海外在住の人々から見た日本への印象について、リアルな声を聞く機会は少ないのではないでしょうか。しかし、外からの声を聞くことで、世界での日本の立ち位置も見えてくるというものです。そこで今回は、メルマガ『出たっきり邦人【北米・オセアニア編】』の中で、カナダ・トロント在住の日本人「ブルーモンキー」さんが、自身の息子さんと一緒に日本へ一時帰国した際に感じた「日本とトロントの違い」について紹介しています。
ママモンキーinトロント 気の向くままに 17号【番外編 日本~トロント帰国】
気がつけば、あっという間に5月。トロントはやっとハイパークの桜が咲き始め、今週前半ごろまでが見頃のようでした。
さて、私事ですが1ヶ月弱の日本滞在から無事にトロントに帰ってきました!
前回は、日本一時帰国に向けての準備と日本到着までを書きましたが、今回は日本出国からトロント到着まで、そして日本滞在中に感じたことなどを綴ってみたいと思います。
■日本は四季があり美しい
これは海外に住んでみて実感することですが、トロントでは夏の暑さと冬の寒さが際立ち、日本のようなはっきりとした四季(春や秋)がありません。ですので、あらためて日本の風景はとても美しく感じました。
子供が小さい頃は、夏休みの長期休暇を利用しての帰国だったので、今回「ぜひ桜の美しさを息子に見せてやりたい!」と、あえて4月を選び、かろうじて桜の満開を堪能できました。
■安くて何でも手に入る
日本は世界でも有数の豊かな国です。毎回、帰国して何度も訪れる百均ショップ。100円であんな上質でアイデア商品が買えるとは、本当に感動ものです!
都会ではショップが立ち並び、飲食店もあふれていて何でも食べられる。しかも安い!
トロントは外食がとても高いです。
ランチでも普通のレストランだとTAX(13%)とチップを含めて$15(約1,517円)前後はします(吉野家とか松屋のような安くて美味しいお店は、まずありません)。
また、至るところにあるコンビニの24時間営業など、これでもかというくらい便利ですよね。そして、その品数の豊富さには目を見張るばかりです。
反対にトロントでは、コロナとウクライナ戦争の影響でしょうか、スーパーやドラッグストアなどで、棚に並ぶ商品の品不足が目に付きます。
■公共トイレがきれい
息子曰く
「日本の公共トイレはクール!」
とにかくきれいだし(場所によりますが…)、設備がすごい。
外国人がまずびっくりするのが、便座が温かいことです。
また、小をする時の消音や自動フラッシュ。空港で見かけた自動での蓋の開閉などなど…。
また日本では、だいたい電車の各駅でトイレがありますよね。私がいつも利用するトロントの地下鉄(東―西の線)では、トイレは各駅にはありません。
治安面を考慮してのことだと思いますが、西の最終駅、中央の駅、東の最終駅の3箇所だけです。
そして私が感じた日本のマイナス点は
■ゴミ箱が少ない
これは多くの外国人から聞きますが、街中でゴミ箱が少ないのに不便を感じます。テロ対策のためと聞いていますが、それでも街中がきれいなのには感動です!
■最低賃金が低すぎる!なのにサービスはピカイチ
カナダは州によって異なりますが、オンタリオ州では、今年の1月から最低賃金が$15(約1,517円)になりました。
日本の全国平均が930円ですから、かなりの差がありますよね…。
ちなみに東京の最低賃金は1,041円だとか。
先にも書きましたが、日本での外食産業は驚くほど安いように感じます。その上、チップの慣習もないので、海外から訪れる外国人にとっては嬉しい限りです。
また、一般的に質の良いサービスが受けられます(まあ、場所によりますが…)。にも関わらず、この賃金の安さは悲しいですよね。
ところで、みなさんは「ビッグマック指数」というのをご存知ですか?マクドナルド商品であるビッグマックの価格を、アメリカと各国で比べた、為替による経済指数です。
これを見ると、先進国の日本がかなり下位にあるのに驚きます。
カナダ 7位 613円
日本 33位 390円
昔は外国人から、物価が高すぎて日本への旅行は難しいという話をよく聞きました。今は逆に日本の物価は安いので、海外からの観光客にとっては嬉しいかぎり。
そして、現在はあらたに急激な円安が進んでいるので、今後、日本が海外からの渡航規制を緩めていくと、一気に多くの外国人が訪れるようになるでしょう。
これは観光業や輸出関連の企業にはメリットがあります。
でも反対に、日本人の労働者にとっては手放しで喜べない現実でもあります。
インフレで物価は上がっていくのに、賃金は低いまま。
国としては豊かなはずなのに、世界から見れば生活環境の貧しい国の一つになっていく。
海外在住の日本人として、今後の日本のことを思うと複雑な気持ちになりました。
海外から見る日本の現状を知ることは大切です。特に若い世代は自分たちの将来に関わってきます。
一人ひとりが社会に対して問題意識を持ち政治や経済に関心を向ける。
そして、どんな小さなことでも行動してみる。
息子は今回の日本旅行で、多くのことにインスパイアされたみたいです。
それでは、また。
皆様に多くの幸福が訪れますように☆
感謝を込めて☆彡
ブルーモンキー
(『出たっきり邦人【北米・オセアニア編】』5月13日号より一部抜粋)
著者/ブルーモンキー(「☆ママモンキーinトロント 気の向くままに☆」連載)
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