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発熱隠しサッカー観戦が物議。「不心得者」には高額の罰金を課すべき訳

米国から帰国直後の女性と過ごした男性が、発熱や咳の症状がありながら等々力競技場でサッカー観戦。その後オミクロン株への感染が確認され、大きな問題となりました。これほどの「不心得者」に対しても何の罰則もない日本の現状を問題視するのは、軍事アナリストで危機管理の専門家でもある小川和久さん。今回のメルマガ『NEWSを疑え!』では、アメリカ、ニュージーランド、台湾の感染対策違反への罰金が2倍3倍と高額化している例を紹介し、日本も国ができないのならば都道府県の「迷惑防止条例」を適用すべきと声を上げています。

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「甘ちゃん」には罰金で一罰百戒

ちょっとコロナを甘く見ているのではないかという出来事が起きました。米国から帰国してオミクロン株感染が確認された都内の20代の女性が男性と濃厚接触し、その男性が、これまたオミクロン株に感染していることが判明したケースです。

女性と濃厚接触した男性は、その後、発熱と咳があったのに職場に出勤し、あまつさえ12日には川崎市の等々力陸上競技場で行われたサッカー天皇杯の準決勝の試合を見に行ったことが判明しました。東京都は近くで観戦していたおよそ80人の観客に地元の保健所を通じて連絡をとり、検査を受けるよう呼びかけています。

これを見ると、菅義偉前首相の「世界でロックダウンをする、外出禁止に罰金かけてもなかなか守ることができなかったじゃないですか」という記者会見の発言(8月13日)も、いまひとつ説得力に欠ける印象です。菅さんはワクチン投与でコロナを克服するのが最も有効だと強調したかったのですが、そうではないようです。

ワクチンの有効性は確かですし、追加投与も進めるべきですが、それに頼っているだけではサッカー観戦に出かけたような「甘ちゃん」や不心得者はあとを絶たず、それが多くの人びとを危険にさらすことは避けられません。

同様の考えなのでしょう。世界の趨勢は罰金による規制に傾いているようです。

米国の国土安全保障省(DHS)は、9月10日から航空機や電車、バスなどの公共交通機関でマスク着用義務を守らない利用者への罰金を引き上げ、違反者は1回目で500~1,000ドル(5万6770円~11万3540円)、2回目で1,000~3,000ドル(11万3540円~34万620円)が科されることになりました。更新前は1回目で最低250ドル(2万8385円)、2回目以降は最高で1,500ドル(17万310円)でした。

ニューヨーク市も9月13日から、屋内の飲食店やスポーツジム、それに映画館や劇場、美術館といった施設に対し、12歳以上の利用客にワクチン接種の証明書の提示を求めることが義務づけられました。違反した場合、1000ドルから5000ドル(11万3540円~56万7700円)の罰金が科せられます。

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ニュージーランドも11月から、許可なしの旅行など意図的に規則を破る場合は刑事犯罪となり、有罪なら最高で1万2000NZドル(92万3280円)の罰金あるいは6カ月の禁錮刑が科されることになりました。罰金の額は4000NZドル(30万7693円)から引き上げられました。企業への罰金は最高で1万5000NZドル(115万3850円)です。

規則に反してマスクを着用しなかった場合などの罰金は、300NZドル(2万3077円)から4000NZドル(30万7693円)に引き上げられました。裁判になった場合は、裁判所は最高で1万2000NZドル(92万3280円)の罰金を科すことが可能です。

最も厳しい罰金が科せられるのは台湾で、隔離措置を守らなかった場合、違反程度によって10万元(40万円)以上100万元(400万円)以下の罰金を科されます。11月には隔離処置を破ってカップラーメンにお湯を入れに行って罰金40万円を受けたフィリピン人のケースもあります。

このような世界の流れを見ても、それでも世論の顔色をうかがい、腰が引けるのが政治家の常です。新たに罰金を設けるなど、日本ではあまり期待できそうにありません。そこでひとつ提案です。都道府県の迷惑防止条例を使ってはどうかというものです。

例えば海水浴場での危険行為に対しては懲役刑と罰金が定められています。サッカー観戦の「甘ちゃん」のようなケースは、コロナ感染の危険をばらまいている訳ですから、同じ危険行為として罰金を科すのは不自然ではないと思います。

一定の金額以上の罰金が制定され、最初の違反者が出て、それが大きく報道されれば、甘ちゃんたちも少しは緊張感を持ち、一罰百戒の効果が期待できると思います。(小川和久)

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image by: Shutterstock.com

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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