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なぜホークスは工藤公康が入団後たった5年で優勝できたのか?

「コンサルティングを受けているからといって、すべての企業が成果をあげるとは限らない」と語るのは、メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者で経営コンサルタントの梅本泰則さん。では、成果を上げる企業とあがらない企業は何が違うのでしょうか。それは、 元ホークス監督の工藤公康さんのエピソードから学べるようです。

5度の日本一。元ホークス監督・工藤公康から学ぶ「成果をあげる」ポイント

コンサルティングを受けている企業が、必ずしも成果を上げるとは限りません。成長が鈍化したり、停滞してしまう企業もあります。逆に、短い期間で成果をあげる企業も。何が違うのでしょうか。今回は、その点を探ってみます。

ダイエーホークスの変化

考え方や方法を変えることで、成果につながることも多いです。

先日、NHK『レジェンドの目撃者』で、元ソフトバンクホークス監督の工藤公康氏が取り上げられました。

工藤氏は、1982年に西部ライオンズに入団して以来、選手を引退するまでの29年間で14度のリーグ優勝、11度の日本一を経験。そのこともあってか「優勝請負人」と言われています。その後、ソフトバンクの監督を務めた6年間でも、5度の日本一を手にしていますから、スゴイ人です。

その工藤選手が、西武ライオンズからダイエーホークス(現ソフトバンク)に移籍をした時のエピソードがあります。

当時の西武は常勝軍団、ダイエーは10年以上、下位に低迷している弱小チームです。そのダイエーの監督に就任したばかりの王監督から、声が掛かります。

「優勝のために力を貸して欲しい」

野球界を代表する王監督からそう言われれば、断ることは出来ません。

入団5年後、ダイエーは日本一になりました。工藤選手による功績が大きかったといいます。

彼はダイエーに移籍した時、チームの現状にびっくりしたそうです。西武ライオンズの練習量とは比べ物にならない程少ないし、試合に負けても、反省も改善もしようとしない。チームの成績が低迷するはずです。

優勝請負人の工藤選手は、何とかしなければならないと、思ったことでしょう。そこで彼は、自らの野球に対する姿勢を見せながら、選手に刺激を与えていきました。時には、厳しい言葉をかけたそうです。その成果が、リーグ優勝という形で実を結びました。

もちろん、工藤選手だけの力によるものではないでしょう。しかし、彼がチームに与えた影響は大きかったはずです。

つまり、彼はチームの体質を変えることに心をくだきました。チームが勝つためには、どんな練習と努力をしたらいいか、勝つためにはどんな考え方をしたらいいか、口酸っぱく言ったに違いありません。

その言葉や態度を受け入れてもらうために、自分も努力しました。そのことで、チームが強くなったのだと思います。

K社の変化

このことは、お店の経営にも参考になる話です。なかなか業績があがらない、なかなかお店に活気が出ない、長年経営をしていると、そんな局面に当たってしまうことがあります。何か手を打たなくてはいけないと思ってはみても、どうしたいらいいか、分かりません。やはり、今までのやり方や考え方を変えることです。

そこで、K社の話をしましょう。私は、セミナーや勉強会の中で、K社のことを紹介することがあります。K社は老舗の小売店です。時代の流れに乗って、数年前からネット販売を始めました。当初は、売上も順調に伸びていきます。ところが、その伸びがぴたりと止まってしまいました。何とか成長軌道に乗せたいと、私に相談があったのです。

もっとも、私はWEBの専門家ではありません。しかし、相談を受けた以上、方法を考え手を打ちました。すると、1年後には売上が3倍に、2年後には5倍になったのです。とはいえ、大した数字ではありません。2,000万円だった売上が、6,000万円、1億円になっただけです。それでも、3倍、5倍になったことは事実。K社は、その成果に驚きましたし、自分たちに自信を持つようにもなりました。

では、K社はいったいどんなことをしたのでしょう。要は、今までのやり方や考え方を変えたのです。ダイエーに移籍した工藤選手がやったことに他なりません。

まず、K社はホームページを一新することから始めます。今までのやり方を変えたということです。次に、社員全員がネット運営に参加するようにし、売上目標の達成に意識を集中するようにしました。それまでの考え方を変えた、ということです。もう少し、詳しく説明しましょう。

売上が5倍になった方法

最初は、ホームページの一新です。それまでのホームページも決して悪くはありませんでした。しかし、洗練されたデザインとは言えません。そこで、WEBデザイナーに頼んで、分かりやすいデザインにしてもらいました。

そして、それまでのページが商品とサービスの紹介だけになっていましたので、新しいページをつけ加えます。それは、「会社の歴史」「スタッフの紹介」「お役立ち情報」です。

「会社の歴史」は、その時々の事件を紹介しながら、読み物のようにしました。「スタッフ紹介」は、顔写真と一緒に本人を面白おかしく紹介したものです。「お役立ち情報」では、商品の使い方とか、用語の説明とか、お客様に役立つ情報を載せます。

また、ホームページだけでなく、メールマガジン、ブログ、ニュースレターの発行もするようにしました。「ファン作り」の一環ですね。特に、ブログは毎日、社員全員が順番に書くことに。最初は、皆さん抵抗していましたが、読者からの反応が来始めると、楽しみながら書くようになったではありませんか。K社にとっては大きなことです。

しかも、今までやっていなかったことをすることで、社員の皆さんの気持ちに変化が起きてきます。全員がネット販売の運営に関心を持ち始めました。社内の文化が変わった瞬間です。

そして、毎月販売データを見ながら、商品戦略も考えていきます。そうするうちに、売上が上がっていって皆さん嬉しそうです。

しかし、ここで安心してはいけません。売上を3倍にする目標です。手を抜いたら、元の木阿弥になってしまいます。

案の定、目標が達成できなくなると「昨年の売上を上回っているから良いではないか」という言い訳が出てくるようになりました。これはいけません。今までの努力が無駄になってしまいます。そこで、「昨年対比ではなく、目標対比で考える」ことを徹底したのです。

これも、会社の体質、考え方を変えることにつながりました。その結果、2年後に5倍の売上目標を達成したのです。

考え方はダイエーと同じだといえます。目標を高く持って、出来ないことに「言い訳をしない」ということです。

もちろん、やり方や考え方を変えるだけで成果が出るものではありません。社員全員が、「なりたい会社の姿」や「社会にどんな役目を果たすか」という方向性を共有しておくことが大切です。そのうえで、やり方や考え方を変えれば、今以上の成果につながるのではないでしょうか。

■今日のツボ■

・業績が停滞した時は、今までのやり方や考え方を変えてみる
・目標を高く持って、出来ないことに言い訳をしないことが大切
・ただし、会社の方向性を全社で共有することが前提となる

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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