MAG2 NEWS MENU

加害者は5名。酷すぎる「いじめ」を受け続けた女子中学生が成功させた“反撃”の全記録

これまでに1万人以上のいじめ被害者から相談を受け、数多くのいじめ事件を解決してきた、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。阿部さんは今回、自身のメルマガ『伝説の探偵』で、「死にたい」というメールを送ってきた中学生女生徒が相談に訪れ、他の被害者とともに5人の加害者に対して見事に反撃を成功させた事例を紹介するとともに、日本社会でいじめ被害者が置かれているあまりにひどい現状を告発しています。

ある女子中学生から届いた「死にたい」という一通のメール。反撃、そして回復へ

(掲載許可済み)

「もしよろしければ、詳しく教えてください。辛いことを話すと気持ちが少し楽になることがあります。また、私共も詳しい情報を教えてもらうことで、何らかの解決の糸口が過去の事例から導くことができるかもしれません」

辛いことは当然わかっている。メールフォームに相談を書いたからといって気持ちが楽になることなどあるまい。ただ、情報がないとどうにも答えようもないという問題もある。

すぐに返信がくることもあるが、断ち切れてしまうこともある。数か月後忘れたころに、脈絡ない相談の続きが送られてくることもある。センシティブな内容の相談を受ける窓口は、きっと同様の悩みを抱えていると思う。

電話は相談窓口が閉まる19時少し前にかかってきた。

中学1年生、公立校に通っている。親は共働きで、弟が一人いる。

学区制で小学生の頃のいじめの加害メンバーと一緒に中学に上がった。

男女混成のグループで悪口から始まり、今では友達と話していると、その友達を呼んでありもしない噂を吹き込んだり、誰も仲良くしないように「引きはがし」をしてくるということであった。

徐々に孤立してきて、今では普通に話せる友達はクラスに2人ほど、本当は4人いたのだが、そのうち2人が同様の被害に遭いすでに学校に来ていないということであった。

私は一般的な傾聴法を使い、尋ねたのは途中で電話代がかかるのでかけ直すための電話番号と「いじめ防止基本方針」を確認したいので学校名くらいだった。

地域的には現在事務所がある中央区八丁堀までは電車で20分ほど、友達でも親でも誰でも構わないので一緒に、土曜日休みの日に事務所で詳しく話を聞く約束をした。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

登録で活動を支援する

たった一人で面談にやってきた少女

土曜日。

Aさん(相談の女子中学生)は一人で事務所にやってきた。

弟はいつもの学童に預け、両親は仕事だという。

現在の中学校での出来事を、カレンダーを使いかなり詳細に話してもらい、小学校はホームページで行事表を出していたので、これを見て小学生の時にどういうことが起きたのかも話してもらった。

これを時系列でまとめて、年間1回行われる「生活アンケート」でいじめがあるとチェックした年度や学校内のヒエラルキーなども教えてもらった。

スマートフォンで撮った写真の中には、情報を補強する写真もある事から、これも提供してもらって詳しい被害の時系列文書が出来上がった。

私からは少し難しいかもしれないから、大まかな法体系や中学校が公開しているいじめ防止基本方針についての説明をした。

また、証拠取り用に無償レンタルしているICレコーダーと返却用のレターパックを渡した。

Aさん 「親には話した方がいいんですか?」
阿部 「話した方が断然いいよ。無理なら無理なんだけどね。」
Aさん 「話し方がわからない。」
阿部 「葛藤しているね。ならば、1つ試してみようか。相談したいんだよね」
Aさん 「はい、相談したいです」

私は私が原案者となっている『いじめ探偵』(小学館・榎屋克優)1巻2巻とNPO法人ユース・ガーディアンの私の名刺を手渡した。

阿部 「これを、机の上にでも置いておけばいい。もちろん、読んでもいいし、サインも今書くし」

普通の親なら、モロいじめがテーマの漫画とそれに直接介入する団体の名刺があれば、ピンと来るはずだ。

阿部 「あと、駅まではそこのスタッフが送るけど、帰宅したらちゃんとメールするんだよ」

別室で作業していたスタッフが言うには、相談にやってきたときと、帰宅するころでは、Aさんは声のトーンも言葉のメリハリもついて、少し元気になっていると見えたそうだ。

「全て忘れてほしい」。母親からの突然の電話

月曜日のランチタイム、Aさんのお母さんから電話があった。内容は、親で何とかするので全部忘れてくださいということと漫画の代金はお支払いするので振込口座を教えてくださいということだった。

