ホンマでっか池田教授が木下元都議の「辞職拒否」に期待した真の理由

 

なぜそういうことになるかというと、議員の報酬は議会が決めて、さらには議員の報酬の停止規定を作らないところが多いからだ。自分たちの報酬を自分たちで決めれば、高給になるのは当たり前だ。さらには、国会議員をはじめ、議会に出席しなくとも、満額支給される場合が普通で、日給制を採用している自治体は稀である。これも議員にとってはおいしい話なので、自分たちで決めている限りは、簡単には変わらない。

議員の身分保障と報酬に関しては、議会とは独立の委員会を作って、そこで審議するようにしないと、いつまでたってもこの悪弊はなくならないだろう。

合理的なシステムを作らないで、個別の議員の非をあげつらって、みんなでバッシングするのは、結果的にシステムの非合理性を隠蔽するのに役に立つだけだと思う。木下元都議が辞職せずに、議会を欠席したまま議員報酬をもらい続ければ、あるいは、議員報酬の日給制の議論も起こるかもしれないと期待したのだが、木下元都議は、私が思ったほどには根性がなくて残念だった。

私が、もう一つ辟易としたのは、木下都議の辞職を求めて、マスコミからSNSまですさまじいバッシングの嵐となったことだ。まさに「池に落ちた犬を棒で打つ」という諺に相応しい状態になったのだ。多くの下品な人は木下都議をどんなコトバで罵っても、自分に悪口が帰ってくることがないことが分かって、安心して、罵倒できるという快感に酔いしれていたとしか思われない。

例えば、木下元都議に比べれば巨悪の権化のような安倍元首相を罵倒すると、ネトウヨに絡まれることは間違いないので、ある程度根性がある人以外は元首相を罵倒しない。

完全安全地帯から、思い切って罵倒できる木下都議は、欲求不満が溜まり、将来の不安を払拭できない人にとって、格好の標的になったのであろう。孤立している人をバッシングするのは、孤立したくないという潜在的恐怖の表れなのだ。新型コロナが流行り始めたころ、地元のナンバーでない車が止まっていると石を投げたり、東京から里帰りしてきた人を病原体がやって来たかのように忌み嫌って嫌がらせをしたりした人がいたが、これらも、新型コロナウイルスに対する恐怖のなせる業なのだ。

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