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TikTokも危険?10億人分のデータ流出の中国で何が起きているのか

人口の2/3に当たる10億人分もの個人データ流出が発覚した中国。漏洩した情報は上海警察の管理下に置かれていたものと報じられていますが、中国ではさまざまな「憶測」が飛び交っているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんが、この事件の裏に中国の熾烈な権力闘争が絡んでいるとの報道を紹介。さらに米通信当局がAppleとGoogleに対し、TikTokをアプリストアから削除するよう要請したとのニュースを取り上げ、中国製のソフトやアプリを使用する危険性を指摘しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年7月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。 

【中国】10億人のデータ流出! 裏に熾烈な権力闘争か

中国10億人分 携帯番号や犯罪歴など含む個人情報 流出か

中国・上海の公安データベースから、10億人分の個人情報や、数十億人分の警察情報が流出した疑いが発覚しました。これについては、日本でも大きく報じられていますが、台湾の「自由時報」や「聯合」にはより詳しい情報が掲載されていましたので、それをもとに解説していきましょう。

中國公安遇駭 10億人個資外洩

7月4日、香港の「星島日報」が報じたところによると、“ChinaDan”と名乗るハッカーが6月30日、ハッキングフォーラムBreach Forumsに「上海警察のデータベースが流出。名前、住所、出生地、IDカード番号、携帯電話番号、すべての犯罪/事件の詳細など10億人の中国人の個人データと数十億件のカルテが入っている」と投稿したことを報道しました。

これらのデータは23テラ以上にもなり、ハッカーは、情報販売価格として、暗号資産10ビットコイン(2,600万円)を提示しているということです。

10億人といえば、中国の人口の3分の2です。それだけ膨大な個人データが流出したとなると、間違いなく、史上最大の情報漏洩ということになります。

ハッカーが示したデータベースのサンプル画面を見ると、通報時刻、通報者の電話番号、通報者が説明した具体的な事件など、警察情報が大量かつ詳細に登録されていることがわかるとのことです。

このニュースが流れると、中国のSNSが騒然となりましたが、7月5日にはSNSウェイボーでこの話題がブロックされるようになりました。現在、中国ではこの話題について検索することができなくなっているそうです。

この話題はすぐ海外にも広がりました。ウォールストリート・ジャーナルとガーディアン紙が、掲示されていたサンプルデータを検証したところ、そこには個人の名前、ID番号、電話番号、生年月日、出生地を網羅した75万件の記録と、警察に報告された犯罪や事件の詳細な概要が含まれていたと報じられています。

その範囲は1995年から2019年までの広範囲なもので、さらに、そのデータペースに掲載されている人々に電話してみたところ、入手困難な事件の詳細を含め、すべてのデータを確認できた人が5人、名前などの基本情報を確認しただけで電話を切ってしまった人が4人いたそうです。いずれにせよ、データは本物のようです。

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冒頭の「自由時報」は、今回の事件は、習近平国家主席の政敵である江沢民・曾慶紅派の拠点である上海で、しかも秋に共産党大会を控えた微妙な時期に起きたことから、共産党内の内紛があった可能性も指摘されていると報じています。

公安のイントラネットは一般のインターネットから物理的に隔離されているはずで、「内部の仕業」の可能性は非常に高いといいます。

ラジオ・フリー・アジアは、事件の内情をある程度知っている、インターネット上で話題の「常氏」という人物が記者団に語った言葉を引用しました。それによると、常氏はこの事件について「おそらく昨年流出したものだが、現在は販売されている。昨年、収賄事件で失脚した、上海公安局長の龚道安氏への捜査が関連している可能性がある」と語っています。

常氏によれば、情報はアリババ傘下のアリ・クラウドに保存していましたが、セキュリティ上の欠陥から流出した可能性があるとのこと。龚道安はテンセントのシステムを使っていないアリ・クラウドのほうが優れている、と考えていたようです。

龚道安は、江沢民派の幹部で政治局常務委員を務めた孟建柱の側近と言われています。龚道安の失脚は、習近平政権が次に孟建柱を標的にしていることの前段だと噂されています。

もともと上海人は別格で、中国では嫌われてきました。よく「北京人愛国、上海人出国、広東人売国、香港人無国」といわれますが、上海人は一家一族を連れて海外に脱出したがり、たいていはアメリカを目指そうとします。

そのような上海は、長らく江沢民派の上海閥が牛耳ってきました。新型コロナで中国政府が上海をロックダウンした背景には、習近平政権が上海閥の再起を潰すためだとも言われています。上海をめぐって権力闘争が起こっており、今回のハッキングも、それが関係していると言われているのです。

ただ、ハッキングは習近平側の上海閥潰しの一環なのか、はたまた上海閥側が中央政府に揺さぶりをかける意味で行ったのかは判然としません。中国の権力闘争は複雑怪奇です。

一方、多くのネットユーザーは、ハッキングされたデータがこれほど大規模にもかかわらず、2,600万円程度で売られるのは安すぎると感じ、実際にはデータ漏洩は嘘なのではないかと疑う人もているようです。

ただし、中国人の個人情報など、よほど要人でないかぎり、それほど有用なものではありません。とりわけ、人権がほとんど尊重されない中国では、たとえ個人情報を持っていても、あまり意味がないのです。犯罪歴などが重要になるのは公安などの国家側のほうであり、一般では、そうしたデータをほしいと思う者はあまりいないでしょう。

以前のメルマガでも指摘したように、いま中国はハッカーの標的になっており、また、他国政府をハッキングするために中国政府が囲っているハッカー集団が暴走する可能性もあるのです。今回の事件を誰が起こしたのかははっきりしませんが、前述したように、政治の権力闘争が裏にあることも否めません。

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一方、ブルームバーグ通信は、中国系の動画投稿アプリ「TikTok」のアメリカでの利用者の情報に、中国の従業員がアクセスできる状態にあったと報じました。

「中国からアクセス可能」 TikTokの米利用者情報 米議員に回答と報道

アメリカ通信当局FCCは、中国に利用者の情報が漏洩する恐れがあるとのことで、アップルとグーグルに対して、TikTokをスマートフォンのアプリストアから削除するよう要請しています。

米FCC“TikTok削除を”アップルとグーグルに要請

これまで他国をハッキングしてきた中国が、現在はハッキングの標的にもなっており、さらにはその背後に権力闘争があるということですから、中国製ソフトを使用するリスクはさらに高まったといえるでしょう。中国当局から情報を抜かれる危険性も、中国政府を狙うハッカーから攻撃を受けることも、どちらもありうるからです。

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