MAG2 NEWS MENU

かつては統一教会叩きを煽動していた『月刊Hanada』花田紀凱編集長の見事な“改宗”ぶり

先日掲載の「小林よしのり氏がズバリ指摘。統一協会の信者が教義にダマされる理由」でもお伝えした通り、過剰なまでの安倍氏礼賛と旧統一教会の擁護を展開する飛鳥新社発行の『月刊Hanada』。その編集長を務める花田紀凱氏とは、一体どのような人物なのでしょうか。今回、人気メルマガ『佐高信の筆刀両断』の著者で辛口の評論家として知られる佐高信さんが、花田氏のこれまでの経歴を辿りつつその人となりを紹介。そこから浮かび上がるあまりの変節漢ぶりを強く非難するとともに、花田氏に対して「権力の宣伝マン」の烙印を押しています。(この記事は音声でもお聞きいただけます。

【関連】太田光も後追いか。統一教会「脱会批判キャンペーン」に乗った知識人たち

この記事の著者・佐高信さんのメルマガ

初月無料で読む

安倍晋三と統一教会を大擁護する『月刊Hanada』花田紀凱

西条八十作詞の「侍ニッポン」という歌がある。昭和初年に流行ったこの歌の2番は、

~昨日勤王 明日は佐幕
その日その日の出来ごころ

と始まる。

そして「どうせおいらは裏切り者よ」と続くのだが、花田を浮かべると直ぐにこの歌を思い出す。

『月刊Hanada』を出している花田に「裏切り者」の自覚はないだろう。一度は理念や思想を信じた者にのみ、「裏切った」とか、「裏切ってない」とかの概念は発生するからである。花田は「その日その日の出来ごころ」で雑誌を編集し、発行している。要するに、売れれば何でもいいのだ。

先日、統一教会(私は旧はつけない。つけると改名を認めたことになる)と闘って来た有田芳生と対談して、当時の『週刊文春』編集長が花田だったことを知った。

デスクを通して有田が「新体操の山崎浩子が統一教会に入って、合同結婚式に出るらしい」というネタを出したら、有田がまだ山崎に取材していないのに、花田は「山崎浩子、統一教会で合同結婚式」という電車の中吊り広告をつくったという。

有田は名誉棄損で統一教会から訴えられてもいるが、その裁判の弁護費用は文春が出してくれた。

有田はまた、伊藤詩織に対するレイプ疑惑の山口敬之からも訴えられているが、『月刊Hanada』の10月号を開くと愕然とする。

執筆者として「世界日報特別取材班」と山口が並んでいるからである。ちなみに花田によれば「統一教会批判は魔女狩りだ!」ということらしい。

かつて、『週刊文春』で花田が統一教会叩きをリードしたことを教会側は知らないのだろうか。それとも、知っているが、擁護に“改宗”したからいいのか。

いま、統一教会に反論の機会を与える雑誌はないと思うから、そのことを批判はしないが、一応、花田自身に『週刊文春』時代の統一教会叩きを“総括”してもらいたいと思うのは私だけではないだろう。

皮肉を言えば、統一教会が話題性を失ったら、花田はまた簡単に教会を捨てるかもしれない。

私は『世界日報』を統一教会の機関紙と思っているが、「特別取材班」によれば、それは誤りらしい。彼らはこう反論する。

(マスメディアで)散見されるのが、弊紙『世界日報』が(世界平和統一)家庭連合の「機関紙」であるとの誤った指摘である。世界日報は機関誌ではなく総合一般紙であることをまず、強調しておきたい。ところが、その事実が立法府の国会で確認されているにもかかわらず、立憲民主党の国会議員が事実を歪め、他の議員がツイートでその誤情報を拡散し続けている。許されるべきではないと考える。

要するに統一教会の言い分をそのまま載せているわけで、『月刊Hanada』は教会の友好誌、もしくは癒着誌と言っても言い過ぎではないだろう。

この記事の著者・佐高信さんのメルマガ

初月無料で読む

 

同誌10月号のメインは「安倍晋三元総理追悼大特集号2」。

編集後記で花田は

一日として安倍総理のことを思わない日はありません。ある日は電車の中で読者からのお手紙をよんでいて思わず泣いてしまい、またある日はかつてインタビューした時の録音を聞いて、在りし日々を偲ぶ。総理の携帯の電話をつい押してみたくなることも度々です。

と書いている。安倍の後を追って殉死するのではないかと心配になるほどの傾倒ぶりだが、そして花田は

安倍総理を貶めるためなら、どんなことでも書き立てる、朝日新聞などに負けるわけにはいきません。

と後記を結んでいる。

しかし、ちょっと待ってほしい。いま、繰り返し『朝日新聞』を批判している花田は、1996年秋に朝日新聞社が出した女性誌『UNO!』の編集長となったことがある。批判している『朝日』の禄を食んだことがあるのである。