漫画は差し上げたものなので、押し売り詐欺業者にしないでくださいと断り、何とかするというのはどうやって?と質問してみた。

すると、また電話しますといって電話を切られてしまった。

次の電話は、午後5時過ぎだった。

ランチタイムの電話とは声の感じが全く違う。どうやら、私が出たテレビ番組をネットで知ったようだった。今後どのように進めていけばいいかアドバイスをくださいということになった。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

登録で活動を支援する

貸し出したICレコーダーに残っていた暴言

翌週の祝日の月曜日、Aさん親子は、どうしても探偵事務所に行きたいという弟を連れて。

それだけではなく、不登校状態になっているBさん親子、五月雨登校で保健室登校のCさん親子、Aさんとはズットモ(ずーと友達)の2人を連れて事務所にやってきた。

移転して広くなったとはいえ、9人が入室できる会議室はない。

仕方がないので、椅子だけ用意して、面談スペースのパーテーションを外して授業スタイルで面談に応じることになった。

Bさん親子もCさん親子も手作りの証拠を持参してきてた。

Bさんは入学早々、クラスの席次を間違えて自分の荷物を中心加害者の席に置いてから、突然言いがかりをつけられるようになって、男子に押されたり、階段で突き飛ばされたりして怖くなってしまった。

この言いがかりの際は学校が介入しているが、中途半端にお互い謝罪というのをやって、その記録は保護者が持っていた。

Cさんは両想いになった男子生徒と家が近く、一緒に帰っていたら中心加害者に脅されたそうだ。これはLINEでも行われていて、その記録は相手がトークルームから出てしまって大半を消していたそうだが、スクリーンショットで全体の半分程度の記録が残っていた。

ズットモの2人は、つい先日、Aさんを囲んで話していたら、中心加害者に手招きされた。

これを断ると、「てめーも、いじめてやんからな」と言って脅された。

Aさんに貸したICレコーダーにはこの暴言が残っていた。

またAさんの記録を中心に全員の証言や証拠をまとめると、それぞれが補完しあっていることもわかった。

加害の中心は同一人物の女子生徒、その友人が2人と男子生徒2人の計5人がいつも、つるんで周囲を巻き込みいじめをしている。

担任の教員は目の前でいじめが起きていても注意をしないで無視するタイプで、校長はいつも不在、区内では校長会会長をしたことがあるなど偉い部類に入る校長先生のようだった。

私は学校とのみ話しても埒がが明かないであろうと考え、ABCさん親子に翌日以降で教育委員会の学校指導課に行くようにアドバイスをした。

証拠類の記録をそれぞれまとめ、その場で体裁を整え文書化もした。証拠の添付もして、必要な記録が取り出せるように開示請求をどうするかということも紙にまとめた。

そうした記録を作っている間、スタッフが加害の中心人物らをネットで調べていると、Instagramの裏垢(裏アカウント)を発見した。

そこには、「ウェイウェイ」と妙な掛け声で5人が騒ぎ、ビール缶で乾杯している動画、古くから営業している様子の売れていなさそうな靴屋さんの店先におかれた「おじさんサンダル」を手に持って走る様子などが映っていた。

これらは学校に通告すると同時に児童相談所や警察、被害に遭ったであろう店主にも通報することにした。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

登録で活動を支援する

反撃開始に逃げ出した加害者と担任

明けて翌日、加害者らは担任に呼び出され別室に移動した後、みんなが体育をしている時間に帰宅したとのことであった。

一方、翌日3家族が教育委員会で被害を訴えたことで、学校にも連絡が入った。当初は学校とやり取りしてくださいと教育委員会の職員は言っていたようだが、結局、教育委員会の指導主事が必ず同席するということになった。

