「タカラトミー」「すかいらーく」に学ぶ、令和の顧客ニーズ解決法

 

すかいーくHDのDX事例

もう1つ、すかいーくHDの事例を紹介します。

ガストでは、深夜営業を再開しました。この背景には、以下のような理由があります(23年3月22日のITmediaビジネスの記事より)。

<なぜ、一度廃止していた深夜営業を復活させたのか。同社の広報担当者は、「ポストコロナで、深夜の需要が回復した。働いている方を中心に、“夜に食事ができる場所が少ない”という不満がある。社会的なニーズに対応するためだ」と説明する。>

深夜営業を再開できた、1つの大きな理由は、ファミリーレストランの、ガストのネコ型の配膳ロボットでしょう。

ガストは、社員確保が難しいこと、人件費の高騰もあり、この自動配膳のシステムを導入しました。

いわゆるDXですよね。

23年3月22日のITmediaビジネスの記事によると、「導入した3,000台のネコ型配膳ロボットも活躍している。ロボットが活躍することで、ガストでは片付け時間が35%、歩行数が42%それぞれ削減されたという」とのこと。

この事例も、先程のタカラトミーと同じように、マーケティング的な発想で見つけた、顧客の潜在ニーズの実現に、障壁となる人材難を、ITの力で解決したのです。

このように、新しい取り組みの起点になるのは、マーケティング的な、顧客ニーズの解決です。

そしてその実現においては、ITの力、財源、人員の確保といった、企業が持つ、ヒトモノカネの、経営資源が必要になります。

ここでのポイントは、「マーケティングは、マーケティング部だけの仕事ではない」ということです。

市場の分析や推測、顧客ニーズの汲み取りや、差別化、ターゲティングなどの実務は、マーケティング部の仕事です。

しかし、それ以外の部署が、「なぜ、マーケティング部の戦略が、うちの会社に必要なのか」「この施策を実施すると、うちの会社はどうなるのか」というマーケティング的発想を、理解できていると、社内での企画実現もスムースになり、画期的な製品やサービスの開発にもつながります。

ヒューレット・パッカードの創業者の、「マーケティングは、マーケティング部だけに任せるには、重要すぎる」と言ったのは、今の時代、まさに的を射る言葉だと言えます。

もしあなたの会社の製品が、値引きしないと売れない、とか、いつも商談の最後でひっくり返される、という問題を抱えているのであれば、一度、部署を横断して、マーケティング、特に顧客視点の重要さが、社内に浸透しているのか、をチェックしてみるといいでしょう。

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image by:TK Kurikawa

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