日本の産業に大影響を与えるとされている「物流の2024年問題」、その余波は古き良きドライブインにも迫ってきています。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんが紹介するのは、物流の2024年問題とドライブインの関係。いったいどうなってしまうのでしょうか?
物流の「2024年問題」で、昭和のドライブインが消滅する!?
ドライブイン。その懐かしい響きが、いま再注目されています。
昭和ブームとコロナ明けの活動期が重なり、人びとが全国のドライブインを探訪するようになったのです。
ドライブインとは、幹線道路沿いに建つ、食堂兼休憩施設のようなもの。
大型トラックを止められる広い駐車場があります。
高速道路がまだ少なかった頃から誕生し始め、ドライバーのオアシス的存在。
現在のSA・PAの役割を担っていました。
時代とともに減少したものの、いまなお、ドライバーに愛され続けているドライブインは多く残っています。
古くから営業しているので、外観も内観も、佇まいはレトロ。
それが、現代の人にウケているのです。
初めての場所なのに、懐かしいと感じる若者は多く、観光地のようになっています。
長く営業を続けてきて、注目されるようになるのは、嬉しいことなのではないでしょうか。
ところが、ここに来て、存続の危機となり得る問題が発生しました。
2024年のトラック問題。
働き方改革により、トラックドライバーの労働時間が短縮されるので、物流の混乱が起こる可能性が高くなったのです。
ドライバーが足りなくなるのです。
元々減少傾向だったところに、今回の件で、さらに問題は深刻化しています。
その解決策として、電車や飛行機による代替輸送の試みも始まっています。
また、カーフェリーの「リレー輸送」にも注目が集まっています。
荷物コンテナをトレーラーでフェリー乗り場まで運び、後ろの荷台部分だけをフェリーに乗せ、輸送。
到着地では、別のドライバーが待機しており、荷台部分を受け取り、目的地まで運びます。
これなら、ドライバーがフェリーに乗っている時間を省くことができます。
こうした取り組みが始まってはいるものの、本格的な稼働が2024年に間に合うのかどうか。
さらに、ドライバーの労働時間が減るということは、収入が減ることでもあるので、離職者が増える懸念もあります。
しかも、収入に魅力がなくなれば、新しいドライバー希望者も少なくなります。
結果、現在多くなっている「人手不足倒産」も増えることでしょう。
働き方改革とは言え、トラック業界の現状には、そぐわない施策なのです。
さて、ではなぜ、トラック問題がドライブインを消滅させるのでしょうか。
解説するまでもなく、長距離輸送が少なくなる上、ドライバーも減ってしまうので、当然、ドライブインの利用者も激減するからです。
ドライバーにとってドライブインは、時間調整の場であることが多いので、労働時間の短縮を要請されれば、これができなくなります。
よって、ドライブインの必要性が薄れ、離れていってしまうのです。
トラックドライバーに支えられていた存在は、大打撃を受け、消滅する可能性が高くなってしまいます。
昭和ブームがしばらく続いたとしても、やって来る人は、トラックドライバーほどの数ではありません。
支え続けることはできないでしょう。
建物も老朽化しています。店主も高齢化しています。
ドライブインは、終わりの刻を迎えているのかもしれません。
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