当然だが都内ということもあり、私は担当課課長に連絡をして釘を刺しておいた。

後日、学校が緊急的にいじめについてのアンケートを取ると、出るわ出るわで加害グループの問題が出てきたそうだ。

一方、加害者らは登校していない状態になっていた。当初は窃盗の件、その後いじめの件という形で指導するという連絡が入って、逃げたのだろう。

そのためか、クラスは平和になり、しばらくしてから、試しにBさんとCさんが登校してみたら、他の生徒らはそれぞれが謝罪し、歓迎された。

Aさんとズットモ2人のズットモ3人組が声掛けするなどして、BさんもCさんも無理のない範囲で登校できるようになった。

また、担任は体調不良を訴え、こちらも学校に来ていない状態であった。

これを報告してくれたAさんは、はじめとは全く異なり、明るい表情で笑うなど元気な様子であった。

この親にしてこの子あり。加害保護者からの抗議

めでたしめでたしと言いたいところだが、反撃事件から2週間後、加害者の保護者らが学校と社会からいじめられたという意味不明な訴えで学校に乗り込んできたそうだ。

その主張をまとめてみると、以下のようなものだった。

いじめが続いてしまったのは先生たちがきちんと指導しないからだ。
被害者の子たちが弱すぎるからいけないのだ。
他のクラスメイトが止めていればこんなことにはならなかった。
今はうちの子が被害者だ。賠償と謝罪を求める。
(加害保護者らからの抗議内容)

聞き及ぶ限りだから真にどうなのかは不確かだが、2方向から同一の主張をしていると報告があったから、まず間違いないだろう。

我が子が飲酒や喫煙をしたり、窃盗事件を起こしていたことについては、それはそれ、これはこれなんだそうだ。

ちなみに、靴屋の店主によれば、盗まれたサンダルが後日シャッターのところにコンビニのビニール袋に入れて置いてあったそうだ。証拠品として、すぐに警察に届けたとのことであった。

ちなみにこの店主はさびれた靴屋のオヤジではない、確かに靴屋は昔からの家業であるが、周辺の土地やアパート、月極駐車場などを貸す資産家である。

謝りに来れば許すと言っていたが、コンビニ袋に盗まれた商品、手紙の一つもないことで怒り心頭な様子であった。

もはやこの親にしてこの子ありの状態なのだろう。

現状は被害側が平和に登校できるようになり、加害側が不登校の状況にある。経過を見ていく必要があるが、本件には様々なよく起きる問題が内在しているのだ。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

登録で活動を支援する

全国的に起きている被害者のたらい回しや放置

まずは被害者のケアやいじめ被害の受け止めの問題だ。まるでマニュアルでもあるかのように全国的にたらい回しや放置が起きている。そもそもで対立する必要がない学校や教育委員会と被害者側が教育機関側の対応の悪さで対立が生じることが多い。

被害側は助けてくれと訴えているわけで、当初は責めようとは思っていないのである。

本件では、担任の先生の目の前で起きていることも多く、被害者も加害者も両方平等に指導すべき生徒とみなすことで、被害側の不信感と加害側の行為の助長を生じさせた。

一方文科省は相談窓口を持っているのに、個別事案には関与しないと被害側にはコメントしていた。その実、この個別事案は関与しないというのはここ十数年同様の返信などを多くの事例で直面している。それ意味あるの?というのが率直な疑問だ。

臨床心理士や公認心理師の資格持ちの学校カウンセラーがいても、週1回数時間程度、決められた部屋にいるだけで、そこに相談にいけば誰からも見られてすぐに噂になるという問題もあり、なかなか相談には行けない。常駐してもらうにも、スクールカウンセラーアンケートによればおよそ9割が職場にストレスを抱えており、雇用も勤務評価も不安定で、スクールカウンセラー側からすれば常勤を求める声は極めて少ない。社会的要請から常勤などを求める声が高まっても、制度的仕組みや職場の理解、雇用など働く側の保証をしっかり作らなければ、絵にかいたなんとやらになるだろう。

結果的に、ケアは教員や親が行うことになるが、そこには医療としての治療が必要なケースもあり、大きな負担が被害者側にのみかかってしまうという問題が生じているのだ。

加害者についてはもっと深刻かもしれない。何らの対策も整備されていないのが現状だ。

例えば、加害者の中には家庭での虐待などの問題を引きずっているケースがある。そこまで行かなくても、加害行為に発展するような支配的に人間関係を形成する環境を親が作り出しているような誤った家庭教育があったり、反省の機会すら与えてもらえない可哀想な子もいる。

