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財務省が作った「大企業さま限定!脱税天国日本」のルールとは?元国税調査官が告発“国税庁舎弟化”とマルサのタブー

第1回では日本という国が財務省キャリア官僚に支配されている実態を、第2回では天下り先の大企業の顔色ばかりを窺う彼らに国民に奉仕する気などない現状をご紹介しました。その続きとなる今回は「財務省と大企業の癒着によって、私たち国民に具体的にどんな不利益が生じているのか?」がテーマ。これは「天下りはズルい」「高給が妬ましい」といった単純な話ではありません。財務省が「国の予算決定権」という強大な権力を持っているのは周知のとおりですが、これに加えて「徴税権」まで実質的に握っているとしたら?元国税調査官の大村氏が解説します。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より)

財務省の持つ巨大な国家権力

前回は、財務省のキャリア官僚は、退職後ほぼ全員が大企業に天下りをし、官僚時代の給料の何倍もの報酬を受け取る、だから財務省は大企業を優遇するのだということをご紹介しました。

なぜ大企業が、財務省のキャリア官僚の天下りを高額報酬で受け入れるのかというと、財務省が強大な権力を持っているからです。

あまり語られることはないが、日本の財務省というのは、先進国ではあり得ないほどの権力集中状態になっているのです。

前にご紹介したように財務省は、総理の筆頭秘書官など、内閣の官僚重要ポストのほとんどを握っています。

そして財務省は、日本国の予算を事実上、握っています。建前の上では、国の予算を決めるのは、国会であり、国会議員たちがその策定をすることになっています。

しかし、国会議員のほとんどは、予算の組み方などはわかりません。だから、実質的に、財務省が策定しているのです。これは、自民党政権であっても他の政権であっても変わりはありません。

国家予算を握っているということは、莫大なお金を握っているということです。だからこそ、財務省の権力は大きく、他の省庁や経済界などからも恐れられているのです。

【第1回】元国税が暴露「財務省キャリア官僚」のヤバい正体。数百人の試験バカが国家権力で国民をイジメ抜く

【第2回】日本を売る傭兵「財務省キャリア官僚」の“10億円荒稼ぎ”特殊詐欺生活…元国税が危惧「野放しなら国が滅ぶ」

これに加えて、財務省は事実上「徴税権」までも持っているのです。

国の徴税を司るのは国税庁です。国税庁は建前の上では、財務省から独立した地位にあるということになっています。

国税庁側は、「国税庁と財務省は、独立した緊張関係にあり、決して従属の関係ではない」などと言っています。が、これは詭弁も甚だしいのです。

人事面を見れば、国税庁はまったくもって財務省の支配下であることがわかります。

まず国税庁トップである国税庁長官のポスト、これは財務省のキャリア官僚の指定席なのです。そして、国税庁長官だけではなく、次長、課税部長も財務省キャリアの指定席です。

国税庁長官、次長、課税部長の3職は、国税庁のナンバー3とされており、つまり、国税庁ナンバー3はいずれも、財務省のキャリアで占められているのです。

他にも、強大な権力を持つ調査査察部長や、東京、大阪、名古屋など主要国税局の局長も、財務省のキャリアが座っています。これを見れば、どう考えても「国税庁は財務省の子分だ」となるはずです。

財務省が「徴税権」を握るという危険

財務省が国税庁を握っているということは、実は非常に危険なことなのです。

「徴税権を持つ」ということは、予算権限を持つのと同等か、それをしのぐような強力な国家権力です。

財務省は国の柱となるような二つの巨大な権力のうち、二つとも手中にしているのです。

このような巨大な権力を持つ省庁は、先進国ではあまり例がありません。国税庁は、国民全部に対し、「国税に関することはすべて調査する権利」を持っています。国民にはこれを拒否する権利はないのです。

このような強大な「徴税権」を、予算権を持っている財務省が握っているのです。実は、これは非常に恐ろしい事でもあります。

「予算というエサをばら撒くことで言う事を聞かせる」ということのほかに「徴税検査をちらつかせて言う事を聞かせる」ということができるのです。これでは国民も企業も、財務省の言う事を聞くしかなくなる、というものです。

なぜマルサは大企業に入らないのか?

