習近平か、バイデンか。プーチンを止めた者が作る「新しい世界秩序」

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ウクライナで侵略行為を続けるプーチン大統領の心情に、変化が現れたのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、プーチン大統領が戦争の出口を求め始めたとも取れるロシア軍司令官の発言を、香港英字紙の記事を引く形で紹介。さらに同記事で伝えられている専門家の警告や戦況・戦死者数等を取り上げるとともに、この紛争の強力な仲介役となりうる国家指導者の名を挙げています。

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ウクライナ戦争の出口、新しい世界秩序

ロシア軍司令官から注目すべき発言があり、これはプーチン大統領が戦争の出口をもとめているのではないかとも推測されています。

香港サウスチャイナモーニングポスト紙の3月26日記事をもとに見ていきましょう。

ロシア軍参謀本部副司令官は、モスクワがウクライナで「特別軍事作戦」と呼ぶものの第1段階の「主要目標」をほぼ達成したと発表した。

 

セルゲイ・ルドスコイ大佐は、ロシア軍はウクライナ軍の戦闘力をかなり低下させ、その結果ロシア軍は「ドンバス解放という主目的を達成するための取り組みに集中できるようになった」と述べた。

解説

ウクライナへ全土の軍事作成が思ったように進まないことへの言い訳のように、「軍事作戦」の目的は東部ドンバス地域の「解放」であったとの発言です。

これだけ聞くと、ロシア軍はウクライナ全土への攻撃は停止するのかな、とも思えます。

しかし、これに警告を鳴らす人もいます。

ある米国のアナリストは一方、「ロシア軍はドンバスを新たな出発点として、焦点を絞った戦争継続を目指しているのかもしれない」と言う。

 

「ドンバスを新たな攻撃の起点とし、その後の攻撃の幅を広げるために再準備しているのだ」

解説

一旦、東部ドンバスを固めたうえで再侵攻をするのではないかという警告です。

そもそもプーチン大統領はこの戦争の目的を明示していませんでした。

「1.ウクライナ東部ドンバス地域の親ロシア派の住民を救うため」という大義名分もあれば、「2.ウクライナのナチ化を防ぐため」「3.NATO加入の可能性を防ぐため」という主張もありました。

この3つでは戦争の規模が全く違ってきます。

1.の目的に関しては、地域が限定的です。バイデン大統領が、これを念頭に戦争前にロシアの介入を容認するような発言をしたりしました。2.3.が目的となるとウクライナ全土、そして政権の問題になります。

このプーチンの目的が明確でなかったところがこの戦争の行方を予想しにくい原因がありました 。

確かなことは現時点でロシアの軍隊は予想をはるかに下回る戦果しかあげていないという事です。

ロシア軍の損失がどの程度なのか、詳細は不明だが、NATOは最初の4週間で7,000~1万5,000人が死亡したと推定しており、ロシアが10年間のアフガニスタン戦争で失ったのと同数になる可能性もある。

 

元CIA長官で国防長官のロバート・ゲイツ氏は、プーチン大統領は自軍のパフォーマンスに「驚くほど失望しているはずだ」と述べた。

 

ゲイツ氏は「我々はウクライナで、ロシアのあまり訓練されていない、そして指揮統制に大きな問題があり信じられないほどお粗末な戦術を見ている」と話した。

解説

ロシア(ソ連)が10年間のアフガン戦争で失ったのと同数に近い死者を出しているとは驚きです。それはこれからロシア社会を揺るがす事になるでしょう。

経済制裁とはまったく違う衝撃です。

ロシア軍がウクライナ全土を掌握しようとすると、まだまだ死者はでるでしょうから、地域を限定した「解放」に目的を変更する事は十分にあり得ることです。

軍事的には、東部ドンバス地域からクリミア半島までをロシア地域として占有したいでしょう。それで現在、戦闘が行われているマウリポリも重要になります。ドンバス地域とクリミア半島の陸路中間に位置する都市だからです。

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