二度と加害を行わないためは、更生する機会と教育は必要不可欠だが、そのような機会も教育も受けられるような背景はまずないと言っても過言ではないだろう。

いじめを「犯罪」と呼び変える機運も高まっているが、仮にそうするのであれば、加害者は「犯罪者」「犯罪予備群」ということになり、社会に出るまでに更生する必要は当然にあるとは思えないだろうか。

加害者への教育や制度はほぼないのだ。

第二に、クラス内でいじめが起きた場合、被害者が適応障害やPTSD症状になってしまうケースがある。この場合、加害者がいる教室には当然入ることもできない。

そうでないとしても、「ごめんね」「いいよ」となるはずはない。長く苦しめられ地獄のような日々を過ごした被害者が、加害者の「ごめんね」の一言で許せと言う謝罪の会が行われていることもある。もはや、許しの強要だが、昨日までは酷いいじめを受けていた被害者がそれをしていた加害者と同じ空間で過ごす苦痛は計り知れないだろう。

結局、加害者はのうのうと楽しくクラスで学生生活を謳歌し、被害者はそこに入ることもできずに、保健室や別教室、家からのリモートで授業を受ける。中にはプリントのみで自習、それすらなく放置ということもある。

教室に入れたとしても、被害者は孤立し他の生徒とも距離をおかれるわけだ。

行事の時くらいは登校しようと、登校しても楽しいときだけ来るなんてと批判されたり、学校に登校できるのにズル休みをしていると誹謗中傷を受けることもある。これは教員からも受けることがある。

こうなっていくと、クラスにどちらが残るのか?という問題が生じるわけだ。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

登録で活動を支援する

加害者が奨学金を受けていた湖西市のいじめ事件

多くのケースでは、加害者が残り、被害者がクラスから出ていく。しかし、世間的には、加害者が別室、被害者が登校できるようにすべきだと意見が多い。

不登校になることで出席日数やいわゆる通信簿の評定が極めて低い評価になり、進学に不利になることは多く、学習支援策がほとんどなかったり、あってもごく限られていることも多い。

つまり、理不尽ないじめによって教室に入れない状況になることが多い被害者は、不登校になるも教育行政としての学習支援策がごく限られていたりほとんどなく教育が受けられず、評価評定も最低評価をつけられて、進学ができなかったり、ごく限られた進学先しかない状態になるわけだ。

こうした場合、フリースクールや通信教育などの一定の有効策はあるが、フリースクールのフリーは無料の意味ではなく、相応の授業料などが掛かってくる。結果、被害側は、青春を謳歌するキラキラした加害者のInstagramを横目に、いじめさえなければ、当然に支払うこともなかった教育機関への費用を払うという経済的な負担をも負うことになる。

裕福な家庭ならまだしも一般的な家庭、低収入家庭だと、この教育費は大打撃になる上、夫婦のいずれかが仕事を辞めサポートに徹するというギリギリの生活を強いられることもある。

以前、『伝説の探偵』で取り上げた湖西市のいじめ事件では、加害者は奨学金を受け、被害者は結構な額の教育費を家庭で負担しているという極めて理不尽な問題が生じているが、市教委、市長は誤った判断と対応をしていたのにも関わらず、被害者には謝罪をせず、テレビ画面で世間に頭を下げたり、もしも仮にそうなら悪いことをしたというような曖昧表現で、被害側からの面会要請を無視し続けている。

【関連】暴かれたウソと壮大な開き直り。中2女子生徒が助けを求めた手を払いのける静岡県湖西市いじめ隠蔽事件の絶望

まあ、こういう問題を指摘すると、教育機関やその行政にぶら下がった民間団体のそれっぽい御用達活動家などから、じゃあ、加害者は教室に入るなってこと!罰を与えればいいの!という大批判を喰らったり、加害者の人権を無視する非道な活動家だと吊るしあげられ、アイツは危険だとすでに言われているが、そういう単細胞で物事を考えてはいけない。

AでなければB、BでなければAというほど、簡単な方程式で人間の社会はできていないからだ。

被害者支援をする事で加害者や隠ぺい側と対峙すると、専門家と呼ばれる一部の人から危険視されたり要職を外されるというのはどうも解せないが、この国の形なのだと納得している。

