ビタミンやミネラルなど、不足する栄養素をサプリメントで補っている人も少なくありません。。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、糖質制限食の提唱者として知られる糖尿病専門医の江部康二医師は、厚労省のサイトなどから、日本には「サプリメント」の定義がないことを確認。その上で、自身による考察を紹介しています。
サプリの有効性を再考察する
こんにちは。サプリメントについて2回に渡り再考察してみます。
(1) 厚生労働省 「健康食品」のホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/sei
「健康食品」と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、広
そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する
保険機能食品には、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保険用食
(2) 栄養補助食品-厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/
健康食品やサプリメントについて、日本では行政的な定義がありま
(3) 米国のサプリメントの定義
Dietary Supplement, Health and Education Act, 1994 (DSHEA, 第3章)
https://www.jafsra.or.jp/infor
ダイエタリーサプリメントは食事を補充し、以下の成分(Diet
(A) ビタミン
(B) ミネラル
(C) ハーブ又はその他の植物
(D) アミノ酸
(E) 総食事摂取量を増やすことにより食事を補充するために、人が用い
(F) (A),(B),(C),(D)または(E)に記載された成分の
サプリメントの形状: 錠剤、カプセル、粉末、ソフトゲル、ジェルカップ又は液体として
さて、日本では「サプリメント」の定義がないということになりま
となると、よく言われる、「食品から摂る栄養素は有効であるが、
この記事の著者・江部康二さんのメルマガ
「食品から摂る栄養素は有効であるが、サプリから摂ると無効」という意見について、日本ではどう考えればよいか、という点ですが、
A) 食・健康情報評価協会さんのサイトが参考になります。
「食と健康」の重要論文をすべて調査し、健康情報の評価をしているとのことで、このサイトは信頼度が高いと思います。
このサイトの冒頭に、
- 野菜は多くの疾患の予防に効果的
- 肉、脂質、炭水化物は要注意
- 食品からとる栄養は効果的だが、サプリは効果的とはいいがたい
と記載してあります。私も基本的に賛成です。
ただ、肉と脂質に関しては普通の人においては、賛成ですが、酸化ストレスの極めて少ない糖質セイゲニストにおいては問題はないと考えています。
私は、最近は、「糖質制限食は脂肪・蛋白質無制限食です」と説明しています。
日本人の祖先は、38000年前の旧石器時代から日本に居住し始めてからの22000年間、マンモス・ナウマン象・ヘラシカなど肉食が主だったことがその根拠です。
B) 米タフツ大学准教授のFang Fang Zhang氏らが「Annals of Internal Medicine」4月8日オンライン版に発表した、「サプリメントに死亡リスク低減効果なし」という論文があります(当メルマガvol.1026参照)。
これも信頼度は高いと言えます。
「ビタミンAとビタミンK、マグネシウム、亜鉛、銅を適度に食品から摂取すると、全死亡率または心疾患や脳卒中などの心血管疾患による死亡率は低下するが、サプリから摂取しても効果はない」
食品から摂取すると効果があるのに、サプリからでは効果が無いという事実は、とても興味深い報告です。
高雄病院の推奨する「スーパー糖質制限食」においては、幅広い食品を満遍なく食べるので、糖質だけは制限していますが、必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、全て食材から摂取可能なので、サプリは必要ないのです。
「サプリメントは栄養バランスに富んだ食事の代わりにはならない」というのは、けだし名言と思います。
一方、ベジタリアンの場合には、ビタミンB12、ビタミンD、EPA・DHAが不足しやすいので、それらを、サプリで補充することには意味があります。
また、生理のある女性や出産後の女性の鉄欠乏性貧血には、保険内で鉄剤を処方することも必要です。
この記事の著者・江部康二さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com