いまや日本人の2人に1人がかかると言われているがん。その病の手術後に幸福の条件を見出したという、小泉八雲や日本神話の研究家、池田雅之さん。今回のメルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、池田さんが語った、がん闘病で変わった人生観について語っています。
小泉八雲の研究家が語る「がんが教えてくれた幸福の条件」
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)や日本神話の研究、NPO法人「鎌倉てらこや」を通じた子供たちの教育事業に長年取り組んできた池田雅之さんを、突然の病が襲ったのは2019年春のことでした。
以後、洋の東西を問わず様々な治療法を試みていく中で、人生観・生命観が大きく変わっていったという池田さんに、真の幸福を得るための条件をお話しいただいた。
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(──池田さんは、『日本の面影』『怪談』などの著書でよく知られる小泉八雲や日本神話の研究に長年取り組んでこられましたが、数年前に大病を経験され、人生観が大きく変わったと伺っています。)
(池田)
私は2017年に早稲田大学を70歳で退職したのですが、その頃から疲れやすいというか、体調があまりよくなかったんですね。それで2年後、健康診断で胃カメラを飲んだところ、思いがけず胃がんが発見されたんです。
(──がんが見つかった。その宣告をどう受け止められましたか。)
(池田)
それまで大きな病気はしたことがなかったので、まあ、ショックではありました。しかし、がんはいまや二人に一人が罹かかる国民病ですからね。目の前が真っ暗になるとか、怖いとかいう感情はありませんでした。
ただ、手術後の3年間は家族以外にはがんになったことは一切公表せず、また、幸いコロナ禍かでもあったので外出もせず、治療に専念できました。
(──どんな治療を受けたのですか。)
(池田)
都内の大病院で胃を内視鏡で切除する手術を受けました。ステージ2ということで全摘まではいきませんでしたが、胃の3分の2を切除しました。
どうやら同時に周りの迷走神経も切られてしまったようで、栄養が体に十分吸収されない体になってしまいました。
手術前に66キロあった体重はみるみる落ちていき、いまでは50キロになってしまいました。
(──短期間で体重がそんなに……。)
(池田)
それでセカンドオピニオンの先生が必要だということで、娘の勧めもあり、鎌倉の自宅に比較的近い川崎の「ゆいクリニック」の由井郁子先生にお世話になることになりました。
由井先生は西洋医学だけでなく、漢方や栄養療法など様々な代替療法を組み合わせた治療を行っている女医さんです。私は由井先生との出逢いで、それまでの医療や人間の生命に対する考え方が徐々に変わったんです。
(──具体的にはどのように変わっていきましたか。)
(池田)
例えば、胃がんなら胃そのものに問題があると普通は考えますが、由井先生は原因はそれだけじゃないと言うんですね。これまでの私の生活習慣やストレスの蓄積が胃に負担を掛けてがんになった。つまり日々の生活態度、「心の問題」が大きいというのです。
だから、診察でも生活習慣や生い立ちなどを詳しく見ていく必要があるというわけですね。
(──心の問題が病気に関わっている。とても興味深いお話です。)
(池田)
実際、生活習慣を振り返ると……
(『致知出版社の「人間力メルマガ」』2023年10月20日号より一部抜粋)
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