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黒く染まっていく世界。米国が包囲網を張る「ラスボス国」とは?

民主主義国家に対抗する「権威主義国家」が世界中に増えてきています。この黒く染まっていく世界で、日本を含む民主主義国家はこれからどう動いていけばいいのでしょうか?そこにフォーカスした一冊をメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の中で紹介しています。  

【一日一冊】黒化する世界 民主主義は生き残れるのか?

黒化する世界 民主主義は生き残れるのか?

北野幸伯 著/扶桑社

最近、専制主義国家が増えています。ブッシュ大統領はイラン、イラク、北朝鮮を悪の枢軸と呼びましたが、著者が注目しているのは最近、ベラルーシ、ミャンマー、アフガニスタンが黒化したことです。

ベラルーシは2020年の選挙結果に不満を持った国民がデモを起こしましたがルカシェンコ大統領が武力で鎮圧しています。ミャンマーは2021年にクーデターが発生。アフガニスタンは2021年にアメリカの撤退でタリバン政権となっています。

この原因は2020年に、中国が香港の自由を制限する法律に反対するデモを鎮圧したことで、デモは違法化して、武力で鎮圧すればいいことに、独裁者たちが気づいたからだ、と著者は分析しているのです。

こうした民主主義国家に対抗する権威主義国を著者は、黒色独裁国家と呼んでいます。もちろんウクライナに侵攻したロシア、香港から自由を奪い、ウイグル民族を絶滅させようとしている中国は真っ黒です。

2020年、香港から自由は、完全に消滅した…「デモは武力によって鎮圧すればいい」「デモは、法律によって違法化すればいい」…この「ノウハウ」が、独裁者たちに伝わったことで、「連鎖黒化」が起こった(p91)

そして黒色独裁国家ロシアが、なぜウクライナに侵攻したのか。その理由について、全ロシア将校協会イヴァショフ会長の言葉を引用して説明しています。

まず、これまでのロシアの戦争はナポレオンが攻め込んできたり、ヒトラーがソ連に侵攻したなど「自衛戦争」であったということです。しかし、現在のウクライナやNATOといった脅威は存在するが、核兵器を持つロシアの生存を脅かすほどのものではないという。

これまでウクライナにロシアの友好国となってもらうために、ロシアは武力と脅しを使ってきました。しかし、それは逆にウクライナをロシアから遠ざけることになったとイヴァショフ会長は批判しているのです。

そして現在のロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナをロシアの勢力圏とする目的もありますが、真の目的は、新興財閥、官僚、マスコミ、軍人、警察、諜報機関が、国民から盗んだ富を維持するために戦争を引き起こしたとしているのです。その結果、ロシアは国際的に孤立し、崩壊するだろうと全ロシア将校協会イヴァショフ会長は警告しているのです。

ウクライナ侵攻、真の目的は…反国家的権力と、国民から盗んだ富を守るための手段だ(全ロシア将校協会イヴァショフ会長)(p257)

最後に、黒の国家のラスボスは中国です。アメリカは英米豪の軍事同盟であるオーカス(AUKUS)、日米豪戦略対話(TSD)、日米豪印クアッド(Quad)など、様々な「戦略的パートナーシップ」を構築しています。これらはすべて中国包囲網なのです。

では中国の未来はどうなるのかといえば、北野さんは中国の国家ライフサイクルが、日本から30年遅れていることを指摘し、2020年代、中国は「暗黒の30年」に突入すると予測しています。日本のバブル崩壊を中国も体験するだろうということです。

これまで多くの予測を的中させてきた北野さんの予測が当たるのかどうか、注視していきたいと思います。

北野さん、良い本をありがとうございました。

【私の評価】★★★★★(90点)

<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)

image by: Shutterstock.com

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