看板政策に魅力なし。ちっとも新しくない岸田政権「新しい資本主義」

 

そんな中で、11月8日に政府の「新しい資本主義実現会議」なるグループが、「緊急提言」なるものを発表しています。ではその内容を1つずつ確認していくことにしましょう。

1.科学技術立国

これは「投資」の話ですが、本当に真水で増量する気があるのかは、まだ分かりません。

2.DX推進

これは「新しく」ありません。やらねばならない、加速しなくてはならないのは事実です。ですが、「新しい」を名乗るのであれば、徹底的に効率化した後は、人員を事務作業に疲弊させるのではなく、人間的な労働で活躍させる。そこまで考えていただきたいです。菅=河野路線より、改革をスローダウンして「分配」維持などというのはダメです。

3.エネルギー

これは待ったなしなので、「新しい」に含めること自体が不誠実に思います。エキストラの政策でなく、行政の本業として勝負して欲しいです。

4.イノベーション、スタートアップ

これは「投資」の話です。真水で増えるのか、そして妨害行為を徹底的に切れるのかが問われます。ですから「新しい資本主義」とは矛盾するので、これをここに含めるセンスが分かりません。

5.デジタル田園都市

地方衰退を言葉でゴマ化しているように見えます。地方の金融危機への危機感も足りないし、地方の可能性を本気で信じているとも思えません。

6.農林水産業支援

これも「投資」の話かと思いきや、意外とリストラっぽい話も入っています。それも必要だというのは分かりますが、だったら「新しい」に含めるのは不誠実です。

7.防災、運輸インフラ

これも「投資」の話です。真水で増量できるのでしょうか?

8.大阪万博

まだ日本語を公用語にして、日本企業のパビリオンを集めることで成立すると考えているのなら大間違いです。

9.観光業支援

これも「投資」の話ですが、どこまで用意しているのか。国境閉鎖でGoToというのでは限界があると思うのですが。

10.経済安保(技術流出防止)

これは「国益」の話ですが、流出防止したけど資金がないので、技術が立ち枯れというのでは困ります。

11.半導体投資

日本企業には経営力はないので、外資主導の案件に乗るという話ですね。だったら余り国益にもならない感じがします。

12.次世代データセンター

これも施設だけならコモディティなので、全く妙味を感じません。

13.賃上げ税制

これは「分配」の話ですが、原資の必要な話で、そのカネを投入した分だけ、あるいはそれ以上に内需拡大効果があるのかは、景況感の持って行き方によると思います。

14.男女賃金格差解消

残業の強制や、家庭事情の有休消化への権利を保証しないで、形式平等では一向に状況は改善しないと思います。こうした分野は制度設計のセンスが問われるので、岸田政権の今後を占うテストケースになると思います。

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