「出前」が消え“フードデリバリー”になったことで私達が失ったもの

Tokyo, Japan - December 20 2021: An Uber Eats delivery person on a bicycle in Tokyo.
 

無料の出前は、あくまで個人店のサービスです。注文してくれるお客さまへの感謝の気持ちなのです。

忙しくて外食できないサラリーマンや商店主。小さな子どもがいて、食事を作れないお母さん。子どもが多く、騒がしいので、お店には行きづらいという家族。こうした人たちが、出前を利用しているのです。しかも、配達は無料。便利で有り難い存在となっています。

また、個人店の出前には、デリバリーにはない魅力があります。人との触れ合い。人情です。店主や配達する人が家に行けば、そこには会話があり、ひととき温かい時間が流れます。世間話や家族のこと。身体の悪い人なら気遣いを。何度も訪問し、昔から知っているので、そんな会話が自然と出てくるのです。

デリバリーではあり得ません。場合によっては、顔を見ずに置き配することもありますから。

人と人が接してこそ、そこに温もりがあり、繋がりがあるのです。

出前では、お店の食器をそのまま配達するので、また回収しなければなりません。二度手間なのですが、その回収する時に小さな感動があったりします。基本的には玄関前などに置いておくのですが、時には、洗った器の間にお礼の手紙が挟まれていたりします。

「おいしかった」「いつもありがとう」「がんばって」……。

子どもの書いたものがあったりして、涙の出そうな瞬間があるそうです。こんなことがあれば、出前をやっていて良かったと感じます。お客さまとの触れ合いが、やりがいなのです。出前をする個人店ならではの感動の物語があるのです。

出前は、やがて消滅してしまうのかもしれませんが、できるだけ長く続いて欲しいと願います。

image by: image_vulture / Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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