“自ら望む”理不尽。KADOKAWAの五輪汚職に見る「日本的マゾヒズム」

 

1953年に発行された日本人論の古典『日本人の心理』の著者で、社会心理学者の南博先生は「権威・権力は、天道にこそ負けるが、人間社会では法よりも道理よりも強く、これに逆らうことは心得違いという考えは徳川時代からある」と説き、今日(1950年代)まで、日本の精神教育はすべてその服従心を植付けることに集中されてきたと分析しました。

徳川の時代には「長いものには巻かれよ、太いものにはのまれよ」と民衆は教え込まれ、明治時代には政府の指導者たちが権力を保つための重要な手段として、「権力への服従心」を無条件に民衆に植え付けた。そして、服従心を徹底的に植え付けたのが軍隊だと指摘します。

そして、この精神主義を南先生は「日本的マゾヒズム」と名付け、理不尽さをかいくぐることで理不尽を理不尽と思わなくなり、自ら理不尽な状態を望むような心理状態としました。

日本的マゾヒズム…日本の労働問題の歴史、働く人たちの悲劇は、この一言に集約されているのではないでしょうか。

冒頭のKADOKAWAの社員だけでなく、日本の組織の至る所に「日本的マゾヒズム」は深く根をおろしている。無自覚な理不尽を望む心理状態は、当事者意識の回避につながっている。社会的主体としての当事者意識が希薄化し、自己中心的あるいは自己愛的に変化し、それが日本という国の「社会的性格」になってしまったのです。

とあれこれ思うままに書きましたが、当事者意識の希薄化は日本の絶望です。

この問題はもう少し自分の中で深めて、また今度続きを書きます。みなさんのご意見お聞かせください。

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