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テレビ千鳥「デニムいじり炎上騒動」にTV関係者が苦言。原因は“芸人の地位が上がりすぎ”?

5月4日放送の「テレビ千鳥」(テレビ朝日系)の一部内容について抗議が殺到した件を受けて、テレビ朝日は22日、謝罪文を発表した。問題となったのは、番組内「春服買いたいんじゃ!!」企画で、お笑いコンビ・千鳥の2人がセレクトショップ「STUDIOUS」に訪れたときの場面。ファッションブランド「JOHN LAWRENCE SULLIVAN」のデニムを試着した大吾(43)は、「正面チャック2枚ち◯ぽ出し変質者やん!」と自虐し、文言が番組テロップにも表示された。これに、同ブランドのデザイナー・柳川荒士氏が猛抗議。騒動に至ったというわけである。なお、テレビ朝日は「ブランド側に許諾を求めておりませんでした」としている。

賛否が分かれる中、テレビマンは何を思う?

今回の件はネットでも賛否が分かれているが、「デザイナーも服もかわいそう」「作った人がムカつく気持ちもわかる」といった苦言が目立つ。また、千鳥の「芸風」を疑問視する意見も出ているようだ。

この騒動を、業界関係者はどう見ているのだろうか? バラエティ番組などの放送作家をしている30代男性に話を聞いた。

「テレ朝が『性的表現を想起されるような演出~』と謝罪していましたが、まさにそれで、面白くて笑えても、この時代にそぐわない演出でしたね。千鳥さんは大阪時代から“攻め”の芸風を貫いていて、それが東京でも受け入れられました。本人たちやスタッフは平常運転のつもりでやっていたんでしょうけど、ちょっと配慮が足りなかったと感じます」

こうしたテレビ番組への批判は近年、珍しいものではない。中には、「過剰なクレームがテレビをつまらなくさせる」といった声を上げる人は昔から一定数いるが、それについてはどう思っているのだろう?

「……そうですね。まあ、スポンサー企業もクレームには敏感ですから、制作サイドもそれを意識して作らねばならず、批判を浴びる可能性の低い“クイズ番組”といったジャンルが増えていることに不満がないと言ったら噓になります。しかし、今は昔と違って簡単に“批判”を受ける時代、というのが現実でして、それに合わせて面白いものを作っていかないとダメなんですよね。なので、クレームが番組をつまらなくさせているかもしれないけど、テレビマンがもっと工夫して、批判されないギリギリのモノを制作していくしかないんだと思っています」(前出の放送作家) 

原因は「芸人の地位が上がりすぎ」にある?

また、テレビ制作会社に勤めるディレクターはこう言及する。

「これは私の師匠の某プロデューサーから言われたことで、昔と比較して『芸人の地位が上がりすぎたんだよ』という問題です。以前は、芸人さんってどこか下に見られるというか、完全な三枚目扱いでしたよね。それが今ではコメンテーターもやるし司会に俳優に歌に…と、売れっ子芸人は売れているアイドルと同じくらいの地位に登り詰めました」

つまり、それが過剰なクレームの原因のひとつなのではないか? ということのようだ。

「ただでさえコンプラが求められる時代に加えて、今は“所詮芸人のやること”といった見られ方をしなくなったというわけです。もう、単に笑わせるポジションの人たちではない。だから、人気者で影響力のある“タレント”の千鳥さんがデニムをいじったら、それを見て面白いと感じた人は『このデニム、ダサッ』『デザインが変』と思うし、SNSにも書いてしまう。ブランド側からしたら名誉を傷つけられる大迷惑なことでしょうし、購入者が減る可能性もある。怒るのはもっともだと思いますよ」(前同)

テレビ番組が「不謹慎」などと過剰に反応されているのをみると辟易するが、もはや芸人が何をやっても許される時代はとっくの昔に終わったということだ。何かと縛りの多いテレビに出ている以上、芸人ではなくテレビタレントらしい振る舞いが求められるのかもしれない。

image by:テレビ千鳥(テレビ朝日)

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