MAG2 NEWS MENU

歯車から主役へ転身。アイリスオーヤマ躍進の秘訣は「人材登用力」

コロナ禍を物ともせず、順調に業績を伸ばし続けるアイリスオーヤマ。こと家電分野においては、苦戦する大企業を尻目に急成長を遂げています。その秘訣のひとつに「人材登用力」を挙げるのは、経営コンサルタントの梅本泰則さん。梅本さんは自身の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』で今回、なぜ同社に採用された元大手家電メーカー社員が結果を残すことができるのかを分析・解説するとともに、そこから経営者が学び実践すべきことを紹介しています。

会社に必要な人材

このコロナ禍にあっても好調な企業は、それなりの理由があります。

この機会に伸びる企業と衰退する企業。押し寄せている未曽有の事態は、それをはっきりと浮き彫りにします。むごいと言えばむごいですね。

アイリスオーヤマ躍進の秘密

コロナ禍にもかかわらず、アイリスオーヤマは業績を飛躍的に伸ばしています。発表によれば、アイリスオーヤマグループ(29社)の2020年度の売上は6,900億円です。前年より38%伸びています。経常利益は621億円で、何と2倍以上の伸びです。しかも、経常利益率は9.0%。スゴイとしか言いようがありません。

そして、アイリスオーヤマ単体でみても、同じような結果になっています。その売上は2,185億円で、35.6%の伸び率。経常利益は270億円で、63.6%の伸びです。

どうしてこんなに業績が良いのでしょう。理由はいろいろあります。もちろん、経営者の能力によるところが一番です。コロナが蔓延し始めて、すぐに家庭用マスクの生産を始めたことも功を奏しています。

それに、最近は家電量販店でアイリスオーヤマの商品が目立つようになってきました。世の中の変化に敏感に対応する力、消費者目線での製品開発力、価格競争力、販売チャネル開拓力など、躍進の原因はいくつも考えられます。

さらに、この会社のスゴイところは、人材登用力です。大手家電メーカーを辞めた社員が何十名も採用されています。その彼らが開発した商品がヒットしているのです。

大手では歯車の一つでしかなかった技術者が、アイリスオーヤマでは商品開発の主役となることが出来ます。きっと、やりがいを感じていることでしょう。

あるベンチャー起業家の話

そして、先日ある大手メーカーを飛び出して、ベンチャー事業を始めた技術者の話を聞くことができました。そのメーカーでは、さまざまな製品開発にたずさわってきた方です。多くの部署を経験したのち、たどり着いたのは新規事業開発の部門でした。

そこで、彼ははたと気がついてしまったのです。会社の歯車の一つになっているだけでは、自分のめざす製品や事業はできない。ここは、会社から離れて挑戦してみよう。そう決心して、2年前に独立しました。

まだ事業が軌道に乗っているわけではありません。しかし、彼は楽しそうです。自分がやりたいことに挑戦していることに、幸せを感じていると言います。これは、アイリスオーヤマに入った大手メーカー技術者たちと同じ感覚ではないでしょうか。

しかも、この起業家のサラリーマン人生は幸せでした。メーカーでは多くの優れた上司に恵まれ、指針となるべき薫陶を受けています。そこからの学びを、自分の事業に活かそうとしているようです。

今の彼の事業は、ふ化したばかりのひな鳥のようなもので、いずれ立派に成長して飛び立つ時がくるでしょう。そして、成功する可能性も感じます。なぜなら、彼には成功をする人の持つ3つの要素が備わっているからです。つまり、彼からは「素直」「勉強熱心」「前向き」という3つの要素をひしひしと感じます。おそらく、この先多くの協力者を得て、事業を育てていくことでしょう。

人材の雇用と育成

さて、振り返って、あなたのお店はどうでしょうか。アイリスオーヤマのように、能力のある人材を外から雇い入れているでしょうか。コロナ禍で、やむなく大手スポーツ企業を離れた方もいます。そんな方にお店の一員になっていただくことは出来ませんか。

大手企業で経験を積まれた人は、それなりのノウハウや情報を蓄えています。そんな人材がお店で採用できれば、新しい風を吹き込んでくれるでしょう。きっと、今以上に活性化するのは間違いありません。ただし、その人の報酬は、前の会社よりは低くなります。それでも、お店のために働くという人が必要です。ともあれ、今のこのチャンスを逃してはいけません。その気になって真剣に求めれば、きっと必要な人材が見つかります。

それから、もう一つ。お店の外からの人材だけではいけません。先に紹介したベンチャー起業家のように、挑戦意欲を待った社員を育てるのもあなたの役目です。いえ、会社を飛び出す社員を育てるということではありません。あなたのお店には、言われたことをこなすだけという社員はいませんか。そして、自ら進んで新しいことに挑戦する意欲を持った社員はどれくらいいるでしょう。挑戦意欲のある社員を育てるには、挑戦する機会を与えることです。「失敗をしてもいい」といって、挑戦させましょう。

また、「素直」「学ぶ」「前向き」という姿勢をもって挑戦することも伝えておくことです。そうすれば、良い人材が育ちます。

このように、外から良い人材を招き入れること、そして、自店の社員を良い人材に育てることは、あなたの仕事です。世の中の変化が速い今こそ、人材が必要です。

■今日のツボ■

image by: Kuha455405, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

梅本泰則この著者の記事一覧

ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ! 』

【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け