サッカーのスーパースターの中には、子どもの頃にフットサルで技術を磨いたという選手が少なからずいますが、フットサルでサッカーが上手くなるとは限らないようです。今回のメルマガ『サッカー家庭教師:谷田部のブログでは書けない話』では、サッカーの悩みを改善する動画(谷田部真之助.net)で活躍するサッカー家庭教師の谷田部さんが、サッカーとフットサルとの似て非なる部分をわかりやすく解説。ピッチサイズの違いが生む、2つの競技に必要な能力の違いについて伝えています。
この記事の著者・谷田部真之助さんのメルマガ
フットサルでサッカーが上手くなるの?
こんにちは、谷田部です。今日のテーマは「フットサルをやるとサッカーは上手くなるのか?」です。
フットサル関係の人たちは何かにつけて、サッカーのいいプレーがあると「フットサルのあの戦術がなんちゃら」「あの選手は子供のころにフットサルをやっていた」などと関係性を強調してきます。果たして本当にフットサルがそんなにサッカーと関係するのでしょうか?以下に書いていきたいと思います。
サッカーとフットサルは別もの
サッカーは68m×105m(平均)のピッチサイズすが、フットサルは20m×40mのピッチ(平均)。要するに攻守の切り替えに関してと狭いエリアに関してはフットサルは一見いいように見えます。
そうは言っても数字から見るとわかりますが、コートが倍以上異なります。横でも縦でもです。正直あまり走らなくても何とかなるコートです。
もっと言えばスピードに乗る前にラインオーバーしてしまうフットサルコート。ただ、本気になると、やたらとちょこまかちょこまか走るのがフットサルコート。攻守の切り替えをしても、守備をしっかりと守られてしまうことも多いので足を止めた膠着状態になりがちです。
今のサッカーはカウンター重視でいかに早くカウンターに対しカウンターをぶつけられるか?です。膠着状態を崩す、と言えばフットサルに分があるかもしれませんが、足を止めた膠着状態を崩すのはほぼ無理だからカウンターという戦法が使われているのが世界の主流です。
中盤の存在
サッカーを見たことがある人なら一度は耳にしたことがあると思いますが、中盤とはMFのことです。守備も攻撃もする人たちで主にパサーやボランチと言えばわかるでしょうか。この手の人たちが攻撃と守備のバランスと、さらにどのように崩すのか?彼らの見せ場の時間があるのがサッカーです。
自分たちのペースにどうやって持っていくのか?最後のFWに対しどのようなラストパスを送っていくのか?サッカーの醍醐味の多くはこの「中盤」次第なんです。
先にも上げましたが、カウンターサッカーが主体の中でボールを持っていない選手がいかに何をするか?いい用意が出来るか?が大事になってきます。しかも長い距離相手のゴール前まで運ぶ作業をしながらです。
フットサルはあっという間にゴールに近づいていきなり山場ですが、サッカーの場合はゴールにどのように近づき崩しにかかるのか?フットサルは起承転結の「起→結」、サッカーは「起承転結」全てある。と言えばわかりやすいでしょうか。
ストーリー性があるからサッカーは世界中にファンがいるといっても過言ではないのです。フットサルは簡単に言えば誰でもサクッとはじめられる「ショートムービー」、サッカーは一本の「映画」と言えるでしょうか。
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視野の広さが全く違う
コートが狭いと遠くを見るにも限界があります。フットサルの場合、一人飛ばしくらいですが、サッカーの場合2、3人は当たり前です。
見る視野の広さが違うとやたらとドリブルで打破したくなります。大きなスペースがどこにあるのか。これを見つけても蹴ることが難しいから子供たちはロングキックにこだわるのです。
実際ブラジル時代にサイドバックのトライアウトに現役のフットサル選手が来ました。いきなりドリブルを始めたのには衝撃でしたw今の日本の小学生でやたらとこの時の衝撃同様の光景をたくさん見るのには正直辟易していますw
そもそもボールが違う
ボールが昔はハンドボールサイズでした。足裏とトーキックとインサイドくらいでインステップは蹴りづらくて仕方ありませんでした。
● ロナウジーニョ子供時代のフットサル – YouTube
リンクはロナウジーニョの子供時代です。このころのボールは小さいです。私も最初はこれで雨の日にやらされた覚えがあります。
そしてFリーグ開幕とともにボールのサイズが重さはそのまま重い4号球に変わりました。あれは誰がやっても「トラップでボールが止まりやすい」。
ブームもあって初心者もかなり増えたフットサル。そうしたサッカーとは違う部分をそのままに現在に至っています。
フットサルはそもそも…
フットサルは、セルジオ越後氏が「日本の子供たちが足裏を使わない。トーキックをしない」ということで日本に持ち込んだものです──(『サッカー家庭教師:谷田部のブログでは書けない話』2022年8月31日号より一部抜粋。続きはご登録の上、2022年8月のバックナンバーをお求めください)
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