「高市圧勝は虚構だ」発言に疑問符。小選挙区制を嘆く野党と左翼の“思考停止”をジャーナリストが斬る

th20251006
 

高市自民党の「圧勝」について、「小選挙区制のバイアスによる虚構だ」という批判が相次いでいます。しかし、そもそも小選挙区制は偏った結果が出ることを承知の上で導入されたものであり、2009年には民主党にも「圧勝」をもたらしています。問題は制度を嘆くことではなく、イタリアのように不断に見直す努力を怠ってきたことにあるのではないでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では、ジャーナリストの高野孟さんが、93年政治改革の原点に立ち返り、選挙制度論の本質を鋭く問い直しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

偏った結果が出て当然の小選挙区制。高市「圧勝」を生んだ選挙制度がおかしいと言い募る思考の衰弱

高市自民党の「圧勝」を受けて、その結果は「小選挙区制バイアス」によるもので、民意を正しく反映するものではないーーという指摘が散見されるが、私はこれに賛成しない。

一例は、『サンデー毎日』3月15日号の倉重篤郎による志位和夫=共産党議長へのインタビュー「『高市圧勝』はミスリードだ」で、要旨はこう述べる。

▼確かに、議席数で言えば自民単独で316議席、さらに比例の名簿不足で他党に譲った14議席を足した330議席は圧巻である。ただ、政党の真の実力を表すと言われる比例区の得票率、得票総数から見るとまた違った景色が見える。

▼有効投票総数が分母になる相対得票率では36.7%、有権者総数を分母にした絶対得票率では20.37%と5人に1人が自民党に投票したに過ぎない。得票総数は、自民党2102万票に対し、中道改革連合は1048万票だったが、自民党の半分の票を取ったにもかかわらず、議席に換算されると、自民が316議席(譲った分を加えると330議席)、中道が49議席(譲られた分を引くと42議席)と8倍近い差になっている。

▼要は、小選挙区比例代表並立制という選挙制度が持つ小選挙区部分の民意増幅機能が作用した結果である。ここでもまた1人1票の平等性という建前と理念を大きく毀損する結果となった。この選挙制度のマジックを今ひとたび点検する必要があるのではないか。

 以上の倉重の前振りを得て、志位は「我が意を得たり」とばかり、要旨こう語る。

▼これはひとえに小選挙区制の作り出した虚構の数字だ。私が衆院議員に初当選した宮澤喜一政権下の1993年の衆院選の時はまだ中選挙区制だったが、この時の自民党の選挙区での得票率は36.6%で、今回とほぼ同じで、得た議席数は223と過半数割れで下野を余儀なくされ、細川護熙非自民連立政権が誕生した。

▼〔今回自民党は〕中選挙区であれば、下野するような得票しか得ていないということだ。国民民意の多数を得ているとは言えない。……

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