財務省が徴税権を持つことがどうヤバいのか、わかりやすい例をあげたいと思います。

国税庁には、マルサ(査察部)という機関があります。巨額脱税を専門に摘発する、国税で最強の機関です。

映画やテレビドラマでもたびたび取り上げられるので、ご存じの方も多いはずです。

マルサというと、巨額な脱税を暴く正義の味方というように見られることも多いようです。そして、「マルサにはタブーはない」と言われることもあります。

マルサは、どんな有力企業であろうが、政治家に関係する企業であろうが、憶せずに踏み込んでいく、と。本当にそうでしょうか?

答えは、「まったくノー」なのです。

マルサには、タブーが多々あり、むしろマルサが踏み込める領域というのは、非常に限られているのです。

このことは、税務行政の最大の汚点であり、闇だともいえます。

たとえば、あまり知られていませんが、マルサというのは、大企業には絶対に入れないのです。

信じがたいことですが、資本金1億円以上の大企業に、マルサが入ったことはほとんどないのです。つまり、マルサは、大企業には踏み込めないのです。

こんなにわかりやすい「意気地なし」はないでしょう。マルサにタブーがない、ということなど、まったくの都市伝説なのです。

なぜマルサは大企業に行かないのでしょうか?

もちろん、国税庁はその理由を用意しています。

理由もなく、大企業に入らないのであれば、誰が見てもおかしいからです。

国税庁の見え透いた言い訳

その理由とはこうです。

通常、マルサは1億円以上の追徴課税が見込まれ、また課税回避の手口が悪質だったような場合に、入ることになっています。

しかし、大企業の場合、利益が数十億あることもあり、1億の追徴課税といっても、利益に対する割合は低くなります。

つまり、大企業では1億円程度の脱税では、それほど重い(悪質)ではないということです。

中小企業の1億円の脱税と大企業の1億円の脱税は、重さが違うというわけです。

また大企業には、プロの会計士、税理士などが多数ついており、経理上の誤りなどはあまりない、そして大企業の脱税は海外取引に絡むものが多く、裁判になったとき証拠集めが難しい、というのです。

これらの理由は、単なる言い逃れに過ぎません。

確かに、中小企業の1億円と大企業の1億円では、利益に対する大きさが違います。

大企業の場合、1億円の脱税をしていても、それは利益の数百分の一、数千分の一に過ぎないので、それで査察が入るのはおかしい、というのが国税庁の言い分なわけです。

が、それならば、大企業の場合は、マルサが入る基準を引き上げればいいだけの話です。

利益の10%以上の脱税額があれば、マルサが入る、というような基準にすればいいだけです。

財務省キャリア官僚が日本を蝕んでいる

また「大企業の脱税は海外に絡むものが多く、証拠を集めにくいからマルサが入らない」という理由は言語道断です。

こういう理屈が成り立つならば、海外絡みの脱税をすれば、マルサに捕まらない、ということになります。つまり、よりずる賢く脱税をすれば、マルサは手の出しようがないということです。

だから、国税庁のこれらの理由は「理由になっていない」のです。

では、なぜマルサは大企業には入らないのでしょうか?

それは、冒頭にご紹介したように、大企業は財務省キャリア官僚の天下りを受け入れているからなのです。

つまりは、財務省の子分である国税庁と、大企業は、蜜月の関係があるといえるのです。大企業にマルサが入らない事実を見るだけでも、日本の税務行政が矛盾の塊であることがわかるはずです。

そしてこれも大元の原因は「財務省キャリア官僚」なのです。

(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2024年2月1日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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