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スピーチのプロが感じた「自民総裁選」4候補の討論中に通り抜ける“新しい風”

突然の菅義偉首相「不出馬」によって四つ巴の激しい争いとなった「自民党総裁選挙」もいよいよ大詰め。そんな4候補が出演した討論番組を見たという、メルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』の著者である森裕喜子さんは、そこから「新しい風」を感じたといいます。スピーチのプロから見た自民総裁選候補たちの発言と、殺伐としたコロナ禍の日本に吹くかもしれないと感じた「風」とはどんなものだったのでしょうか?

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新しい風は吹くか? 2021自民総裁選の新しいコミュニケーションの形

4名の立候補者による討論会やメディア露出合戦が続いていますね。

9/22日の夜、TBSの報道番組「ニュース23」での討論を見ていて、(なんだか、新しくなりそうな予感・・・)と感じました。

河野氏、岸田氏、高市氏、野田氏(届け出順)4名、そのうち女性が2名ということも大きいように思います。

昨年の三つ巴(石破氏、岸田氏、菅氏)の時とは全然空気がちがう!

そう感じました。

高市候補が「こうして4人で番組に出ていると、連帯感のようなものが生まれている」とコメントしていましたし、他の番組の討論を見ていても、そう思いました。

世代交代とも言われている今回の選挙。本当にそうなりそうな、そして、なってほしいな、もちろん、良い方向に!
と思いながら、観ておりました。

コロナ禍ということで、地元で演説もできないという状況。
それもあってか、今回はオンラインを活用した討論イベントや候補者の人となりを見せるような内容が目立ち、親近感が湧いて来る雰囲気が強かったですね。

特に興味深かったのは、自民党主催の4日間連続「オンライン討論会」です。

新しい対話の形:ハイブリッドなオンライン討論会

生配信で、ほぼ毎回、観てしまいました。なんたっておもしろい。なぜかというと、ガチンコ勝負だったからです。

一応「コロナ対策」「国防」など、毎日大まかなテーマが出されていて、100名のオンライン参加の市民とスタジオがつながっている。それをYoutubeで生中継して誰もが視聴できるのです。

ハイブリッド型のイベントでした。そして、ここが良いのです。

参加者の中から、抜き打ちで質問が出る。候補者4名は、もちろんどんな質問が来るのかは事前にはわからないのです。

そして、時間も長時間。4日間いずれも18時~19:45くらいまで。ほぼ2時間ですよ。その分、質問数も多い。

テレビ番組だとせいぜい30分くらいですからね。

また、質問者の年齢層も幅広く、3歳くらいの子供さんから大人まで、海外からの参加も多数。

これら様々な属性の市民から、多岐にわたる質問に対して、ほぼ2時間、4名出ずっぱり。

見所は、質問に対して4名の候補者それぞれが、

>いかに自身の政策と絡めて、相手にわかりやすく答えられるか

>他の候補者との相違点をどう聞かせられるか

>時間内に簡潔に答え切ることができるか

などなど、実力が大いに試された本番でした。質問に答える感じのやりとりで、対話型とも言えるかもしれません。

画面を通してではありますが、質問者の市民に答える形は国会内での緊張感ある答弁とも違うし、記者からのツッコミある質問とも違います。
それゆえ、4名の候補者の「人間性」を強く感じました。

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新リーダーとなる候補者のザックリな印象

大まかに、4名の方々の印象をまとめると

一番意外だったのが高市氏。これまでメディアで見る際のカッチリした姿とは違って、あんなに笑顔が出る方だったんですね。答弁の詳細さや話題の豊富さは驚きました。

野田氏は、普段の議員の仕事の時の雰囲気そのまんま、というような、肩肘張らない雰囲気が逆に、とても身近に感じました。質問者に「こんばんは」とごく普通に挨拶してから意見を述べる点、その普通さ加減が「政治家」ではなく「人」を感じさせて共感が湧きました。

女性お二方とも、上司にしたら、頼れそうな雰囲気!!きっと、何か問題が発生しても「あ、そう、じゃ、こうしましょうよ」とバッサリ進めてくれそうです。

また、お声も、リーダーにふさわしい「低めで大きく、聞き取りやすい速度」。お二人とも、少しハスキーボイスで、聴き心地も良いと思いました。

高市氏はハードロックのドラムを叩くそうですね。野田氏は、縦ロールのヘアスタイルがお似合い。個性があって共感が湧きます。

河野氏は、これまでよくメディアでお見受けする感じのイメージのまま。英語的にバッサリ言い切る。おかしなことにはおかしいと正直に言う。オンライン討論会の質問者の中に、河野氏をモノマネしながら質問した方がいました!驚き。

