自分としては正しい指示を出しているつもりなのに、飼い犬がちっとも言うことを聞いてくれないと感じている方、もしかしたら大きな発想の転換が必要かもしれません。今回のメルマガ『ドッグペディア・Doggies 911』では犬の行動専門家であるドッグビヘイバースペシャリストのMASUMIさんが、「犬が言うことを聞かない理由」をわかりやすく解説。さらに多くの人が気づいていないという、愛犬に対する飼い主の重要な役割をレクチャーしています。
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犬が言うことを聞かない理由(見逃しとBRIDGE)
犬が飼い主の指示に従わない…なぜでしょう。実は人間(飼い主)が犬にそう教えているからなんです。それも知らず知らずのうちに…。
4つの基本コマンドってものがありますよね?「座れ」「伏せ」「待て」「来い」。
この4つ、お菓子を使って教えることで犬はすぐにできるようになります。「伏せ」は難しいという人も多いでしょうが…。この4つ、家の中でならできると自負している飼い主さんはほとんどです。でも、外だと無理…お菓子を用いても、外で他に犬がいたり、人がいたりするとうちの犬は全くできません…という人がほとんどです(誘惑があればできないということ)。
そういう時に、「できないまま」…で終わっているということです。できないから、やらせていない。やらせ方がわからない。犬がやってくれない。
つまり、人の方が諦めてしまうことで、犬が「やらなくてもいいのね」を学習してしまうということにお気づきでしょうか?「犬がやってくれるまで待つ」という方法を飼い主さんが知らず知らず(無意識)に行っているんです。「座れ!」も、何度か言っているうちに犬が従う…例えば「座れ」を何回いいますか?
最初の1回目の「座れ」で座らない犬に対して、皆さん、どうしています?おそらく2回目、3回目と「座れ」を繰り返すはずです。犬が座るまで。
これ、実は犬に「座れ」という指示は、「すぐに座る必要はないのね…」を教えているということですよ。1回目で座らない、2回目で座らない、3回目でも座らない…これを毎回繰り返すうちに、どんどん犬たちは「従わなくてもいいんだ…」と学習してしまいます。なぜかわかりますか?そこには、「経験」が残らないからです。
座ったら、お菓子が貰える、「お菓子が貰えた」このことは、犬にとって「経験」です。食べることで味覚が刺激され満たされる…これが経験として残ります。「座れ」と言われて従った後に「食べる」という経験が紐づけされるわけです。犬には「食べ物」+「座れ」=満たされる(経験)、こういう学習ができているということです。
食べ物がない状態( X )での「座れ」とは、犬にとって、( X )+「座れ」=? こうなるということです。
経験に残るようなことが何も起きなければ、犬には理解ができないんですよ。じゃあ、どうするか?
座らないとどうなるか?の経験を与えなければなりません。
食べものがない状態( X )で、「座れ!」をさせようとしたときに、何かの刺激があれば、経験として学習できるということです。( X )+「座らない」=満たされない(経験)を理解させればいいんですよね?
