けの大型家電の取り扱いを拡充するようです。家電を充実させる動きはカインズやIKEAでも見られますが、狙いはどこにあるのでしょうか。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』著者の理央さんは、主語を「顧客」にしたことによる傾向と分析し、多くのビジネスで学び応用できると伝えています。

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売り伸ばしたいならニトリの家電戦略に学べ!

ニトリが、今年中に家電製品の取り扱いを、昨年から4倍に増やす、というのが話題になっています。自社のプライベートブランド(PB)で、大手のナショナルブランドのメーカーに比べて、4割前後安い価格で販売するとのこと。おもに、ファミリー層向けの白物家電などを中心に、拡大、充実させていきます。

冷蔵庫を例にとると、これまでニトリは、単身赴任や小家族用の、比較的コンパクトなものを販売していましたが、これからは大型で400リットルの家族用を販売する、といった具合です。(日経新聞より)

テレビでは大型の50インチサイズの製品や、洗濯機ではファミリー向けの大容量のものを、市場導入し販売するのですが、これらが大手メーカーより4割お値打ち、ということになり、お得感もありこれから話題になりそうです。これにともなって、一部の大型店では、家電の売り場面積を、従来の1.5倍に拡張する、という計画もあります。

これまでのニトリの家電品といえば、USBで接続できる小型のLEDの照明や、首からかけるネックファンと呼ばれる小型の扇風機、といった小物のアイディア家電がメインでした。

大型店舗では、一人暮らし応援セットといった企画で、1人用のベッドやテーブルに、布団や枕の家具セットに加えて、1人用の冷蔵庫や、電子レンジ、洗濯機もセットになって、10~20万円の価格帯で販売されていました。私も娘が一人暮らしを始めるときに購入しましたが、家具と家電品を1箇所で買うことができるのが、とても便利でした。

ニトリのように、家具の専門店が家電を扱う傾向は増えつつあります。IKEAでは、スマホで操作できる、トロードフリというスマート家電を充実させています。これはスマホの操作1つで、あらかじめ自分の好みの照明の色や、明るさを組み合わせて設定しておけば、その中から好きな設定を選んで、スマホで照明の明るさや色を変えることができる、というものです。

リビングで本を読むときは、白基調で明るいセッティングにすればいいし、テレビやDVDを見るときは、落ち着いたダークな設定にできる、といった具合です。GoogleやアマゾンのAIスピーカーと組み合わせれば、声がけひとつで変更できるのも便利です。

またDIYショップ大手のカインズでも、ホットプレートなどのPB家電を充実させています。逆に、ヤマダ電機は大塚家具を傘下に入れ、家具を充実させた新しい業態の店舗を作りましたし、ビックカメラも寝具や家具などの取り扱いを増やす傾向にあります。

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消費者やユーザーの立場に立つと、引越しや模様替え、新築を建てる時や、結婚した時や子供が生まれた時など、ライフスタイルが変わる時に、家具や家電を一度に買い替えたいものです。その時に、家具は家具屋さんで、家電は家電量販店で、と別れていると、買いに行くのも二度手間ですし、自宅に届けてもらうのも二度手間になり、その分時間もかかります。家具は、家具屋さんで、また、家電は量販店で、という分かれ目がなくなっていく時代になってきたといえます。

さらに各店舗では、リアルとネットという2つの場所がありますので、探す、買う、受け取る、という3つのフェイズを考えると、1つの商品を買うのに合計6つの場所が必要になる、ということです。これが家具と家電を買う、ということになると、単純に12個の組み合わせがあり、より複雑です。

それを、ニトリは自社だけで完結できるようにしよう、としていると見て取れます。この動きは、アマゾンがネット小売から、リアル店舗を作ったり、ホールフーズを買収したりした、リアルとネットの融合と共通しています。いわゆる「チャネル・シフト」です。

この動きは小売業に限らずこれから主流になるでしょう。その時に重要なことは、どう売るのか、ではなく、「顧客の視点」で考えるべきです。

何をしたら、顧客が便利に買える、契約をしてもらえるのか、どうしたら、顧客が便利に自社を探し出せるのか、と主語を「顧客」にすることです。これは、消費者向けの商売だけではなく、法人営業にもいえることです。あなたも、ぜひこの変化に置いていかれないように、準備を進めてください。(※本記事は、メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』2021年8月17日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、ご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by:Ned Snowman / Shutterstock.com

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