岸田氏は、昨年の立候補の時と比べると、パワーアップされた印象です。実はすごい酒豪なんだそうです。そんな風にはお見受けしませんけれども。「岸田ノート」というのを長年つけていらっしゃるそうで、広く世間でヒアリングしたことを書き溜めているんでしょうか、回答の中にも、あらゆる立場の人を考慮した言葉が目立ちました。

質問に対する答え方で、4名に共通して感じたことは、きっちり時間内に答えられる力のすごさ。

政治家だから当然、と言えるかもしれませんが、2時間ぶっ続けで答え続けるのはやはりすごいですね。

経営者ともなると、どんな質問にもすぐ答えられるという力が必要ですが、公開討論、あるいは対話の場で、時間も守りつつ、中身のある、他者に引けを取らない内容で、かつ、自分をアピールしながら、というのは簡単ではありません。

その点、政治家の方々は選挙活動という非常にハードで濃密な期間を何度も繰り返し体験し、そして結果を出している方々が揃っているわけですから、この辺りの百戦錬磨ぶりは、実際に目の前にするとやっぱり迫力、高い発信力があるのです。

ということは、鍛えれば発信力は高められる!と言う証拠でもあります。

それにはやはり、こうした、緊張感の高い、真剣勝負の本番に多く出ることが何よりも有効!ということが、よくわかります。

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気になるところ、良いところ

オンライン討論会といっても、今回の総裁選は、質問者や視聴者が直接投票できるわけではありません。

ここがちょっと気になりますね。

自民党総裁選でもあるのですが、実は、このようなオンライン討論会は、そのまま次の衆院選への党としてのアピールにもつながる印象を受けました。

衆院選ではこのようなハイブリッドイベントが増えるのかもしれません。

質問者の中には、学生さんたちも多くいました。

「今日の話は自分ごととして聞けた」という感想もありましたし、「今までは自分の方から政治を遠くに見ていたのかもしれない」というような言葉も出ていました。

これまで、私も仕事を通じて政治の世界の方々にお目にかかることがありましたが、実際にお会いすると、みなさま、とても「人間っぽさ」に溢れていて、人としての温もりとパワーがある方達だという印象があります。

でも、普段、私たちがメディアを通じて触れる「政治家」は、ちょっと遠い感じがしますよね。それ、もったいないなあと、ずっと思っていたのです。

政治家という代表者、という目線だけではなく、一人の同じ人間である、日本で暮らす一員である、という存在。

その共通点を持ちながら、新しい時代を共に作っていく、それを頼もしくリードしていく、そんな方に、トップリーダーになっていただきたいです。

新しい風を!

コロナ禍という危機の日々が続いています。危機の時こそ、リーダーからのメッセージを皆が待っている。私はそう思います。

トップリーダーは「ファクトの説明責任」だけではなくて「思いを言葉にしたメッセージ」を出していただきたい。

メッセージとはその組織を率いる際の「こういう国(会社)にしていきたい」というビジョン、そのためには「こういうことをする」というミッション。

「だからみんなでこうしていこう」という戦略と戦術。
「それができれば、こんな風な未来が待っている」と伝えてくれたら、みんな頑張れるはず。

国民も、社員も。

一人のトップリーダーに頼ってしまうのではなく、国民も社員も、自分の人生のリーダーとして、そのトップリーダーと共に進んでいくような、そんな風にならないかな、と思ったりしています。

みなさんは、どう思いますか?

新しく、と言いながらも、やっぱり古い体質を引きずってしまうのか、否か。

どうなるか?

きちんと見守る。それが今、私たちができることの一つだと、思います。

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森裕喜子この著者の記事一覧

清泉女子大学英文学科卒後、大手印刷関連会社で勤務。その後、ジャズボーカリストの夢を叶えるが、挫折。外資製薬会社に転職しマーケティング部でハードな業務に取り組む中、外国人のスピーチやプレゼンに多く触れ、日本人リーダーの発信力向上の必要性を痛感。30年以上に渡る声の経験にマーケティング、イメージコンサルティング、コーチング、リーダーシップ各論を掛け合わせ、2011年「ボイスイメージ®コンサルティング(VIC)」メソッドを開発して独立。業務で聞いたクライアントのスピーチプレゼンの数は1万回以上(延べ数)。顧客の可能性を引き出すスパルタトレーニング、わかりやすい理論と分析、柔軟に対応できるコンサルティングを得意とする。

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