MAG2 NEWS MENU

W杯日本代表 スペイン撃破の歴史的逆転勝利は「ドーハの何」?日本サポーターからスペインに同情の声が上がったワケ

「サッカーの法則に反している」とドイツメディアが報じるほどの衝撃だった。12月2日未明に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)1次リーグ最終戦は下馬評をくつがえし日本がスペインに2対1で勝利。スペインはW杯史上最も高いボール支配率82.3%を記録したが、日本は針の穴ほどのチャンスを見逃さず逆転し貴重な勝利をもぎ取った。「ボールポゼッションが高いチームが試合を制する」というスペインサッカーのセオリーも破壊してグループEを1位で突破し、2大会連続で決勝トーナメントに駒を進めた。

日本、土俵際で逆転ゴール!VAR判定はまさに紙一重

日本は前半11分、いきなりFWアルバロ・モラタに高いヘディングを決められた。試合早々の失点で、終始スペインに主導権を握られたまま前半が終了した。

悪い雰囲気を断ち切るように、後半は長友佑都から三笘薫、久保建英から堂安律に選手を交替。

その成果はすぐ現れた。後半3分、堂安がドイツ戦に続き同点ゴールを左足で決めた。続いて後半6分、右サイドから堂安が中央に折り返すとボールはゴールラインぎりぎりへ。これに交替したばかりの三笘が滑り込みながら食らいつき、ゴール前に絶妙なクロスを上げた。それを田中碧が走り込んでゴールに押し込んだ。

ついに逆転!の場面だったが、なかなかゴールの判定は確定しなかった。三笘の蹴ったボールがゴールラインを割っていた可能性があったからだ

本田圭佑氏も「これ出てるかもしれへん」

VAR判定の間、テレビでは何度もその場面がスロー再生された。

ABEMA TVで解説をしていた元日本代表の本田圭佑氏と槙野智章氏も、

槇野「ラインは割ってなかったですよ」
本田「出てたっぽいで、これマキ。ちょまて、ちょまて、なになになに? ……出てたっぽいで、マキ」
槇野「ん? 出てるの?」
本田「これ出てるかもしれへん。んー、これこそVARやわ。うーん」

と思わず口にするほどの際どさ。角度によっては、肉眼ではラインを割っているように見えたようだ。

しかしVAR判定の結果、ゴールラインは割っていなかったと判定された。

このVARは「ホークアイ」と呼ばれる会場に設置されたカメラと、ボールにチップが内蔵された「トラッキングシステム」による2つのシステムで判定される。

前大会まではテニスの世界大会でも使用される「ホークアイ」のみだったが、トラッキングシステムはボールにチップが内蔵されており、コンマ何ミリ単位の正確なボールの位置を特定できるようになっている。

またイン・アウトの基準も勘違いされやすいがボールの接地面は関係ない。グラウンド上または空中で、ボールの一部がラインに触れていれば「インプレー」、タッチラインから完全に越えていれば「アウトオブプレー」となる。

今回の判定は極めて正確なもので、日本の勝利が覆ることはあり得ないと言える。

三笘はこのときのプレーについて試合後のコメントで

「いや、もう1ミリかかっていればいいなと思っていましたし、入った後はちょっと足が長くて良かったなと思いました」

と語ったが、発言通り三苫の足が少しでも短かったらアウトになっていたかもしれない。

しかし、スペイン側の一部のメディアでは疑惑の判定として問題の場面が何度も再生されている。主審がVARを直接自分で確認しなかったとされることも批判を浴びているようだ。

スペイン側の不服は当分おさまりそうにもない。

2002年 韓国戦の“忌まわしい記憶” スペインに同情の声が上がるワケ

今回の判定が覆る可能性はないが、判定に不満を持つスペインサポーターに対して、一部の日本サポーターからは同情の声もあがっている。

それはなぜか?スペインは2002年日韓ワールドカップの韓国戦で、割ってないボールを割ってると誤判定されて得点を取り消され、PK戦の末に敗北しているからだ。

準決勝の対韓国戦。0-0で突入した延長前半2分。FWホアキン・サンチェスのクロスボールをFWフェルナンド・モリエンテスがヘディングで押し込みゴールに入れた。

しかし、ホアキンのクロスがゴールラインを割っていたと判定されノーゴールとなった。だがのちに動画を再生すると、サンチェスのボールはライン内だと発覚し波紋を呼んだ。

まだVAR判定がなかったこの時代、判定は全て審判に委ねられていた。その結果、スペインは、PK戦(3-5)で敗退した。

いまだに「審判が韓国側に買収されていたのでは」との疑いがもたれている。

スペイン人にとってワールドカップの「ゴールライン」問題は、日本の「ドーハの悲劇」同様にトラウマ。そのため日本でも、スペイン側の心情を思いやる声が少なくないわけだ。

この劇的勝利を「ドーハの何」と呼んで語り継ぐ?

あの「ドーハの悲劇」から29年。11月23日のドイツ戦の勝利は「ドーハの奇跡」と呼ばれたが、続く11月27日のコスタリカ戦ではまさかの敗退を喫し一転「ドーハのぬか喜び」と非難の的にもなった。では、試合前の悲観的な予想を覆したスペイン戦での劇的逆転勝利は、今後どう呼ばれ語り継がれていくのだろうか?

ネットユーザーの間では「ドーハの歓喜」が多数派の様子。日本で最も歴史のある専門誌『サッカーマガジン』のWeb版は「ドーハの笑顔」と命名している。その他、コスタリカ戦での敗戦から一転した日本国内のムードを受けて「ドーハの手のひら返し」や、午前4時キックオフという“過酷”な中継時間から「ドーハの睡魔」といったユニークな呼称も見られた。

日本代表は、決勝トーナメントで新たな「ドーハの〇〇」を生みだすのだろうか?最後に、SNSでの様々な「ドーハの〇〇」をまとめてご紹介しよう。






※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

image by: Fitria Ramli / shutterstock.com

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け