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「深夜営業の美容院」に、わざわざ遠方から来る客がいる深いワケ

コンビニの24時間営業が見直されようとしていますが、さまざまなお店や病院など、深夜営業を必要とする声は依然として多くあがっています。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、深夜営業する美容室のマーケティング法についてとりあげています。遠方からも足を運ぶ人もいるという、その美容院の特徴とは?

お客さまが本音を漏らしてしまう、深夜営業の美容室

草木も眠る丑三つ時。それほど静まり返る深夜まで、明かりを灯している美容室があります。午後4時~午前2時まで、夜限定で営業しています。元々は、日中に営業する、ごく普通の美容室でした。しかし、お客さまのある言葉がキッカケとなって、深夜営業に切り替えることに。

「夜、閉まるのが早い!」。

夜に利用したいお客さまは多いのかもしれない、と考えたのです。

美容室は、コンビニより多く存在し、競争も激しく、経営面で厳しい状況に置かれています。普通に営業していては、いずれ潰れてしまいます。そこで店主は意を決し、深夜営業に転換。これにより、お客さまが増え、たくさんの常連さんを獲得することができました。夜の利用を望む人は、予想を超えていたのです。仕事帰りにサッパリしたいという人、休日は趣味に時間を使いたいという人、急な葬儀があり、夜のうちに髪を整えたいという人などが集まってきます。

夜なので、なるべくお客さまを待たせないように、予約優先としています。また、丁寧な仕事をするために、予約時間に余裕を持たせ、ひとりひとりに時間を掛けるようにしています。これにより、さらにお客さまからの評判が良くなり、口コミでも広まるように。

そして、深夜は街の騒音も少なく、静かな空間で、お客さまと店主だけの時間。自然と会話が弾み、すぐに親しくなってしまいます。普通の美容室のような、世間話やヘアケアの話だけではなく、お客さまはプライベートなことまで、話すようになります。深夜の一種独特な雰囲気が、そうさせるのかもしれません。

丁寧な口調ながらも敬語を遣わない、店主のフランクな話し方が、お客さまの心をほぐしているようです。お客さまと美容師という関係ではなく、話し相手、友人として、深夜にやって来るのです。

お店は兵庫県神戸市にあるのですが、海を隔てた淡路島や大阪など、遠くからわざわざ足を運ぶ人もいます。深夜に開いているからという理由ではなく、店主と話をするために来ているのかもしれません。

経営危機を脱するために深夜営業を始めたら、お客さまとのより親密な関係が生まれ、経営の安定へと繋がった事例です。深夜営業という戦術は、従来なら大手チェーン店が行うものでしたが、個人商店にもその波がやって来そうです。そうしなければ、生き残れないのです。

歯科医院や動物病院などでも、深夜営業となっているところはあります。深夜に需要があることは間違いないので、今後も増えるはずです。また、増えて欲しいと望む人も多くいます。スーパーやコンビニでは、24時間営業を見直すところも出てきていますが、世の中は必要としているのです。

数は少なくとも、そうしたお客さまがいることを忘れてはなりません。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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