欲求が満たされないということは、いい経験ではありません。嫌な経験として残ります。メルマガを読まれている方は、だいぶ犬に対しての知識は得られているはずです。でも頭の中でわかっていることが、実践できているとは限りません。おそらく、多くの飼い主さんは、「見逃し」をしてらっしゃいます。
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● How to Teach Your Dog to Listen to You – Obedience Made Easy
この方は私が好きなトレーナーさんです。最初の方は彼が飼い主に話をしているんですが、飼い主さん、彼の話、全く聞いていませんよね?こういうことなんですよね(笑)。飼い主さんは話部分が大事だと思ってないんですよね。
余談ですが、このボクサー、飼い主の言うことを聞かない…という理由で飼い主さんが、彼のセッションを受けているんですが、飼い主さんがまさに、彼の言うことを聞いておりません(犬は飼い主の鏡です)笑。
30秒あたりからセッションが始まります。飼い主は「SIT」を犬に命令します。ここでも、多くの方がやらかすミスがあります。
命令=強い口調…これ、皆さんが持っているイメージです。彼女の発する「SIT」が、命令口調であることは、皆さんわかると思います。なんか怒っているような口調ですよね?これ、必要ありません。
彼女は「コマンド=叱る」…というイメージを持っているようです。この時、トレーナーの彼は、彼女にアドバイスしています。「あなたは、犬に対して怒ってますか?」って、ダメ出しを入れています。「SHOUT」(シャウト)=叫ぶ、「FIRM」(ファーム)=硬い、しっかりとした…という意味…違います。
彼のダメ出しは、こういうことです。「あなたはコマンドを叫んでいる、叫ぶのではなくFIRMが必要である」とダメ出しです。
さて、このトレーナーさん、犬を従わせるための3つの大事なことを飼い主さんに伝授しています。実は4つなんです。私が説明します。
1つ目が「コマンド」…「座れ」や「伏せ」という言葉。彼の説明にはありませんが、私はこれにハンドシグナルを付け加える重要性が必要だと思います。コマンドという人間の言葉の意味を犬は理解しません。犬にとって、人間の使う言語は「音」なんです。だからこそ、手や動作を使うことで、犬は視界から得る情報で学習(頭を使います)しやすくなります。
そして、2つ目「コレクション」(間違い・訂正する)という意味です。彼はNOという言葉(犬にとっては音)をコレクション(訂正する)というコマンドとして使います。これも私が付け加えるとするならば、NOは音としてしか理解できない犬にとっては、とても分かりづらい。「NO=間違い・不正解」と犬に理解させるには、犬が学習できるようになんらかの刺激が必要なんです(バックナンバーNOと刺激に詳しく書いております)。
1:30、トレーナーの彼が「SIT」とコマンドを犬に与えます。犬はそれを無視して「SIT」をしません。従いません。
1:05、従わない犬にトレーナーはNOを伝えます。この後が大事なんです。ただ、NOというだけではなく(Noという音だけではなく)、首輪にショックを掛けます(刺激)。
そして、リードの音もなりますよね?カツン…この音も、耳に伝わる刺激です。刺激を受けたボクサーは、伏せをしていますがトレーナーさんは褒めます。「座れ」というコマンドに対して、犬は伏せているのだから、間違いじゃない?と思う人も多いはず。今、そう思った人ほど、犬を理解しておられません。
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いいんです。こういうことは。後で説明をしています。
2:40~2:44でも分かりやすいので見てください。
NOの後に刺激。もしくは、刺激の後にNO。これはどちらでも構いませんが、私は刺激の後にNOを使うことが多いです。というのも、刺激を先に使うことで、犬の意識をこちらに向けてからのNO(音)の方が、犬が分かりやすいからです。
この動画では、「座れ」を指示しているのに、ボクサーは「伏せ」をしてしまう箇所がありますが、コレクションを用いて従った犬を褒める…これでいいんです。
緻密にいえば、本来は「SIT」をさせたければ、ボクサーは「座る」…これが100点の回答ですが、刺激を用いて、犬が自分で考えて出した答えですから、褒めてもOKなんですよ。
今月号で私がお伝えすることは、この部分です。
犬が考えている、悩んでいる、迷っている、自信がない…こういうときは、NOを使ってはいけません。
皆さんに知って欲しいことは、「犬の迷い」を正しい方向へ導くということ、犬を自発的に考えさせて、答えを探る手伝いをするということです。これが多くの人ができていない。
結果を急ぎすぎるというか、完全な答え、正しい答えが出るまでは褒めていない人がほとんどです。犬の戸惑いや、迷いに気づかない人がほとんどです。下に書いてますが、3つ目のことが重要なんです。
この動画で彼が犬に教えたいのは、「座れ」を正しくさせて100点を取らせることではありません。刺激を使ったコレクションによって、自ら行動するかどうか…ボクサーが考えて行動したことは、褒めるんです。細かい調整は後でいくらでもできますから…。ここが大事です。こういう飼い主の柔軟性が必要なんです。(メルマガ『ドッグペディア・Doggies 911』2021年9月15日号より一部抜粋。この続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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