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文章チェックのプロが伝授。仕事がどんどん舞い込む「プロフィール文」の書き方

起業や副業で新たな仕事を始めるときに必要になるのが「自分を説明しアピールする」プロフィール文の作成です。単なる自己紹介や経歴の説明では、なかなか仕事にはつながらず、どう書いていいか悩む人も多いようです。今回のメルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』では、朝日新聞の校閲センター長を長く務めた前田さんが、「プロフィール文」と「履歴書」の違いを確認することで見えてくる“魅力的な”プロフィール文に必要な要素を説明。何年か先をイメージしていまの自分を語る「バックキャスティング」の手法を教えてくれます。

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プロフィール文と履歴書の違いはストーリーの有無にある

最近よく相談を受けるのが、プロフィール文の書き方についてです。起業や副業などで、ブログやホームページをつくるのだが、そこでアピールしたい自分自身のプロフィールをどう書いたらいいのかわからない、というのです。

一生懸命勉強をして資格を取ったり経験を積んだりしても、それだけでは集客できません。それは僕自身、とてもよくわかります。大きな組織を離れて独立したけれど、僕個人を知っている人は、まずいないからです。SNSを使って集客する方法などの本や講座がたくさんあるのも、こうした状況を踏まえたうえでのことだろうと思うのです。

同じ資格を持っている人は何万人といます。そのなかで、自らの強みをどうアピールして他の人との違いを出すのかは、なかなかの難問です。こうした状況も踏まえ、今回はプロフィール文について、考えてみます。

プロフィールと履歴は何が違うのか

まず、「プロフィール」と「履歴」は何が違うのかを確認しましょう。

履歴:現在までに経てきた学業・職業など、経歴。

プロフィール:(1)横側から見た時の顔の輪郭。横顔。横顔を描いた肖像画や写真。(2)普通とは異なった角度から見た人物評。(3)人物の紹介。

辞書には、こう書かれています。僕たちは通常、プロフィールと履歴をほとんど同じ意味で使っています。しかし、あえて履歴ということばを使わず、プロフィールということばを使う意味を押さえておきたいと思うのです。

履歴の「履」には、「(靴などを)はく」とか「ふむ」「実行する」「経験する」といった意味があります。「歴」は「時を経る」「通り過ぎる」という意味です。つまり、「履歴」は辞書にもあるように、過去から現在までに実行したこと、経験をいうのです。

一方、プロフィールは、正面の顔ではなく横顔、普通とは異なった角度からの人物評のことです。過去の履歴も含みつつ、単なる経歴を並べるのと少し趣が違います。

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あなたを「情報」として語れるか

またフランス語由来のprofil(プロフィール)は、英語のprofile(プロファイル)と同根のことばで、「情報を集約する」という意味もあります。つまり、プロフィールは、あなた自身の情報を記すプロファイルでもあるのです。整理するとこういうことです。

履歴:あなたが過去から現在まで経験したこと。

プロフィール:あなた自身の情報。

つまり、あなた自身の情報を説明するものだということです。これは、過去の出来事ではなく、その先の未来にあるあなたの情報も含んでいるということなのです。

出身校や職歴という、これまでの人生の枠組みを語るだけではありません。それは履歴です。正面から描いた顔に他ならないからです。たとえ過去の立派な経歴を見せられても、それが将来にどう結びつくのかはわかりません。転職の場合は、それまでの実績がものを言うかもしれません。それでも立派な経歴が将来の仕事とマッチするかどうかはわかりません。履歴には次の将来像が描かれていないからです。

ストーリーからヒストリーを語る

個人で何かをしようとする場合、確かに過去の実績や資格は、大きな強みになります。そこに未来の姿、あるいは未来への思いが描ければ、強みをさらに強固なものにすることができます。未来が描けないと希望や夢を語ることができません。つまりプロフィール文は、5年後、10年後にあなたが望む姿から、今のあなたとそれに紐付く過去のあなたを逆算していく作業です。これをバックキャスティングと言います。

履歴は過去の積み重ねで現在のあなたの姿を語るものです。これをフォアキャスティングと言います。ここにはヒストリー(History)しか描けないのです。一方プロフィールは、少し先の未来にある姿からいまを語るということです。言い換えるとストーリー(Story)からヒストリー(History)を語ることなのです。(メルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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前田安正この著者の記事一覧

未來交創株式会社代表取締役/文筆家 朝日新聞 元校閲センター長・用語幹事 早稲田大学卒業、事業構想大学院大学修了 十数年にわたり、漢字や日本語に関するコラム「漢字んな話」「漢話字典」「ことばのたまゆら」を始め、時代を映すことばエッセイ「あのとき」を朝日新聞に連載。2019年に未來交創を立ち上げ、ビジネスの在り方を文章・ことばから見る新たなコンサルティングを展開。大学のキャリアセミナー、企業・自治体の広報研修に多数出講、テレビ・ラジオ・雑誌などメディアにも登場している。 《著書》 『マジ文章書けないんだけど』(21年4月現在9.4万部、大和書房)、『きっちり!恥ずかしくない!文章が書ける』(すばる舎/朝日文庫)、『漢字んな話』(三省堂)など多数。

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【著者】 前田安正 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 5日・15日・25日

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