さて話を戻そう。

いじめ行為が深刻になると、教室内でどちらが残るかのサバイバルが起きてしまうのだ。加害者が残れば被害者は教室に入れなくなる。だから、ここまで行くと被害者が教室に戻る場合は加害者が教室から出ていくしかないということになる。

確かに深刻とまでいかない場合は、双方が教室に残れるし、逆転現象として被害者が加害者に、加害者が被害者になるケースもある。

であれば、そうした深刻にならないようにするためにはどうするか?という観点が重宝されるのだが、それはそれでとても良いことだからどんどん進めてもらっていいのだが、実際に深刻になるケースがあるわけだ。正確な数字とは言えないながら、2022年度の文科省の重大事態いじめの認知数は過去最多で900件を超えている。

つまり、酷くなる前策はより重要だが、起きてしまっている事実の際にどういう選択をすべきかもしっかりと決めておく必要がある。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

登録で活動を支援する

現実としては「放置」されるいじめの被害者たち

現在の状況は、簡単に評価すれば放置しており、被害者の自己責任のもと、なんの支援もない。あるにはあるが、使える支援策ではなく世間知らずのおぼっちゃま政治家と国民をいたぶることで出世するお官僚様の考えた「なんちゃって支援」程度しかないと言わざるを得ない。

つまり、現実としては「放置」だ。

嘘だと思うなら、実際に被害に遭っている被害者家族に訊いてみるといい。今X(旧Twitter)にはそういうコミュニティもある。

何の非もなく突然被害を受け、様々な理不尽や暴力や暴言、人間としての尊厳を奪われた被害者にさらなる負担を負わせ、世の中は世知辛いのだと冷たくあしらい、少数の声など聞こえぬふりで搾取の対象とするのが是か、加害行為を行い人が苦しむ様子をまるでエンターテイメントのようにして、自らのストレスの発散を他者に向け、人の尊厳をむしり取り、人権を侵害し、生きる気力すら奪い、金銭や友人をも引きはがした者を基本的人権があるからと何の更生教育をも受けさせずに教室に解放し続けるのが是か非か。

今回の件では、Instagramの裏垢が確認でき、非行の様子を投稿していたことが重なって加害側は責任追及を恐れて逃げる策を採ったから、クラスに被害側が戻れたという幸運があった。ただし逃げる策が必要なくなったら、間違いなく加害者はクラスに戻ってくるであろう。他のクラスメイトはこの数週間で、加害者らに抑圧されていたことの実感があり、また、何もしないことが加害行為への加担だと知って、二度と起きないために1人1人が連携同盟をして加害行為に立ち向かうと決心してくれたようだが、こうなっていくケースは極めて稀である。

今、不登校は過去最多、いじめの被害者も認知数から過去最多と言っても過言ではない末期的状況にあり、多くの被害者は有効な支援策と制度の改定を求めている。

回復困難な「いじめ後遺症」も

現在のところ連絡を取り合い、経過を見守っているところです。

これから先どうなるかによって、対応を介入として前面に立つこともあれば、アドバイスコントロールの立場で軍師を続けるということも考えられます。

Aさんたちは私が中学生のときよりはずいぶんしっかりしていますが、受けた心の傷はかなり深く思い出すと歩く足を止めてしまうほど苦しくなります。

今、加害者らと同じ空間にいることは耐えられないと思いますが、いずれ経験として乗り越えていくと思います。

いじめ後遺症という言葉があるように、回復の余地がないという診断が出ることもあります。症状固定とか、色々な専門用語が飛び交う中、精神科医の先生に色々尋ねたことがあります。その際に、色々な回復プログラムはあるが、全ての病気を治せるわけではないように、全てどうにかなるわけはないと言っていました。

いじめは犯罪、そう言っても確かに過言ではない。それほどまでに人を苦しめることが、「あって当然」から考えなければならないことこそが、辛い現実だと思いました。

争いなく、楽しく、元気に、一人ひとりが自分らしく過ごせたらいいんですけどね。

まずは、被害者3人同時に被害状態から抜けさせることができたことで、今回は良かったこととしようと思います。

加害関係者の方、担任の先生、相談なら聞きます。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

登録で活動を支援する

image by: Shutterstock.com

阿部泰尚この著者の記事一覧

社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 阿部泰尚メルマガ「伝説の探偵」 』

【著者】 阿部泰尚 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎月 9日・23日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け