アブラハム合意についての英誌エコノミストの記事を抜粋しましょう。
参考:Trade and security ties are knitting Israel into its region
1948年の建国以来、イスラエルは初めてアラブ諸国と温かい平和を築いている。
そのスタートはうまくいっている。二国間貿易は、2019年の1,120万ドルから2021年には12億ドルへと爆発的に増加している。
10年以内にアラブ首長国連邦はイスラエルの5大貿易相手国の1つになると主張している。
アラブ首長国連邦がアブラハム合意に調印して以来、他のアラブ3カ国(バーレーン、モロッコ、スーダン)が正式に追随している。エジプトとの関係も修復されつつある。
この地域の国家経済の多くは互いに競争相手である。エネルギー輸出の市場シェアを拡大しようとしている。
しかしイスラエルは、技術に重点を置いたサービス経済と大規模な防衛産業があり、新しい製品と市場を提供しているのである。
イスラエルは、湾岸諸国をイランから保護するためにレーダー基地とミサイル防衛を連結する計画を推進している。アブラハム合意4国に対するイスラエルの武器輸出は、2021年に8億ドルに上り、同国の軍事販売総額の7%を占めた。
イスラエルは新しい友好国だけでなく、チュニジアやサウジアラビアなど、イスラエルを承認していない国とも合同軍事演習に参加している。バーレーンには軍人が駐留している。
「私たちはこの地域の新しいアメリカです」とあるイスラエル高官は言っている。
解説
アラブ湾岸諸国の地政学的な重要性が高まるかで、アブラハム合意によってアメリカの代理人に指定されたともいえるイスラエルが中心となって軍事的、経済的な統一圏が形成されつつあるのです。
中東からの米軍の撤退を模索したトランプ政権の置き土産ともいえるでしょう。
それがEUのような共通の理念をもった巨大な経済圏になれるか否か?
そのカギを握るのはサウジアラビアです。同国はアラビア半島最大の経済大国であり、イスラエルの地中海沿岸とアラブ首長国連邦を結ぶ陸の橋となりうるからです。
世界の地政学的に重要性がましている湾岸諸国、アブラハム合意によりその地域での経済的軍事的な指導性をもつようになったイスラエル、そういった観点から中東の記事を読むと面白いかもしれません。 (この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』9月25日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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