ネットやSNSに疎くマーケティングをすることができない…そんな悩みを抱えるお店は多いそうです。無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんは、今の時代であっても、ネットを使わずとも顧客を増やすことができる方法があると断言しています。
ネットがダメでもアナログがある
ネットの時代です。ですから、ネットマーケティングも盛んです。
とはいえ、ネットの売上は2割程度。8割の売上を占める、実店舗でのマーケティングをおろそかにしてはいけません。
1.ネットが使えない
「ネットがうまく使えないので、どうしたら良いか」という店主からの相談がありました。歴史のあるスポーツショップです。
調べてみると、お店のホームページがありません。SNSを利用している形跡もなさそうです。今どき珍しいお店のように思いますが、そうしたお店は意外と多いかもしれません。
仲間のお店からは、ネットで売上が増えたとか、ラインやインスタグラムで情報を発信しているといった話が店主の耳に入ってきます。店主には、理解の出来ないことも多いです。
「うちのお店は遅れている」
「とはいっても、ネットに投資をする金もない」
そう思うと、焦りますよね。ここのところ売上が落ちてきていますから、なおさらです。
とはいえ、ネットを活用するには、大した費用はかかりません。ホームページなどは、無料で作れる時代です。しかも、SNSは登録をすれば無料で使えます。
しかし、ネットを活用するには、それなりの戦略とノウハウが要ります。ですから、ネットを手がけていないお店が、今からその世界に入っていくのは大変です。
では、どうしたら良いでしょう。方法は難しくありませんので、お伝えします。
今現在ネットを活用していないのであれば、これからも使う必要はありません。なぜなら、ネットを使わなくても、お客様を増やすことは出来ますし、売上を伸ばすことも出来るからです。その方法をご紹介します。
2.ネットを使わずに売上を伸ばす
いえ、決して画期的な方法ではありません。結論から言えば、今までお店で行ってきたことを、もう少し丁寧に繰り返すだけのことです。
このメルマガが始まったころ、「顧客リストは宝の山」という話をしたことがあります。もう16年も前のことです。覚えていますか。
小売業にとって、顧客リストは宝の山です。スポーツショップにとっても同じです。それは、16年経った今でも、変わりはありません。その顧客リストを使えば、ネット以上の威力があるのです。
例えば、会員制度を運用しているお店だとします。登録会員は何万人にも及ぶことでしょう。そして、そのリストはパソコンに入力してあり、データベースとして使えるようになっているはずです。
そのデータベースからは、少なくとも会員の氏名、住所、年齢、実施スポーツは分かるでしょう。やっているスポーツごとにグループ分けをして、お店からの手紙が出せるようにしておきます。
例えば、「秋の野球祭り」といったイベントを企画したとしましょう。昔ながらの「手紙」をお客様に送って、イベントの案内をします。送る先は、野球グループのお客様です。グループ全員に送るのは効率が悪いので、送り先を絞ります。例えば、お店の近くに住んでいる、12歳から18歳のお客様といったように。
手紙の内容が大切ですので、一生懸命考えてください。手紙には、イベント対象商品を写真付きで知らせておきます。そして、対象商品を買ったお客様への特典が大事です。例えば、次のようなモノが貰えればどうでしょう。
・店舗オリジナルランドリーバッグ
・オリジナルTシャツ
・練習ノート
・1,000円のクーポン券
いずれにしても、お客様が満足をする特典を考えます。これは、どのお店も昔から行っている方法です。ネットを活用していないのなら、改めてアナログの力を借りましょう。ネット時代だからこそ、かえって効果的かもしれません。
3.買い替え需要を狙う
また、会員制度のないお店でも、きっと何らかの顧客リストはあります。例えば、次のようなものです。
・チームユニフォーム受注書
・野球グローブ型付け申込書
・スパイク修理依頼書
・ガット張注文書
・卓球ラケットラバー張申込書
・カスタマイズ商品注文書
・商品取り寄せ依頼書
これらは、まさに宝の山です。この顧客リストは、先の会員データよりも、確実にお客様のことが分かります。住所や年齢はもとより、購入日まで分かるのですから、大変貴重なデータです。
スポーツ用品には、それぞれ買い替え時期というものがあります。その時期に合わせて、お客様ごとに買い替えのご案内をしてはいかがでしょう。
手紙には、新製品の紹介がされています。もちろん、買っていただいたお客様への特典が重要です。しっかりと考えましょう。
さらに言えば、上記の受注書や申込書の中で、チームユニフォーム受注書が最もドル箱となるデータです。チームユニフォームは、新年度が始まる時とか、大きな大会が終わった時に、作り直すことがよくあります。ですから、その時期を見計らって、チームの購買担当者に手紙を出すと良いです。もちろん、チームに喜ばれる必需品を特典に加えることを忘れてはいけません。
いかがでしょうか。こうした手紙によるマーケティングは、絞り込んだお客様を対象にするところがキモです。ネットによる販売促進は、所詮、不特定多数のお客様を相手にしています。小売店がお客様を増やして、ファンになっていただくには、お互いに知り合っていることが重要です。そのための方法としては、アナログの方が効果があります。
ネット時代だとはいえ、これまで行ってきた方法を馬鹿にしてはいけません。それどころが、お客様との直接の対話こそ、小売店の発展につながる要素ではないでしょうか。
■今日のツボ■
・顧客リストは宝の山である
・集まった顧客リストをデータベース化して、特定顧客に手紙を送る
・お客様をファンにするには、アナログな方法の方が効果がある
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