同調圧力が強い日本社会では、バッシングしてもOKという人に対してマウントを取って、自己の優位性を誇示して、自己満足する人が結構多い。実は誰も褒めてはくれないのだけれど、自分では正義の味方のような心持ちになれるので、結構気持ちがいいのかもしれないね。
昔も今と同じように、電車の中で、携帯でしゃべることはマナー違反であった。私が山梨大学に通っていた頃だから、もう20年近く前のことになる。ガラガラの車内で、携帯で楽しそうに喋っている女子高生がいた。すると、遠くの方に座っていたジイさん(きっと今の私よりも若かったのだろうけれどね)が、やおら立ち上がって女子高生の所にやってきて、「うるさいぞ。車内で、携帯で話してはいけないのは知っているだろう」と大声でくどくどと説教を始めた。
可哀そうな女子高生は「すみません」とぺこぺこしていたが、説教が終わると、隣の車両に移ってしまった。傍で、このやり取りを聞いていた私は「ジイさんの方が余程うるさいぞ」と思っていたが、めんどうくさいので黙っていた。反撃できない人を攻撃して、留飲を下げるほど下品な行動はない、と私は思うが、本人は社会の木鐸のつもりで、気持ちいいのかもしれないね。(『池田清彦のやせ我慢日記』2021年12月10日号より一部抜粋、この続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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