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なぜ中国は進出先で嫌悪されるのか?代表的な「親中国」でテロ続発の訳

圧倒的な経済力に物を言わせ、習近平政権が推し進める「一帯一路」。しかしその計画は各地でほころびを見せ始め、親中の代表的な国であるパキスタンでも中国人を狙ったテロが続発しているといいます。中国の進出先で今、何が起きているのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国人が憎悪の対象となる背景を紹介。さらに一帯一路構想が立ち行かなくなりつつある理由を解説しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年4月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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【中国】親中の国で高まる反中意識

パキスタンで自爆テロ、中国人教師ら4人死亡 孔子学院関係者狙う?

パキスタン南部のカラチの大学付近で中国人が乗った車を狙った自爆テロがあり、中国人教師3人を含む4人が死亡するという事件が発生しました。狙われたのは、中国の浸透工作機関ともいわれる孔子学院の関係者だとのこと。

現地の武装勢力「バルチスタン解放軍」(BLA)が犯行声明を出しましたが、同国内での反中意識の高まりが問題視されています。BLAは2018年11月にも、中国総領事館を襲撃しています。

また、2021年7月には、ダス水力発電所の建設現場に向かうバスが爆発、中国人エンジニア10人が死亡するというテロ事件も発生しています。

パキスタン、テロ犠牲の中国人に補償金 関係修復目指す

報道によれば、この自爆テロを引き起こした武装集団は、「パキスタン国内のタリバン支持の集団を統合する目的で結成されたパキスタン・タリバン運動(TTP)」と目されているそうです。

タリバンといえば、王毅外相が2021年7月に天津でタリバン幹部と会談を行ったことが報道されました。アフガニスタンがタリバンの手に落ちる前のことです。この会談のきっかけとなったのは、上記のパキスタンでの中国人バスを狙った自爆テロが起こったからではないかとの憶測もあります。

パキスタンといえば、親中の代表的な国です。パキスタンは中国と中パ経済回廊(CPEC)の建設で合意し、中国からパキスタンへ600億ドルの支援が約束されていますが、腐敗問題によりパキスタンの負債と工期の遅れが顕在化しているといわれてきました。

中国パキスタン経済回廊に高まる警戒感、最大の脅威は腐敗

中国人がかかわる以上、腐敗や搾取は避けられず、それが現地住民の憎しみを倍増させることにつながるのです。アフリカでも中南米でもそうした反中意識が高まっています。

中国ではパキスタンとの友好関係は「巴鉄」(鉄のように硬い同盟)と呼ばれていますが、以前より中国人を狙った襲撃事件が多発していました。CPECで大量にパキスタンに入り込む中国人を身代金目当てに誘拐する事件も増えているといいます。

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「一帯一路」とAIIBは習近平のチャイナドリームとしての世界戦略ですが、すべてが西向きであり、アジアからヨーロッパ、アフリカも視野に入っています。もちろん西向きにならざるを得ないのは、東側の太平洋をアメリカと二分したくても、アメリカがそれを許さないからです。

第一列島線を突破するにしても、宿敵の日本と台湾を潰さないかぎり、太平洋には出られません。西向きにしても、宿敵ベトナムやインド、ロシアがほぼ同調してくれないので、習近平の外交は失敗ばかりです。

「一帯一路」がすでに史前から始まっていたことは、考古学的に東西交流史として実証されています。しかし海のシルクロードでも陸のシルクロードでも、その覇権争いを行ってきたのは中国人ではありませんでした。

海のシルクロードでは、古代にはマレー・ポリネシア系の人々、中世からはイスラム商人がその主役でした。陸のシルクロードではたいてい騎馬民族の商隊、ことにペルシア系のソグド人が有名でした。

現在の「一帯一路」構想は、上海機構から発展したものですが、本来であれば中国政府としてはもっと他国を味方に引き入れた「他力本願」でいく予定でした。しかし中国の軍事目的が明らかになるにつれて、インドのみならずEUも警戒しはじめました。

中国の経済と軍事は1990年代に入ってから突出するようになり、やがてパックス・シニカという幻想も生まれました。しかし、経済があっての軍事です。持続的な経済成長には、無限の資源や環境問題のクリアが必要分可決です。中国の高度成長は2007年をピークに、その後、鈍化・下降を続けています。

いくらチャイナマネーをちらつかせても、たいてい大風呂敷を広げるだけに終わることが多く、日米が協力しないかぎり、中国のインフラ計画はたいてい頓挫しています。

加えて、新型コロナのパンデミックで、世界各国の中国に対する不信感が高まりました。結局、一帯一路は現地の雇用も産まず、中国への憎しみを現地の人々に植え付けるだけで、まったくうまくいっていないのです。

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