花田にホンモノは求めないが、少しでも骨のある人間なら、そういう転身はやらないのではないか。やはり花田は「その日その日の出来ごころ」で動くのだと言わざるえない理由がここにもある。

『Hanada』には、河井克行の「獄中日記」も載っている。アノ河井である。また、佐藤優も「猫はなんでも知っている」を連載している。河井と佐藤は、いわば“Hanada仲間”だが、2人にはそれだけではない関係がある。佐藤が創価学会系の雑誌『潮』の2021年5月号で自ら告白している。

広島3区の河井克行議員が金権汚職で逮捕されたことには、私にも責任の一端があります。外務省時代から面識があった縁もあり、私は河井氏の選挙で推薦人を引き受け、応援演説にいったことがあるのです。私は軽々には推薦人を引き受けないことにしているのですが、河井氏が権力の魔性にとりこまれつつあることを見抜けませんでした。

『月刊Hanada』で佐藤は首相時代の安倍を次のように礼賛している。花田の意にそった連載なのだろう。

いまは非常時だ。新型コロナウィルスの嵐が去るまでは、民主的手続きによって選ばれた最高指導者である安倍晋三首相を断固支持すべきだ。客観的に見て、安倍政権の危機対応は合格点だ。

佐藤は極めて評判の悪かったアベノマスクにも関心したのか。次の指摘には開いた口がふさがらない。

安倍首相の指導で、首相官邸は外交にもきめ細かい目配りをしている。ただ、その実態をマスメディアが報じていないだけだ。

「ウラジミール、君と僕は同じ未来を見ている」と歯の浮くような文句で呼びかけながら、結局、プーチンに手玉に取られた安倍が「外交にもきめ細かい目配りをしていた」と言うのだから、安倍礼賛もいい加減にしろと怒鳴りつけたくなる。

ところで、花田は2011年3月11日、東日本大震災で東京電力福島第一原発が大変な事態に陥った時、当時の東電会長、勝俣恒久が団長の訪中団に参加していた。

『噂の真相』の副編集長だった川端幹人が東電の接待を受けていた老舗週刊誌の編集幹部の証言を『タブーの正体!』(ちくま新書)で紹介している。

東電の場合、新聞、テレビは広報部が、週刊誌は総務部が接待を担当している。最初は東電の本社近くのしゃぶしゃぶ屋で会食するところから始まり、次は向島の料亭、さらには銀座の高級クラブへと。接待場所がどんどん豪華になっていく感じだった。一時期は、タイ人の女性がいる店外デートOKの店にもよく連れていかれたね。それから、担当記者や編集者が定年や移動になる際には、東電が主催する形で送別会が開かれるのが慣例になっていたね。

この記事の著者・佐高信さんのメルマガ

初月無料で読む

 

花田が接待を受けていたかどうか、受けていたとすればどの程度だったのか、私は知らない。しかし、勝俣が団長のツアーに参加したのだから極めて近い関係にあったことは確かだろう。私は花田をジャーナリストや編集者だとは思わない。権力の宣伝マンだと思っている。彼にとっては、それが事実かどうかは問題ではないのである。雑誌に自分の名前をつけるのも上品な人間のやることではない。

【関連】小林よしのり氏が論破。安倍銃撃を「テロ扱い」エセ保守論客の売国ビジネス

最後に、ある意味で花田批判ともなっている『広告批評』編集長、天野祐吉の言葉を引こう。同誌1987年6月号の巻頭言である。

原発の事故がもし起こったら、絶対安全を売りこんでいる原発の広告は、どうするつもりなんでしょう。やせ薬の広告がインチキだったとしても、「ウソツキ!」「ゴメン」でまアすみますが、チェルノブイリ級の事故が起きたら日本は壊滅状態ですから、「ゴメン」ですむモンダイじゃありません。もっともそのときは、ぼくたちもみんな死んでいるし、原発関係者も死んでいますから、文句をいうヤツもいないし、責任を問われることもない。原発は安全だとハンコを押している学者も、政治家も、経営者も、広告マンも、案外、そう考えているんじゃないでしょうか。核廃棄物のモンダイ一つとっても、いまや危険がいっぱいの原発を、この際すべて廃棄して欲しい。原発をかかえたままで「明るい明日」なんて、ありゃしません。そういうイミで、「明るい明日は原発から」。

花田はともかく「明日」など考えないマスコミは商人である。この商人はフェイクな情報で読者を扇動することを得意とする。

※ 文中敬称略

この記事の著者・佐高信さんのメルマガ

初月無料で読む

 

image by: 安倍晋三 - Home | Facebook

佐高信この著者の記事一覧

活字にならなかった本当の想いを届けなければと、アナログ代表が初トライします。政治、経済、教育、文学etc。質問にも答えて行けたらと思っています。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 佐高信の筆刀両断 』

【著者】 佐高信 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎月 第1〜第4金曜日(年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け